開放性神経管奇形の検査方法とNIPTの限界について

NIPT 開放性神経管奇形の検査方法とNIPTの限界について

開放性神経管欠損症(開放性神経管奇形)は、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる「神経管」がうまく閉じないために起こる先天的な異常の総称です。代表的な疾患に二分脊椎と無脳症があり、日本では出生1万人あたり6人程度の頻度で起こると推測されています。超音波検査や母体血清マーカー検査で出生前にわかることが多い一方、NIPT(新型出生前診断)は染色体異常を調べる検査であり、開放性神経管欠損症は検出の対象に含まれません。この記事では、原因と葉酸による予防効果、実際に受けられる検査方法、NIPTとの違いを整理してお伝えします。

この記事でわかること

  • 開放性神経管欠損症(二分脊椎・無脳症)の基本的な仕組みと頻度
  • 葉酸摂取による予防効果と、公的機関が推奨する摂取量・時期
  • 超音波検査や母体血清マーカー検査でわかること
  • NIPTが検出の対象に含まれない理由
  • 検査を受ける時期の目安
  • 診断された場合の相談先とサポート体制

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開放性神経管欠損症(開放性神経管奇形)とは

開放性神経管欠損症とは、妊娠6週ころに形成される「神経管」の閉鎖が障害され、脳や脊髄の発育に異常が生じる状態です。神経管は受精卵の中で板状の組織の両端がくっついて管状になり、頭側が脳へ、足側が脊髄へと発達していきます。この管が完全に閉じないまま出生を迎えると、開放性神経管欠損症と呼ばれる状態になります。

代表的な疾患は二分脊椎と無脳症の2つ。二分脊椎は足側の神経管が閉鎖せず、脊椎の骨が脊髄を覆いきれない状態を指します。無脳症は頭側が閉鎖しない最も重い型で、脳組織の一部または全部が欠損します。慶應義塾大学医学部 脳神経外科学教室によると、二分脊椎はさらに、脊髄や髄膜が脊椎の外に出ている顕在性と、脊髄が脊椎内にとどまる潜在性に分けられます。顕在性のうち代表的なものが脊髄髄膜瘤です。

私たちは外来で、「なぜ自分の妊娠でこの病気が話題に上がるのか分からない」というご相談を受けることがあります。開放性神経管欠損症は特別にまれな病気ではなく、日本では出生1万人あたり6人程度の頻度で起こると推測されている疾患です。誰にでも起こり得るものだと知っておくことが、まず大切な一歩になります。

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主な原因とリスク要因

開放性神経管欠損症の大きな要因は、妊娠初期における葉酸の不足です。葉酸はビタミンB群の一種で、細胞分裂が活発な胎児の神経管形成に欠かせない栄養素とされています。

そのほか、抗てんかん薬(バルプロ酸など)の使用、糖尿病、肥満、妊娠初期の高熱、遺伝的な要因が関わると考えられています。持病の治療薬を服用中の方は、妊娠を計画する段階で担当医と相談し、薬剤の調整を検討してください。

いずれの要因も、単独で必ず発症につながるわけではありません。複数の要因が重なることでリスクが変化すると理解しておくと安心です。

葉酸摂取による予防効果

妊娠前から十分な葉酸を摂取することで、開放性神経管欠損症の発症リスクを下げられることが疫学研究で報告されています。過去の研究では、葉酸を十分に摂取した群で発症率が40〜70%低下したという報告もあります。

神経管が形成されるのは、妊娠6週ころという早い段階。多くの方が妊娠に気づくのは、この時期より後です。そのため、妊娠が判明してから葉酸を摂り始めても間に合わない可能性があります。

厚生労働省は2000年、神経管閉鎖障害の発症リスク低減のため、妊娠を計画している女性・妊娠の可能性がある女性に対し、通常の食事に加えて栄養補助食品から1日400μg(マイクログラム)の葉酸を摂取するよう情報提供しています。摂取が推奨される時期は、厚生労働省 e-ヘルスネットによると妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの期間です。

緑黄色野菜やレバーなどの食品にも葉酸は含まれますが、調理による損失が大きいという特徴があります。食事だけで必要量を満たすのは簡単ではないため、サプリメントを併用する方法が現実的です。葉酸の詳しい働きと摂取のコツは、妊娠中に必要な葉酸の働きと摂取方法で解説しています。

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超音波検査・母体血清マーカー検査でわかること

開放性神経管欠損症は、超音波検査や母体血清マーカー検査によって出生前に見つかる可能性がある疾患です。それぞれの検査には得意な時期と役割があります。

超音波検査は、胎児の脳や脊椎の形態を直接観察できる検査です。無脳症は妊娠11〜14週ころ、頭蓋骨の中に脳が確認できないことで疑われます。二分脊椎は妊娠16週以降、頭部や脊椎の形態異常から疑われることが多くなります。顕在性二分脊椎の代表である脊髄髄膜瘤では、水頭症や背中の隆起が手がかりです。

母体血清マーカー検査(クアトロテスト)は、妊婦さんの血液からAFP(α-フェトプロテイン)、hCG、非抱合型エストリオール、インヒビンAという4つの成分を測定するスクリーニング検査です。ダウン症候群や18トリソミーに加え、開放性神経管欠損症の可能性も評価対象に含まれます。ただし、これは非確定的な検査です。数値だけで診断を確定することはできず、超音波検査やMRI検査と組み合わせて総合的に判断します。

検査方法時期の目安特徴
超音波検査(エコー)無脳症:妊娠11〜14週ころ
二分脊椎:妊娠16週以降
脳や脊椎の形態を直接観察。非確定的検査
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)妊娠15〜20週ころ血液中の4成分から可能性を評価。非確定的検査
MRI検査妊娠18週以降が一般的超音波で判断しにくい病変の確認に利用。非確定的検査
NIPT(新型出生前診断)妊娠6週以降(施設により異なる)染色体異常が対象。開放性神経管欠損症は検出対象外

母体血清マーカー検査とNIPTの違いをさらに詳しく比較したい方は、母体血清マーカー検査とNIPTの違いもあわせてご覧ください。

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NIPTでは検出できない理由

NIPTは母体血液中の胎児由来DNAを分析し、染色体の数的異常を調べる検査であり、開放性神経管欠損症は検出の対象に含まれません。開放性神経管欠損症は染色体そのものの異常ではなく、神経管という組織の形成過程で起こる形態的な異常だからです。

日本産科婦人科学会の指針でも、NIPTの対象は21トリソミー・18トリソミー13トリソミーなどの染色体数的異常とされています。「NIPTを受けたから安心」と考えて他の検査を省略してしまうと、開放性神経管欠損症のように染色体以外に原因がある疾患を見逃す可能性があります。

私は診察の際、「NIPTの結果が陰性だったので、赤ちゃんの状態は全て問題ないと思っていた」という声を聞くことがあります。NIPTの結果が良好であることは、あくまで対象となる染色体異常の可能性が低いという意味です。開放性神経管欠損症の有無を確認するには、超音波検査や母体血清マーカー検査を別途受ける必要があります。

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検査を受ける時期の目安

開放性神経管欠損症に関わる検査は、妊娠週数によって受けられる内容が変わります。下記を目安に、担当医と相談しながらスケジュールを組んでください。

  • 妊娠1か月以上前〜妊娠3か月:葉酸の摂取を開始・継続する時期
  • 妊娠11〜14週ころ:超音波検査で無脳症の可能性を確認できる時期
  • 妊娠15〜20週ころ:母体血清マーカー検査(クアトロテスト)を受けられる時期
  • 妊娠16週以降:超音波検査で二分脊椎の可能性を確認できる時期
  • 妊娠18週以降:必要に応じてMRI検査で精密に確認する時期

羊水検査など確定的な検査を検討する場合は、実施できる時期がさらに限られます。羊水検査を受けるタイミングについては、羊水検査を受ける適切な時期と注意点を参考にしてください。

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診断された場合の相談先とサポート

開放性神経管欠損症の可能性を指摘された場合は、産婦人科医と連携する小児科・脳神経外科での精査と、遺伝カウンセリングの利用を検討してください。診断後の見通しを左右するのは、部位や範囲の違い。

脊髄髄膜瘤では、出生後24〜48時間以内に患部を閉じる手術が行われるのが一般的です。水頭症を伴う場合は、シャント術と呼ばれる処置が新生児期に必要になることもあります。出生後は、排尿・排便の管理や歩行のサポートなど、複数の診療科によるチーム医療が中心になります。

患者・家族向けの情報として、日本二分脊椎症協会が二分脊椎の基礎知識や生活の工夫、相談窓口を公開しています。診断直後は情報を一度に理解しきれないことも珍しくありません。同じ経験を持つ家族の声に触れられる場として、こうした患者団体の情報も選択肢に入れてみてください。

遺伝カウンセリングでは、次の妊娠における考え方や、利用できる医療・福祉の制度についても相談できます。ひとりで抱え込まず、専門家に相談することをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

開放性神経管欠損症について、外来でよくいただく質問にお答えします。

開放性神経管欠損症はNIPTでわかりますか?

わかりません。NIPTは染色体の数的異常を調べる検査で、開放性神経管欠損症のような神経管の形成異常は対象に含まれません。確認には超音波検査や母体血清マーカー検査を受ける必要があります。

葉酸を摂取すれば必ず予防できますか?

いいえ、必ず予防できるわけではありません。葉酸を十分に摂取した群で発症率が40〜70%低下したという報告がありますが、リスクをゼロにするものではありません。妊娠を考え始めた時点からの摂取が推奨されています。

葉酸はいつからいつまで摂取すればよいですか?

厚生労働省は、妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの期間、1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。神経管は妊娠6週ころに形成されるため、妊娠に気づく前からの摂取が重要です。

クアトロテストの数値が高い場合、確定診断ですか?

いいえ、確定診断ではありません。クアトロテストは非確定的なスクリーニング検査で、可能性を評価するものです。数値が高い場合は、超音波検査やMRI検査などと合わせて総合的に判断します。

開放性神経管欠損症はいつごろわかりますか?

超音波検査では、無脳症が妊娠11〜14週ころ、二分脊椎が妊娠16週以降にわかることが多いとされています。母体血清マーカー検査は妊娠15〜20週ころに受けられます。

診断された場合、どこに相談すればよいですか?

まずは担当の産婦人科医にご相談ください。小児科・脳神経外科での精査や遺伝カウンセリングを案内してもらえます。日本二分脊椎症協会など、患者・家族向けの情報を公開する団体もあります。

まとめ

開放性神経管欠損症は、神経管の閉鎖障害によって起こる二分脊椎・無脳症などの総称です。妊娠前からの葉酸摂取で発症リスクを下げられる可能性が報告されており、厚生労働省は1日400μgの摂取を推奨しています。

超音波検査や母体血清マーカー検査で出生前にわかることがある一方、NIPTは染色体異常を調べる検査であり、開放性神経管欠損症は検出の対象に含まれません。それぞれの検査が担う役割を理解したうえで、担当医と相談しながら必要な検査を選んでください。診断された場合も、専門的なサポート体制が整っています。ひとりで抱え込まず、早めに相談することが安心につながります。

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神経管閉鎖障害は、妊娠初期に神経管の形成が障害されて起こる無脳症や二分脊椎などの疾患のことです。葉酸の欠乏が主な原因として知られています。こ...

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監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有しています。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。当院のNIPTは、21トリソミーなど特定の染色体の変化について高い検出精度を持つ非確定的検査です。開放性神経管欠損症のような染色体以外に原因がある疾患は検出の対象に含まれません。確定には羊水検査などの確定検査が必要です。検査実績は75,000件以上、東京衛生検査所(国内)で検査するため最短2〜5日のスピード報告が可能です。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会・大学病院の情報を参照して作成しています。記載の数値は文献により幅があり、診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。

医師監修 監修日:2024年9月24日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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