遺伝病のリスクを無視しないで~赤ちゃんの性別を検査しましょう【医師監修】

赤ちゃんの性別を検査しましょう

なぜ、赤ちゃんの性別を生まれる前に知る必要があるのでしょうか?その理由をX-linked recessive inheritance(伴性劣性遺伝)と併せ、解説します。さらに、出産前にするべき具体的な検査の紹介もしています。

胎児の性別は
10週目でわかります

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出産前に、赤ちゃんの性別を調べる理由

『生まれる前に、性別を調べる意味ある?』
『楽しみが減ってしまいそう』
赤ちゃんの性別に対し、このような考えをもっていませんか?

結論をいえば、出産前に赤ちゃんの性別や遺伝子を調べておいた方がよいでしょう。
なぜなら、性別によって発症※1リスクをもつ遺伝病があるからです。

出産前から、性別と遺伝子の情報がわかっていれば、親として赤ちゃんが快適に過ごせるような生活を提供できるでしょう。

伴性劣性遺伝(X-linked recessive inheritance)は、遺伝病の原因の1つです。
伴性劣性遺伝である男の子は病気を発症します。
女の子である場合、あなたの孫に発症リスクがあるかもしれません。


出生前診断を受けるかどうか、悩んでいるあなたへ。
伴性劣性遺伝についての知識は、あなたの助けとなるはずです。

本記事では、

  • 伴性劣性遺伝で発症する病気
  • 伴性劣性遺伝について
  • 親としてどんな検査をすべきなのか

を解説します。

以上を理解していないと、赤ちゃんの発症前に、何も対策してあげられない。
発症後も、病院にいくタイミングがわからず、気が付いたときは手遅れ。
病気についての知識がなければ、何科にいくべきかわかりませんよね。

しかし、遺伝病について理解しておくと、親として適切な判断と子育てができます。
突然わが子に訪れた発症にも戸惑わず、親として快適な生活を赤ちゃんにおくらせてあげる手助けとなるでしょう。

※1 発症:症状が出たり、病気になったりすること。
本記事では伴性劣性遺伝が発症の原因にあたります。

伴性劣性遺伝が原因でなりやすい病気

ヒトはX染色体をもっており、X染色体にヒトの身体を作る情報が記録され、その情報は遺伝子と呼ばれています。

しかし、異常によってこの情報が書き換えられてしまうと、ヒトはさまざまな病気へ。

どの部分を書き換えられるかにより、病気の種類が変わってきます。

そして、あなたやあなたの配偶者が下記に示す病気をもつ場合、赤ちゃんに遺伝する可能性があります。

赤緑色盲

端的にいえば、赤色系統や緑色系統を認識できません。
視力が悪いわけではありません。
しかし、将来就ける職業に規制がかかります。

色覚異常の1種で、色盲(しきもう)として知られています。

たとえば

  • 信号灯をみる交通、運輸関係の操縦士
  • 画家、デザイナー
  • 警察、消防、船舶、防衛省
  • ふぐ調理師、毒物劇物取扱責任者

は色盲でない証明が必要な職業です。

血友病(AとB)

血友病は、「出血したとき、血が止まらなくなる病気」
なぜなら、血液凝固因子が少ないからです。

血液凝固因子とは、血液を固める役割をもちます。
ケガをして血が出ても、固まって「かさぶた」になるのは、血液凝固因子のおかげです。

伴性劣性遺伝から発症する血友病は、AとBの2種類。
血友病AとBの違いは、血液凝固因子の違いです。
つまり、どの血液凝固因子が少ないか。

血液凝固因子は1つではなく、複数存在します。

血友病Aでは第VIII(8)因子の異常、血友病Bは第IX(9)因子の異常によるものです。

筋ジストロフィー

筋肉の制御ができなくなる病気です。
筋肉が制御できなくなる理由は、ジストロフィンが不足しているから。
ジストロフィンとは、筋肉の形を内側から支えているタンパク質。
ジストロフィン遺伝子に異常がおきると、ジストロフィンが身体でつくられなくなります。


どこの筋肉が制御できなくなるかで、重症度が違います。
たとえば、呼吸筋だと呼吸不全で死に至ります。
足や骨盤周りの制御ができなければ、歩けなくなり車椅子生活です。
近年では、大泉洋さん主演の「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」で有名になった病気ですよね。

ベッカー型とデュシェンヌ型

伴性劣性遺伝が原因となる筋ジストロフィーは、ベッカー型とデュシェンヌ型の2種類です。
両者の違いはジストロフィンの量。
ベッカー型に比べ、デュシェンヌ型はジストロフィンが少量です。

平均寿命にも差があり、デュシェンヌ型は30歳前後、ベッカー型は40歳代まで生存のケースがあります。

XLA(X連鎖無ガンマグロブリン血症)

XLA(X連鎖無ガンマグロブリン血症)では、感染症にかかりやすくなります。

感染症にかかりやすくなる理由は、B細胞が産生されず、免疫力の低下へつながるからです。

B細胞の役割は抗体を作ること。
免疫機能はB細胞だけではありませんが、免疫機能において重要なポジションにいます。

たとえば、免疫力の低下で、細菌やウイルスに抵抗できず、重症化しやすいので、

  • 新型コロナウイルス感染症
  • 髄膜炎
  • 敗血症
  • 肺炎
  • 気管支炎

になりやすくなります。

X連鎖魚鱗癬(X-linked ichthyosis)

魚鱗癬(ぎょりんせん)とは全身の皮膚が乾燥し、魚の鱗(うろこ)のようになったり、フケが多く剥がれ落ちる状態。
皮膚以外の臓器にも異常がみられるケースもあります。

遺伝子の異常で、ステロイドスルファターゼ 酵素(STS)が身体の中にないのが理由です。

グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症

貧血が起こりやすくなります。

その理由は、活性酸素により、赤血球が溶血※1されやすくなるためです。

グルコース-6-リン酸脱水素酵素は、活性酸素の除去を助ける働きがあります。
つまり、この酵素がなければ活性酸素を除去できなくなり、活性酸素が赤血球を溶血させます。

※1 溶血:赤血球が壊れること。

伴性劣性遺伝は病気の原因で、遺伝する

ヒトの性別はXとYで表現される

男性はXとY(以下XY)、女性はXとX(以下XX)と表現されます。

ヒトの染色体は46本。
そのうち2つの染色体がXとY、またはXとXで、これらは性染色体といわれます。

Xの一部に異常があり、受け継がれていく

伴性劣性遺伝はX染色体の一部に異常がみられます。

性染色体(XやY)はヒトの身体を作る情報が記録されており、辞書のようなもの
と例えられます。

なんらかの原因で、辞書の一部分が燃えたり、破れたりする欠損がおきたら、ヒトの身体は欠損のおきた部分がなくなってしまうのです。
極端な話、X染色体上に小指の情報が書かれていて、それが欠損したら小指のない人間になってしまいます。

そして、辞書(X染色体の異常)は、あなたの子孫に代々受け継がれていきます。

息子は発症、娘の発症は稀

X染色体の異常を受け継いでも、娘(XX)は発症しません。
理由は、女性はX染色体を2つもっているからです。
X染色体を2つもっていると、片方に異常があっても、もう片方が異常を補う役割をします。
娘(XX)が発症する場合、両親ともに異常なX染色体をもっている必要があり、非常に稀なケースです。

息子(XY)の場合は、異常をカバーできません。
なぜなら、X染色体に比べ、Y染色体は遺伝子の種類が少ないからです。
前項のように例えると、X染色体が辞書ならば、Y染色体は文庫本。
辞書に比べて情報量がすくないので、文庫本は辞書の代わりになれませんよね。

代償できるものがない息子(XY)は発症し、辞書の何ページに異常があるかによって、発症する病気が変わります。

娘、息子ともに遺伝する

性染色体の遺伝は父親(XY)からXかYのどちらか、母親(XX)からXとXのどちらかを受け継ぎます。

発症の有無に関わらず、異常なX染色体は遺伝します。
しかし、100%の確率で遺伝するわけではありません。

どう遺伝するかは、父親と母親のどちらが異常なX染色体をもっているかで変わります。

発症しない娘(XX)が生まれたとしても、保因者※1となる可能性があります。
娘(XX)が出産するときに、保因者であることを知らなければ、あなたの孫に悪影響がでるかもしれません。

※1 保因者:異常な遺伝子をもっているが、病気を発症していない状態。

父親が異常なX染色体をもつ場合

※赤文字が異常なX染色体

父親が異常なX染色体をもっているとき、息子には受け継がれません。
息子には、父親からY染色体が遺伝するからです。

しかし、娘には必ず異常なX染色体が遺伝し、保因者です。

母親が異常なX染色体をもつ場合

※赤文字が異常X染色体

母親が異常遺伝子をもつ場合、息子と娘に遺伝する確率は50%であり、息子の発症は母親から遺伝したときのみです。

親として、出生前の赤ちゃんにできること【全染色体検査】

出生前診断で、赤ちゃんの性別や遺伝子の検査をオススメします。

赤ちゃんについて理解するのは、子育てしていく上で欠かせないからです。
事前に知っておかなければ、親として正しい対処がし難いとおもいませんか?

たとえば、赤ちゃんが男の子で血友病のリスクをもっているとしましょう。
流血が止まらなくなって、初めて発症に気がつくなんて、恐ろしいですよね。

ヒロクリニックNIPTでは出生前診断で性別判定を受けられます。

本日紹介した、伴性劣性遺伝は「全染色体検査」で、病気の発症リスクを性別と併せて検査可能です。

「出産後、赤ちゃんには元気で快適に過ごして欲しい」
この願いを叶えるため、親としてあなたの赤ちゃんについて、出産前から知っておきませんか?

なぜ、赤ちゃんの性別を生まれる前に知る必要があるのでしょうか?その理由をX-linked recessive inheritance(伴性劣性遺伝)と併せ、解説します。さらに、出産前にするべき具体的な検査の紹介もしています。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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