染色体異常による流産率について【医師監修】

NIPT  染色体異常による流産率について

妊娠中に「染色体異常による流産率」という言葉を目にして、不安な気持ちで検索されているところかもしれません。

結論からお伝えします。自然流産は妊娠全体の約15%に起こるとされ、そのうち妊娠12週未満の早期流産の50〜80%程度は、赤ちゃん側に偶発的に生じた染色体異常が原因です。母体の生活習慣や行動が原因になることはほとんどありません。ご自身を責める必要はないと、私は外来でお伝えするようにしています。

この記事では、自然流産の頻度、原因のうち染色体異常が占める割合、妊娠週数や母体年齢によるリスクの変化、NIPTと確定診断(羊水検査絨毛検査)の違い、そして流産を経験した後に次の妊娠へ向き合うときの考え方までを、日本産科婦人科学会・国立成育医療研究センター・こども家庭庁などの公的情報にもとづいて整理します。デリケートなテーマだからこそ、一つずつ丁寧に確認していきましょう。

💡 この記事でわかること

  • 自然流産がどのくらいの頻度で起こるのか(全妊娠の約15%という数字の意味)
  • 流産の原因のうち染色体異常が占める割合(早期流産の50〜80%程度)
  • 妊娠週数によって流産リスクがどう変わるか(早期流産と後期流産の違い)
  • 母体年齢と流産率・染色体異常の関係
  • NIPTでわかること、確定診断(羊水検査絨毛検査)との違い
  • 流産後に次の妊娠へ向き合うときに知っておきたいこと(不育症検査・相談先)

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1. 自然流産はどのくらいの頻度で起こっているのか

まず押さえておきたいのは、流産は決してまれな出来事ではないという点です。

自然流産は、妊娠全体の約15%に起こるとされています。これは公益社団法人日本産科婦人科学会が公表している情報による数字で、妊娠を経験した女性のうち38%が流産を経験しているという報告もあわせて紹介されています。

国立成育医療研究センターの情報でも、流産は全妊娠の8〜15%ほどの割合で自然に起こるものとされています。数字に幅があるのは、妊娠検査薬で陽性になった時点から数えるか、超音波で胎嚢が確認できた時点から数えるかなど、調査ごとに数え方が違うためです。どの数字を見ても、流産は珍しい出来事ではなく、妊娠した多くの方が経験しうる出来事だとわかります。

私が外来で感じるのは、流産を経験した方の多くが「自分の行動が悪かったのではないか」とご自身を責めてしまうことです。次の章で説明するとおり、流産の多くは偶発的な染色体異常が原因であり、妊娠中の運動や仕事、性生活が原因になることはほとんどありません。

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2. 流産の原因のうち染色体異常が占める割合はどのくらいか

妊娠12週未満の早期流産では、流産した組織を調べると50〜80%程度に染色体異常が見つかると報告されています。

日本産科婦人科学会の情報では、早期流産流産した組織の染色体を調べた場合、約80%に異常を認めたとされています。一方、国立成育医療研究センターの情報では「この時期の流産の50〜60%は受精卵の異常(染色体の病気)」と紹介されており、調査対象や時期によって割合には幅があります。いずれの数字であっても、早期流産の主な原因が染色体異常であることは共通しています。

染色体異常には、21番染色体が3本になるダウン症候群(21トリソミー)、18番染色体が3本になるエドワーズ症候群(18トリソミー)、13番染色体が3本になるパトウ症候群(13トリソミー)などがあります。以下は、代表的な3つのトリソミーの経過の目安です。

トリソミーの種類妊娠中の経過の傾向備考
21トリソミー(ダウン症候群)他のトリソミーに比べ、出生まで経過するケースが多い出生に至った場合は、心疾患などの合併症を伴うことがある
18トリソミー(エドワーズ症候群)妊娠中に流産・死産となる割合が高い臓器の形成不全を伴いやすいとされる
13トリソミー(パトウ症候群)妊娠中に流産・死産となる割合が非常に高い21・18トリソミーよりさらに稀

染色体の数が1本多い、あるいは少ないという変化は、卵子や精子がつくられる過程、あるいは受精後の細胞分裂の際に偶発的に生じることがほとんどです。多くの場合、胎児が発育を続けることが難しく、妊娠のごく初期に自然な流産という形で経過します。

私が診療の中でお伝えしているのは、胎嚢は確認できても胎芽や心拍が育たないまま経過が止まる、いわゆる稽留流産についても、染色体異常が背景にあるケースが多いということです。@ora_uuuuuuutanさんも、稽留流産の経験について「胎嚢はありましたが、胎嚢しか成長せず、胎芽や卵黄嚢もおそらく発生しないという染色体異常でした」と投稿しており、心拍が見えないまま経過が止まる背景に染色体異常があったことを共有されていました。

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3. 妊娠週数によって流産リスクはどう変わるのか

流産のリスクは、妊娠週数が進むにつれて大きく下がっていきます。

流産の多くは妊娠12週未満の早期流産で起こり、12週以降22週未満の後期流産は妊娠全体の1〜2%程度にとどまります。

国立成育医療研究センターの情報では、妊娠12週までの流産を「早期流産」、12週以降22週未満の流産を「後期流産」と呼び、流産のほとんどが早期流産であるとされています。妊娠が進み、胎児の心拍が確認できた後は、流産のリスクはさらに下がるとされています。

心拍確認後の流産リスク

超音波検査で胎児の心拍が確認できると、多くのご夫婦がひとまず安心されます。心拍確認後も一定の確率で流産となることはありますが、その割合は心拍確認前に比べて大きく下がります。週数が進むごとにリスクが下がっていく傾向は、複数の研究で共通して示されています。

妊娠週数と体調の変化を確認する妊婦のイメージ

ここで注意していただきたいのは、週数が進むほどリスクが下がるとはいえ、ゼロになるわけではないという点です。出血や腹痛などの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに産婦人科を受診してください。

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4. 母体年齢と流産率・染色体異常の関係

流産率は母体の年齢が上がるにつれて上昇し、卵子の老化に伴う染色体異常の増加が主な理由と考えられています。

母体年齢自然流産率の目安
30歳前後約10〜15%
35歳前後約20〜25%
38歳前後約25〜30%
40歳前後約35〜40%
42歳前後約45〜50%

数値は複数の疫学研究で示される一般的な目安であり、出典や年齢の区切り方によって差があります。日本産科婦人科学会の情報でも、流産率は年齢とともに上昇し、40歳を過ぎると妊娠しても40%以上が流産すると紹介されています。年齢が上がるほど、卵子の減数分裂の際に染色体の数に過不足が生じやすくなり、結果として染色体異常を伴う妊娠が増えることが背景にあると考えられています。

年齢を理由に妊娠をためらう必要はありませんが、年齢が上がるほど流産のリスクや染色体異常の頻度が高まることは、知っておいて損はない情報です。ご自身の年齢でのリスクの目安を詳しく知りたい方は、35歳からの妊娠初期における流産率とNIPTについての記事もあわせてご覧ください。

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5. NIPTでわかること・確定診断(羊水検査・絨毛検査)との違い

NIPT(新型出生前診断)は母体の血液を採取するだけで赤ちゃんの染色体の変化を推定できる非確定的なスクリーニング検査であり、検査自体が流産の原因になることはありません。

NIPTは母体の血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析する検査で、絨毛検査羊水検査のように子宮に針を刺す操作を伴いません。そのため、NIPT自体が流産のリスクを高めることはないとされています。ただし、NIPTはあくまで非確定的なスクリーニング検査であり、陽性という結果が出た場合でも、それだけで診断が確定するわけではありません。

公益社団法人日本産科婦人科学会のNIPTに関する指針でも、NIPTの結果は確定診断ではなくスクリーニング検査の範囲にとどまるとされています。陽性の結果が出た場合は、羊水検査絨毛検査といった確定検査を受けるかどうかを、遺伝カウンセリングを通じて確認しながら判断していく流れになります。羊水検査そのものの流産リスクについては羊水検査の流産率についての記事で詳しく解説しています。NIPTの結果の見方についてはNIPT陽性と確定診断の違いについての記事もあわせてご確認ください。

一方、すでに流産を経験された後には、流産した組織の染色体を調べる絨毛染色体検査によって、原因が染色体異常だったのかどうかを確認できる場合があります。

実際に、流産後に絨毛染色体検査を受けた方の投稿では「結果、染色体異常なしとのこと。男の子だったって」と、検査結果を聞いたときの体験が語られています。@ie15265さんは「私のせいでごめんね」とも綴っていましたが、染色体異常の有無にかかわらず、早期流産の多くは偶発的に起こるものであり、ご本人の行動が原因になったわけではありません。

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6. 流産を経験した後、次の妊娠に向けて

1回の流産だけであれば、次の妊娠に向けて特別な検査が必要になることは多くありません。ただし、流産を2回以上繰り返す場合は「不育症」として検査を検討する対象になります。

日本産科婦人科学会の情報では、2回の流産を繰り返す反復流産は2〜5%程度、3回以上繰り返す習慣流産は約1%程度とされています。こども家庭庁の不育症に関する情報では、不育症の検査として子宮の形態検査、抗リン脂質抗体検査、夫婦の染色体検査、内分泌検査、流産した組織の絨毛染色体検査などが挙げられています。気になる方は不育症についての記事もあわせてご確認ください。

実際に、流産を繰り返した方の投稿でも「3回も流産するなんて、さすがに何か原因があるよね。まずは自然排出を待って、不育症検査できるか聞いてみよう」と、次の一歩として不育症検査を検討する様子が語られています。@Fuse3rさんのように、流産が続いた際は自己判断で抱え込まず、担当医に不育症検査について相談してみてください。

流産を経験した直後は、身体的な回復だけでなく、気持ちの整理にも時間がかかります。ご家族や友人には話しづらいという方も少なくありません。そうしたときは、性と健康の相談センターなど公的な相談窓口を頼ることもできます。ひとりで抱え込まず、頼れる場所を少しずつ増やしていくことが、次の妊娠に向き合う支えになります。

切迫流産や化学流産など、流産に関連する用語について詳しく知りたい方は切迫流産についての記事化学流産についての記事もあわせてご覧ください。

次の妊娠でNIPTを検討する場合、対象となる染色体疾患の範囲はプランによって異なります。ご自身に合うプランが分からない場合は、プラン診断を試してみてください。お電話でのご相談も受け付けています。0120-169-629までお気軽にお問い合わせください。

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よくある質問

染色体異常による流産率はどのくらいですか。

自然流産は妊娠全体の約15%に起こるとされ、そのうち妊娠12週未満の早期流産では、流産した組織の50〜80%程度に染色体異常が見つかると報告されています。数値は調査によって幅があります。

流産は誰にでも起こりうるものですか。

はい。日本産科婦人科学会の情報では、妊娠を経験した女性のうち38%が流産を経験しているという報告も紹介されています。流産は決してまれな出来事ではありません。

流産の原因は自分の生活習慣にありますか。

早期流産の主な原因は、卵子や精子がつくられる過程などで偶発的に生じる染色体異常です。運動や仕事、性生活が原因になることはほとんどないとされています。ご自身を責める必要はありません。

NIPTを受けると流産しやすくなりますか。

NIPTは母体の血液を採取するだけの検査で、子宮に針を刺す操作を伴わないため、検査自体が流産のリスクを高めることはないとされています。ただしNIPTは非確定的な検査であり、陽性の場合は羊水検査などの確定検査で判断します。

何回流産したら不育症検査を受けるべきですか。

一般的には、2回以上の流産を繰り返す場合に不育症としての検査が検討されます。1回の流産だけで特別な検査が必要になることは多くありませんが、心配な場合は担当医に相談してください。

流産後、次の妊娠までどのくらい期間をあけるべきですか。

次の妊娠までの期間については医学的にも見解が分かれており、月経が1〜2回来てから、あるいは心身の状態が整ってからを目安にすることが多いとされています。状況によって異なるため、担当医と相談しながら決めてください。

監修:岡博史(おか ひろし) / 医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有しています。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、日本産科婦人科学会・国立成育医療研究センター・こども家庭庁などの公的機関・学会情報を参照して作成しています。流産の頻度や染色体異常の割合は調査によって幅があり、記載の数値は目安です。ご自身の状況については担当医にご相談ください。

医師監修 監修日:2024年9月24日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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