妊娠中のカラダと心は、日々めまぐるしく変化していきます。そんな中でも、多くの妊婦さんにとって“安定期”はひとつの希望のような存在。つわりが落ち着き、気持ちも少し余裕が出てきて、赤ちゃんとの未来を想像する時間が増える——そんな時期がやってきます。けれど、「安定期って、いつから?」「本当に“安定”なの?」という疑問を抱く方も少なくありません。この記事では、安定期の開始時期や体調の変化、そして話題のNIPT(新型出生前診断)との関係性について、専門的かつやわらかい言葉でお伝えします。
安定期ってなに? 専門家の視点から読み解く“安定”の意味
妊娠に関する情報を集めていると、必ず目にする「安定期」という言葉。でも、実はこれ、医学的に厳密な定義があるわけではありません。
多くの産婦人科では、妊娠16週目あたりから妊娠27週までを“安定期”と呼ぶことが一般的です。これは妊娠全体を3つの時期に分ける中期にあたり、ホルモンバランスが整い始め、体調が落ち着く傾向が見られるから。
特に、妊娠12週を過ぎたあたりから流産のリスクが大きく下がるとされ、心理的にも安心感が増してくるタイミングと言えるでしょう。
とはいえ、“安定”という言葉に安心しすぎて無理をすると、かえって体調を崩すことも。言葉の響きに惑わされず、自分の体としっかり向き合うことが大切です。
週数で見る、安定期の目安とそのサイン
「安定期に入った」と感じるのは、人それぞれ。でも、いくつかの共通した目安があります。
妊娠16週がひとつの節目
多くのクリニックでは、妊娠16週を安定期のスタートとすることが多いです。この時期は、胎盤の完成やつわりの軽減といった身体的な変化が起こるタイミングでもあります。
体調のサインに注目
「なんだか最近、食べられるようになってきた」「眠れるようになった」など、日常の中にある変化が、安定期入りのサインかもしれません。
妊娠中の身体はとても繊細。だからこそ、数字(週数)だけでなく、自分の感覚も大切にしたいところです。
安定期だからできること、でもやりすぎないで
「安定期に入ったから旅行しても大丈夫?」「そろそろ運動再開してもいい?」——そんな声も多く聞かれます。
軽い運動や外出もOK。でも医師と相談を
マタニティヨガやウォーキングは血行を促し、心のリフレッシュにも◎。ただし、急な運動は禁物です。必ず医師に確認してから始めましょう。

食生活は今が見直し時
胎児の発達が進むこの時期、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。鉄分、葉酸、カルシウム、そしてDHAなどの摂取を意識してみてください。
「無理しない」が合言葉
元気になってくる時期だからこそ、「もう大丈夫」と動きすぎてしまう方も。でも、安定期は“活動再開の時期”であって“何でもOKな時期”ではありません。体が出すサインを無視しないでくださいね。
NIPT(新型出生前診断)って安定期とどう関係あるの?
ここで少し、NIPTについて触れておきましょう。
NIPTとは?
母体の血液から胎児の染色体異常を検出する、新しいタイプの出生前診断です。ダウン症(21トリソミー)などの可能性を高精度で把握でき、妊娠10週から受けることができます。
安定期よりも前に受ける検査
「安定期=安心な時期」ですが、NIPTはその前の時期に受ける検査です。妊娠中のリスクに早く向き合うために、早期の選択肢として注目されています。
検討時のポイント
- 信頼できる医療機関(認可施設)で受けること
- 結果に伴う意思決定への心構え
- パートナーや家族と共有する時間を持つこと
NIPTは“命と向き合う”選択のひとつ。受ける・受けないの判断も含めて、専門家のサポートを受けながら進めるのが理想的です。
安定期は、母子ともに整う時期。でも油断は禁物
気をつけたい体調トラブル
・風邪やインフルエンザなどの感染症 ・妊娠高血圧症候群(むくみ、頭痛など) ・貧血、便秘などの体調変化
こうした不調が出た場合は、安定期であってもすぐに医師へ相談を。自己判断は避けましょう。
メンタルの揺らぎにも敏感に
安定期に入っても、心はまだナイーブ。育児への不安、仕事との両立、家庭内のプレッシャーなど、思いがけないストレスに心が傾くこともあります。無理に「元気に振る舞おう」としないこと。誰かに話すだけでも、ぐっと楽になります。
まとめ:安定期は“自分と赤ちゃんの現在地”を見つめ直す時間
妊娠16週から始まる“安定期”。それは、ホッとひと息つける時期であると同時に、赤ちゃんとの未来に向けて再スタートを切る大切な時間です。
食事、運動、検査、心のケア——どれも大事だけれど、一番の指針は「自分の感覚」。情報や週数にとらわれすぎず、自分らしいマタニティライフを歩んでください。
そして、必要に応じてNIPTを含む出生前検査も視野に入れつつ、赤ちゃんとともに前向きな選択を重ねていきましょう。
