ダウン症(21トリソミー)の特徴や検査方法について解説【医師監修】

ダウン症(21トリソミー)

ダウン症は、21番目の染色体が通常よりも1本多くなることから21トリソミーとも呼ばれます。新生児の染色体異常症では最も多いダウン症について、この記事で特徴や検査方法について解説します。

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ダウン症(21トリソミー)とは

ダウン症(21トリソミー)は、21番目の染色体が通常より1本多くなることで現れる染色体異常症のひとつで、知的・身体的発達の遅れなどがあります。

ダウン症、ダウン症候群という名前は、研究者のジョン・ラングドン・ダウン医師が19世紀後半に報告したことから名付けられました。

染色体とは細胞の中に存在し、DNAなどの遺伝子が詰まっています。

人間の染色体は常染色体1~22番各2本ずつと、性染色体2本の計46本あります。

この染色体が通常より1本多い染色体異常のことをトリソミーと言い、ダウン症は21番目の染色体が1本多いことから21トリソミーとも呼ばれます。

染色体の構造により、標準型・転座型・モザイク型の3種類に分けられます。

NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
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ヒロクリニックのNIPTは、胎児の染色体の数の異常の他、全常染色体全領域部分欠失疾患や全常染色体全領域部分重複疾患といった染色体の構造異常の...

標準型

全体の90%以上を占めます。父親由来の染色体と、母親由来の染色型の分離が上手くいかずに21番目の染色体が増えてしまうことが原因です。

標準型の場合、両親の染色体には問題がないことがほとんどです。

転座型

全体の4~5%程と珍しいのが、この転座型です。標準型とは違い、両親のどちらかの21番目の染色体の一部が他の染色体にくっついてしまっている(転座)状態のことを言います。

両親のどちらかが転座染色体を持っていることで起こると考えられています。

モザイク型

1~2%前後の発生率と非常に珍しいのが、このモザイク型です。

染色体異常がある細胞と、正常な細胞が入り混じっていることからこの名前が付きました。

細胞の割合によっては、他のタイプよりもダウン症としての症状が軽くなる例もあります。ダウン症(21トリソミー)は、0.1~0.2%(約500~1000人に1人)の割合で生まれ新生児のトリソミーの中でも最も多いことでも知られています。

人間の染色体構造の異常によって発生するので、ダウン症は他の哺乳類には見られません。

以前、海外のニュースでダウン症の特徴にあてはまる顔立ちの猫が注目されました。

猫にもごくまれに染色体異常を持って生まれてくる子がいるようですが、人間のダウン症とは異なります。

ダウン症は出産年齢によって確率が変わる

ダウン症の出生頻度は、下表のように母親の出産時の年齢と関係することが分かっています。

出産時の母年齢ダウン症の出生頻度
201,667人に1人
251,250人に1人
30952人に1人
31909人に1人
32769人に1人
33625人に1人
34500人に1人
35385人に1人
36294人に1人
37227人に1人
38175人に1人
39137人に1人
40106人に1人
4182人に1人
4264人に1人
4350人に1人
4438人に1人
4530人に1人
4623人に1人
4718人に1人
4814人に1人
4911人に1人
引用元:厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業等の あり方に関する検討会 」報告書 参考資料
14.女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度 より

ただ、なぜ高齢出産だとダウン症の出生頻度が上がるのか、詳しいメカニズムはまだ明らかになっていません。

ダウン症が持つ身体的特徴

ダウン症の症状や、身体的特徴について見ていきましょう。

以下からご紹介する特徴はあくまで傾向であり、人によってその程度は異なります。

顔つき

ダウン症の子供は、頭が小さく広く扁平な顔立ちになる傾向があります。

出生時には判断がつきにくく、成長するにつれ

  • 鼻が低い
  • 舌が長く釣り上がった目
  • 耳の位置が低い
  • 耳が小さく丸い
  • 首の後ろの皮膚が余っている(皮膚余剰)

などの特徴が現れるケースも。

また、筋肉の発達がゆっくりなため、口が開きっぱなしになる人も多いようです。

手と指

手は短く、横幅が広くなる傾向があります。

特徴なのは手のひらのしわで、手相で言う感情線や頭脳線のように両側から真ん中に向かって2本の線があるのではなく、手の平を横切るようにまっすぐな1本のしわが見られます。

小指の間接が1つ少なく、内側に曲がっていることが多いのも特徴です。

足の親指と人差し指の間も広くなっているケースも見られます。

身長や筋力

ダウン症の子、特に小児は低身長であることが多いです。

筋肉量が低く、筋緊張も少ないため運動の発達がゆっくりとしておりハイハイ・歩行などを習得するために通常よりも時間を要する例もしばしば見られます。

また、肥満リスクも通常より高いようです。

ダウン症の知能や精神発達への影響

ダウン症の場合の知能や、精神の発達にどのような影響を及ぼすのかご紹介していきます。

言語や知能指数

知能指数(IQ)は個人差があるため一概には言えませんが、通常の子供のIQを100とした場合、ダウン症の小児の平均値は50ほどだと考えられています。

言語の発達がゆっくりで、言葉が不明瞭・抑揚のない話し方をすることも。

行動面では、

  • 注意欠如・多動症
  • 自閉的行動(同じことを何度も繰り返すなど)

などが見られることも少なくありません。

小児期から青年期の両方でうつ病リスクが高くなると考えられ、早い段階で教育等の介入をすることで個人の能力を上げることが期待できます。

視覚と聴覚の認知処理

ダウン症の小児は言語能力の発達がゆっくりなのに比べ、視覚認知は得意な子も多いようです。

そのため、言葉を使うよりも、ジェスチャーや絵・写真を使った方がコミュニケーションをとりやすいこともあります。

合併症・疾患のリスク

ダウン症は身体的・知能的特徴だけでなく、合併症や疾患のリスクも指摘されています。

心疾患

ダウン症のある小児の中で、約半数が心疾患のリスクがあります。

心臓を4つの部屋に仕切る壁がきちんと形成されていないことによる、心内膜床欠損や心室中隔欠損症という疾患が発生する例が多いようです。

消化器関係

十二指腸閉鎖、鎖肛などの消化器疾患を持つ頻度も低くなく、人によっては生後すぐの手術が必要なケースもあります。

また、摂食機能の発達がゆっくりだったり、上あごが小さかったりして食材を咀嚼するのが不得意な小児も少なくないようです。

その他の合併症・疾患

の他にも、以下の合併症や疾患が現れることがあります。

難聴/中耳炎/閉塞性の無呼吸

  • 白内障/斜視
  • 排尿機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • 脱臼
  • けいれん

他にも、糖尿病や白血病のリスクが高くなることも分かっています。

かつては短命と考えられていましたが、現代では診断精度や医療技術の向上などにより平均寿命は60歳ほどまで伸びているようです。

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ダウン症の検査について

ダウン症の診断は、出生前と後で方法が異なります。

出生前検査

出生前、妊娠時に行う検査方法を3つご紹介します。

クアトロテスト

クアトロテスト(またはクアトロ検査)は血液検査の一種です。

母親の血液中にある、

  • β−hCG
  • 非抱合型エストリオール
  • インヒビン
  • αフェトプロテイン

の4種類のマーカーを測定します。

自費でも比較的安価で受けられるのが特徴ですが、精度は80%とそれほど高くなく偽陽性が出る確率が5%であることも指摘されています。

NIPT(新型出生前診断)

NIPT(新型出生前診断)も血液検査ですが、母の血中にある胎児のDNAの断片を解析するため、検出率95%(陰性的中率99.99%)とより精度が高いのが特徴です。

保険適用外のため費用が高く、施設によってはNIPT(新型出生前診断)を受けるために年齢などの条件を設けているところもあるようです。

クアトロテスト、NIPT(新型出生前診断)のどちらもスクリーニングのために行われ、確定診断のためには次にご紹介する羊水検査を受けなければいけません。

NIPT(出生前診断)とは
NIPT(出生前診断)とは
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...
羊水検査

血液検査でダウン症の可能性が指摘された場合、確定診断のために羊水検査を行います。

胎児と羊水の状態を調べながら注射器で羊水を採取し、羊水に含まれている胎児の細胞から染色体を調べます。

細胞を培養して判定するため、結果が分かるまでは数週間かかります。

血液検査と比較すると母体への負担があるため、0.1~0.3%(1,000人に1~3人)の割合で流産する可能性がありますが自然流産の確率と比べると特別リスクが高まるというわけではありません。

出生後の検査

出生前に検査を受けなかった・結果が判明しなかった場合は、新生児の顔つきや身体的特徴を見たり、血液検査をしたりして判断を行います。

ダウン症だと判断された場合は、先ほどご紹介したような疾患や合併症がないか定期的に検査を行い早めに対策を講じる必要があります。

最後に

今回は、「ダウン症とはなにか?」というテーマで、身体的・知能的特徴などについて解説いたしました。

染色体という細胞内の異常のため、筋肉や内臓の発達に影響を及ぼすことも多く、発達の遅れには早い段階でサポートをしていく必要があります。

ヒロクリニックNIPTのNIPT(新型出生前診断)は、日本で初めてVeriSeqNIPT Solution V2 のシステムを導入し10,000件以上の実績を積み重ねてまいりました。

NIPT(新型出生前診断)や羊水検査について、分からない点がありましたらご相談ください。

胎児の性別は10週目でわかる

【参考文献】

  • ダウン症候群(21トリソミー) – MSD マニュアル家庭版
  • ダウン症とは?症状や具体的な特徴、生活の様子など – LITALICO発達なび
  • 猫もダウン症になる?!ダウン症の特徴を持つ猫とはいったい?- mofmo
  • ダウン症とは? ダウン症の原因から経過まで – MedicalNote

ダウン症は、21番目の染色体が通常よりも1本多くなることから21トリソミーとも呼ばれます。新生児の染色体異常症では最も多いダウン症について、この記事で特徴や検査方法について解説します。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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