この記事でわかること
- 妊娠初期に市販薬・処方薬を飲んでもいいのか、その基本的な考え方
- 妊娠4週〜15週の間で、薬の影響リスクが週数ごとにどう変わるか
- 風邪・鼻炎・頭痛・つわりなど、症状別に注意したい薬の具体例
- 妊娠に気づく前に薬を飲んでしまったときの正しい相談先
結論からお伝えすると、市販薬・処方薬とも「妊娠中は絶対に服用禁止」というわけではありません。ただし、成分によって注意すべき妊娠週数が異なるため、自己判断せず添付文書の確認と医師・薬剤師への相談を徹底することが前提になります。
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新型出生前診断
そもそも、妊娠初期は薬を飲んでもいいの?
妊娠初期でも、薬の種類と服用のタイミングによっては医師の判断のもとで飲めるケースがあります。「妊娠が分かった瞬間から薬は一切ダメ」と思い込んでいる方も多いのですが、実際には成分ごとにリスクの大きさが細かく分類されています。大切なのは自己判断ではなく、医師・薬剤師への確認という一手間。ここでは市販薬と処方薬に分けて、考え方を整理します。
風邪薬や頭痛薬…市販の薬はどう考える?
ドラッグストアで手軽に買える市販薬は、ちょっとした風邪や頭痛のときに頼りになる存在です。置き薬として常備しているご家庭も多いでしょう。
市販薬は病院で処方されるものより成分量が少ない製品が多く、短期間の服用で赤ちゃんの発育に影響する可能性は極めて低いとされています。とはいえ、市販薬だからと安心して何も確認せずに飲んでよいわけではありません。
箱や添付文書には「妊婦又は妊娠していると思われる人」への注意書きが必ず記載されています。「服用しないこと」から「相談すること」まで表現の強さは製品によって段階があるため、購入前に薬剤師に一声かけるのが確実です。
病院で処方される薬はどう考える?
病院を受診して薬を処方してもらう際は、妊娠中であること、もしくは妊娠している可能性があることを必ず伝えてください。問診票に記入欄があることがほとんどですが、診察の場でも口頭で一言添えると安心です。
妊娠に気づく前に処方された薬については、胎児への影響の程度が薬によって大きく異なります。手元に残っている薬は自己判断で飲み続けず、医師または薬剤師に「いつから」「何を」「どのくらいの量」飲んだかを伝えたうえで、今後の対応を相談しましょう。

特に注意しておきたい薬
妊婦さんへの投与が原則禁忌とされている薬には、以下のようなものが挙げられます。あくまで代表例であり、実際の可否は必ず添付文書と主治医の判断を確認してください。
- ワルファリン(抗凝血薬)
- エトレチナート(角化症治療薬)
- リバビリン(抗ウイルス薬)
- トリアゾラム(向精神薬)
- エルゴタミン(片頭痛治療薬)
- ホルモン剤の一部
- 抗生物質の一部(アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系)
これらは胎児への催奇形性(奇形を引き起こす可能性)が高いことが知られている成分です。妊娠を申告していれば医療機関で処方されることはまずありませんが、手持ちの薬を自己判断で服用することのないよう気をつけましょう。
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妊娠週数によって、薬の影響リスクは変わります
妊娠週数に応じて、薬が赤ちゃんに影響を与えうる大きさは変化します。中でも、妊娠初期(妊娠13週6日まで)は器官形成の時期と重なるため、特に注意が必要です。週数ごとの目安を知っておくと、必要以上に不安になりすぎずに済みます。
| 時期区分 | 妊娠週数の目安 | 薬の影響リスク | 特に注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 無影響期 | 4週未満 | 低い | 残留性の高い薬の服用歴 |
| 絶対過敏期 | 4週〜7週 | 最も高い | 器官形成期。催奇形性のある薬を避ける |
| 相対過敏期 | 8週〜15週 | やや高い | 口蓋・手足・性器の形成期 |
| 潜在過敏期 | 16週以降 | 限定的 | NSAIDsなど胎児機能に影響する薬 |
上記はあくまで一般的な目安です。実際の服用可否は薬の種類によって細かく異なるため、必ず添付文書と医師・薬剤師の判断を確認してください。
無影響期(妊娠4週未満)
この時期は赤ちゃんの器官がまだ形成される前のため、薬が奇形などを引き起こすリスクは低いとされています。「妊娠に気づかず薬を飲んでいた」というケースでも、妊娠が継続できていれば過度に心配する必要はありません。
ただし、体内に残留しやすい薬には注意が必要です。薬の成分が抜けきらないまま妊娠4週以降に入ることも考えられます。残留性の高い薬としては、エトレチナート(角化症治療薬)、リバビリン(抗ウイルス薬)、レフルノミド(抗リウマチ薬)などが挙げられます。これらを服用中の方は、妊娠を希望する段階で主治医に相談してください。
絶対過敏期(妊娠4週〜7週)
薬の服用に最も注意が必要なのが、妊娠4週〜7週です。いわば妊娠期間全体の中でも最重要の分岐点。この時期は中枢神経や心臓など重要な器官が作られるため、薬の影響を受けやすいとされています。
前述した催奇形性の高い薬は避けるべきですが、妊娠を申告していれば医療機関で処方されることは通常ありません。市販薬が奇形の原因となることは稀とされますが、この時期はいつも以上に添付文書をよく確認しましょう。
相対過敏期(妊娠8週〜15週)
妊娠8週から15週にかけては、口蓋や手足、性器などが形成される時期です。重要な臓器の形成自体は終わっていますが、油断はできません。引き続き前述の注意すべき薬は避けるようにしてください。
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潜在過敏期(妊娠16週以降)
赤ちゃんの体の大部分が形成されているため、薬が奇形を招く危険性はほぼなくなります。ただし、妊婦さんが服用した薬は胎盤を通じて赤ちゃんの体内にも入るため、一部の薬は胎児の機能障害を引き起こすことが知られています。特に非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs、ロキソプロフェンなど)は赤ちゃんの動脈管を収縮させる働きがあるとされ、妊娠後期を中心に服用を避けるのが一般的です。
症状別・妊娠初期に注意したい薬
「この症状にはこの薬」と自己判断する前に、症状ごとの注意点を押さえておくと相談がスムーズです。私自身、妊娠初期の相談を受ける中で、風邪・鼻炎・頭痛・つわりに関する質問が特に多い印象を持っています。実際にX(旧Twitter)でも、同じ悩みを抱える方の投稿が数多く見つかりました。
鼻炎・アレルギー症状
妊娠初期はホルモンバランスの変化で鼻炎症状が出やすくなり、「もともとの体質か、薬を飲みたいけど迷う」という声をよく見かけます。実際にX上でも、2026年8月に「妊娠初期症状に鼻炎ってある…?昨日から鼻ぐずぐずで困ってる。元々鼻弱くてすぐ耳にくるから薬飲みたい…アレグラだめかな…」という投稿があり、抗ヒスタミン薬の可否に悩む方が一定数いることがわかります。抗ヒスタミン薬の中には妊娠中の使用実績が比較的多いとされる成分もありますが、製品ごとに評価が異なるため、自己判断での服用は避け、産婦人科または薬剤師に薬剤名を伝えて確認してください。
頭痛・発熱
頭痛や発熱の際は、アセトアミノフェン(カロナールなど)が妊娠中でも比較的使用しやすい解熱鎮痛成分として知られています。一方でロキソプロフェンなどのNSAIDsは、妊娠後期を中心に赤ちゃんの動脈管への影響が指摘されており、自己判断での常用は避けるべきです。市販の解熱鎮痛薬を選ぶ際は、成分表示を確認し、迷ったら薬剤師に相談する習慣をつけてください。
つわり・漢方薬
つわりがつらい時期は「漢方なら自然だから安心」と考える方も少なくありません。しかし漢方薬も医薬品であり、体質やつわりのタイプによって合う・合わないがあります。
X上では、「妊娠初期です つわりで漢方を探しています『小半夏加茯苓湯』という漢方薬が効くと聞きました。解説お願いします」という質問に対し、「つわりにもタイプがあります つわりというだけで適切な漢方薬は選べないので、漢方専門店に相談する事をお勧めします」という回答が寄せられていました(@koureidoさんの投稿より)。
市販の漢方薬であっても自己判断で継続せず、産婦人科医や漢方に詳しい薬剤師に相談するのが安全な進め方です。つわり治療薬として承認されているビタミンB6・抗ヒスタミン配合剤(ジフェンヒドラミン・ピリドキシン配合、いわゆるつわり薬)も、処方には医師の判断が必要になります。
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妊活・妊娠初期の過ごし方をまとめた投稿でも、「葉酸をしっかり摂る」「生ものは避ける」と並んで「市販薬・持病の薬は医師に相談する」がチェックリストの一項目として挙げられており(@HY_BABYJPさんの投稿より)、SNS上でも薬の自己判断を避けるべきという認識は広く共有されているようです。私自身も、迷ったときほど「まず相談」を徹底することが、結果的に一番の近道だと感じています。服用していた薬が気になり赤ちゃんの状態を早めに確認したい方には、NIPTで妊娠早期から染色体の変化を調べる選択肢もあります。
持病があり薬を服用している場合の対応
妊娠を意識し始めた時点で主治医に相談を
持病の治療で長期間薬を服用している方は、自己判断で中断せず主治医に相談してください。「お腹の赤ちゃんによくないかもしれない」と自己判断で服用を中断すると、かえって体調を崩し、赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼす場合もあります。
妊娠が分かったら、薬を継続してよいか、別の薬に変更すべきか、必ず主治医と相談してください。今は妊娠していなくても、近い将来妊娠を希望している場合や妊娠している可能性がある場合は、早めに医療機関へ伝えておくと安心です。
薬の服用がNIPT(新型出生前診断)の結果に影響することも
NIPT(新型出生前診断)では、妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を解析し、染色体の変化などを調べます。検査結果は通常「陽性」もしくは「陰性」で示されますが、服用している薬の種類によっては「判定保留」という結果が出ることもあります。薬とNIPT結果の関係については、下記の記事で詳しく解説しています。NIPTを検討している方は、事前に医師へ服用中の薬を伝えておきましょう。
服用に注意した方がいいサプリメントも
サプリメントも医薬品と同様に、妊娠初期は摂取量に注意が必要です。薬と比べると影響が小さそうに見えますが、成分によっては赤ちゃんの発育に影響することがあります。特に注意したい2つの成分を紹介します。
ビタミンAサプリメント
ビタミンAは皮膚や粘膜、眼の機能を守る栄養素です。植物由来のカロテノイドと動物由来のレチノールに大別され、レチノールは体内に蓄積されやすく、妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんの奇形リスクが高まることが知られています。「妊娠中はうなぎやレバーの食べ過ぎに注意」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ドラッグストアや通販で気軽に手に入るサプリメントだからこそ、自己管理が欠かせません。普段からビタミンAのサプリメントを摂取している方は、妊娠が分かった時点で中断してください。緑黄色野菜など、食事からの摂取に切り替えるのも一案です。
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イソフラボンを含むサプリメント
女性ホルモンに似た働きを持つイソフラボンは、美容目的で摂取している方も多い成分です。しかし妊娠中は、サプリメントで必要以上に摂取することは避けたほうがよいでしょう。妊娠期間中はもともとホルモンバランスが変化しやすく、そこにイソフラボンを過剰摂取すると、さらにバランスが崩れ赤ちゃんの生殖機能に影響を与える可能性が指摘されています。
厚生労働省は、大豆イソフラボンの摂取目安量の上限を1日75mg、サプリメントでの上乗せ摂取量の上限を1日30mgとしています。体によいイメージがあるからこそ、過剰摂取にならないよう気をつけましょう。

妊娠に気づく前に薬を飲んでしまったら
妊娠に気づく前に薬を飲んでしまっても、まず医師に相談すれば多くの場合は落ち着いて対応できます。特に薬の影響が懸念される妊娠初期に服用していた場合、不安になるのは自然なことです。
先述のとおり、飲んだ薬が赤ちゃんに影響を与えやすい時期があるのは事実です。しかし、妊娠初期に市販薬を数回服用した程度であれば、赤ちゃんの発育には問題がないケースがほとんどとされています。奇形リスクの高い薬は妊娠適齢期の女性には処方されにくいため、過度に思い詰める必要はありません。
実際に、妊娠5週台で睡眠薬や子宮収縮抑制薬(ダクチルなど)を処方され、「妊娠初期に薬飲んでしまっている罪悪感がすごいけど寝れない方が問題だよね…」と投稿していた方もいました(@OeCbwさんの投稿より)。私も相談の場で同じような罪悪感を口にする方によく出会いますが、医師の処方に基づく服用であれば、まず責める必要はありません。
飲んだ薬の種類・量・時期を正確に伝え、指示に従うことが何より大切です。一人で思い悩んだり、ネット上の断片的な情報に一喜一憂したりせず、専門家に確認することで気持ちも落ち着くはずです。
よくある質問
妊娠初期の薬について、よく寄せられる質問をまとめました。個別の判断が必要なケースも多いため、最終的には必ず医師・薬剤師に確認してください。
Q1. 妊娠初期に風邪薬を1回飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?
市販の風邪薬を短期間・少量服用した程度であれば、赤ちゃんの発育に影響する可能性は低いとされています。ただし自己判断はせず、薬品名と服用日を控えたうえで、次回の妊婦健診または産婦人科の窓口で相談してください。
Q2. 妊娠初期に飲んでも問題が少ないとされる薬はありますか?
解熱鎮痛にはアセトアミノフェンが比較的使用しやすい成分として知られていますが、「絶対安全」と断定できる薬はありません。体質や持病、服用中の他の薬との飲み合わせによってもリスクは変わるため、必ず医師・薬剤師に確認したうえで服用してください。
Q3. 漢方薬なら妊娠中でも安心して飲めますか?
漢方薬も医薬品であり、「自然由来だから安全」とは言い切れません。体質やつわりのタイプによって合う漢方薬が異なるため、自己判断で選ばず、産婦人科医または漢方に詳しい薬剤師に相談してから服用してください。
Q4. 薬の添付文書は、どこを見ればいいですか?
市販薬は外箱・添付文書の「してはいけないこと」「相談すること」欄に、妊婦への注意事項が記載されています。処方薬の添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトで薬品名から検索できます。
Q5. 持病の薬を自己判断でやめてもいいですか?
自己判断での中断はおすすめしません。持病のコントロールが悪化すると、かえって赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠が分かった時点で主治医に相談し、継続の可否や薬の変更を一緒に検討してください。
Q6. サプリメントも医師に相談したほうがいいですか?
ビタミンAやイソフラボンのように、過剰摂取が問題になる成分もあります。医薬品ではないからと安心せず、妊娠中に継続するサプリメントは医師や薬剤師に成分表を見せて確認することをおすすめします。
薬に関して心配なことは医師や薬剤師に相談を
妊娠初期の薬との付き合い方に迷ったら、自己判断せずに医師・薬剤師へ相談することが一番の近道です。迷ったときの合言葉は、まず相談。薬は心身の不調を改善してくれる頼れる存在ですが、妊娠中はどう付き合うか悩む場面も多いはずです。「このくらいは大丈夫なはず」「体調が悪くても薬は絶対に飲まない」と一人で決めつけず、気になることがあれば産婦人科やかかりつけ医、薬剤師に相談してください。
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監修者
岡博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長/Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業、日米医師国家試験合格、医学博士。国内に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有し、NIPT検査の精度管理を統括している。
【参考文献】
- 国立成育医療研究センター – 妊娠と薬情報センター
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) – 添付文書等検索
- 日本産婦人科医会 – 妊婦の薬物服用
- あいち小児保健医療総合センター – 妊娠・授乳と薬
- 日本化学療法学会雑誌第65巻第1号 – 妊産婦の抗菌薬使用の注意点
- 中外医学社「妊婦・授乳婦の薬」改訂2版 – 妊婦・授乳婦への薬物療法の基本的考え方
- 内閣府食品安全委員会 – ビタミンAの過剰摂取による影響
- 内閣府食品安全委員会 – 大豆および大豆イソフラボンに関するQ&A
疑問を安心に変えるNIPT
新型出生前診断
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

