「高齢出産だと、赤ちゃんに障害が出る確率が上がる」
「発達障害や自閉症だったらどうしよう……」
晩婚化が進み、35歳以上のいわゆる「高齢出産」が全体の約25%(4人に1人)を占めるようになった現代。新しい命を授かった喜びの裏で、こうした漠然とした不安を抱え、ネット検索をしては落ち込んでしまう……そんな日々を過ごしていませんか?
「五体満足で生まれてきてほしい」と願うのは、親として当然の感情です。
その不安は、あなたがこれから数十年の人生を共にする我が子を、そしてパートナーや自分自身の人生を大切に思っているからこそ生まれる「愛の証」でもあります。
今回は、NIPT(新型出生前診断)の専門医として多くの妊婦さんと向き合ってきたヒロクリニック・岡弘医師の解説を元に、高齢出産と自閉症の関係性、そして妊娠中に「分かること」と「分からないこと」について、感情論ではなく医学的データに基づいて詳しく紐解いていきます。
まず、皆さんが最も気になっているであろう「高齢出産だと自閉症のリスクは上がるのか?」という疑問について、結論から申し上げます。
「両親の年齢が上がると、自閉症のリスクは上昇する傾向にあります」
これは、国内外の様々な研究レポートで報告されている事実です。
岡医師が動画内で提示した具体的なデータ(リスク倍率)を見てみましょう。母親の年齢が「25歳〜29歳」の場合のリスクを「1」とした時、年齢とともにリスクは以下のように変化します。
40歳を超えると、20代後半に比べてリスクが最大で2倍近くになることが分かります。
しかし、ここで重要なのは、**「年齢の影響を受けるのは母親だけではない」**という点です。
一般的に高齢出産というと女性側の年齢ばかりが注目されがちですが、自閉症のリスクに関しては、父親の年齢も大きく関係しています。
父親が50歳以上の場合も、若い父親に比べてリスクが約2倍に上昇することが分かっています。
その原因として考えられる医学的な理由は、主に以下の2点です。
ただし、自閉症の原因は遺伝だけではありません。環境的な要因も複雑に絡み合っているため、「親が高齢だから必ず自閉症になる」わけでは決してありません。あくまで統計的に「リスク(確率)が上がる」という事実がある、と理解してください。
「リスクが上がるなら、生まれる前に検査で白黒はっきりさせたい」
そう思うのは自然なことです。しかし、残念ながら現代の医学においても、**「妊娠中に『自閉症かどうか』を直接診断する検査は、ほぼ存在しない」**というのが現実です。
自閉症(自閉スペクトラム症)は、脳の機能的な障害であり、身体の形に特徴が出るものではありません。そのため、一般的な妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査で、脳の形や心臓の動きをどれだけ詳しく見ても、自閉症を見つけることは不可能です。
また、生まれた後に遺伝子検査を行うことは可能ですが、それでも原因が特定できるのは全体の約20%程度と言われています。残りの80%は、遺伝子を見ても原因がはっきりしないのです。
通常、自閉症の診断がつくのは、言葉の遅れやこだわりなどの行動特徴が顕著になってくる「幼児期から学童期手前」です。精神科や小児科で行動観察を経て初めて診断されるため、お腹の中にいる段階で「この子は自閉症です」と断定することはできません。
「じゃあ、生まれてくるまで何も分からないまま、不安に耐えるしかないの?」
いいえ、そうではありません。
ここからが今回最もお伝えしたいポイントです。
「自閉症そのもの」をピンポイントで調べることはできませんが、**「自閉症や発達障害を高い確率で合併する『染色体疾患』」**であれば、妊娠中に調べることができます。
その代表的な疾患が、**「22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)」**です。
この名前を聞いたことがある人は少ないかもしれません。しかし、医学の世界では**「ダウン症の次に多い、発達障害・知的障害を伴う疾患」**として知られています。
22番染色体のごく一部が欠けてしまう(微小欠失)ことで起こる病気で、以下のような特徴があります。
岡医師によると、ディジョージ症候群による知的障害や発達障害の度合いは、ダウン症よりも重いケースも少なくないといいます。つまり、「自閉症のリスクを知りたい」と考える妊婦さんにとって、この疾患の有無を調べることは非常に大きな意味を持つのです。
ダウン症(21トリソミー)は、母親の年齢が上がるにつれて発症率が上がることが有名です。そのため、NIPT=高齢出産の人が受けるもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、この**「ディジョージ症候群(微小欠失)」に関しては、母親の年齢とは無関係に、ランダムに発生します。**
20代の若いお母さんから生まれる赤ちゃんにも、40代のお母さんから生まれる赤ちゃんにも、等しく発症する可能性があります。
「私はまだ若いからNIPTは必要ない」と思っている方でも、この「微小欠失」のリスクはゼロではないのです。
「自閉症の可能性を含めて、赤ちゃんの状態をより詳しく知りたい」
そう願う方にとって、現在最も有効な手段の一つが、微小欠失まで調べられる**「NIPT(新型出生前診断)」**です。
一般的な産婦人科や認可施設で行われているNIPTは、基本的に「13番、18番、21番(ダウン症)」の3つの染色体の数のみを調べる検査です。これでは、先ほどお話しした「ディジョージ症候群」などの微細な欠失は見つけることができません。
岡医師が院長を務めるヒロクリニックのような、専門的な解析を行っている施設では、全染色体の検査に加え、微小欠失(微小重複)検査を行うことが可能です。
お母さんの腕から採血をするだけで、お腹の赤ちゃんに「自閉症や知的障害を伴う染色体異常」があるかどうかを、高い精度でスクリーニングすることができます。
通常のNIPTは妊娠10週以降に行われますが、ヒロクリニックではエコーで心拍が確認できれば、妊娠6週から検査が可能な「Early NIPT」も実施しています。
つわりが辛い時期、不安で夜も眠れない時期に、少しでも早く赤ちゃんの状態を知ることができる――その安心感は、妊婦さんの心身の負担を大きく軽減してくれるはずです。
NIPTは、単に「病気を見つける」だけの検査ではありません。
岡医師は、動画の最後でこう語ります。
「自閉症や発達障害のあるお子さんを育てる家庭では、特にお母さんに大きなストレスがかかることが知られています。もし陽性だった場合でも、羊水検査で確定診断を行い、生まれる前から病気についての知識を深め、療育やサポート体制の準備を始めることができます」
もちろん、検査を受けるかどうかの選択はご家族の自由です。
しかし、何も知らずに不安だけを抱えて過ごすよりも、「検査で分かること」と「分からないこと」を正しく理解した上で、自分たちなりの選択をすることが、後悔のない出産への第一歩となります。
高齢出産における自閉症リスク。
それは決して他人事ではなく、誰にでも起こりうる確率論の話です。
この3つの事実を知っているだけで、漠然とした不安の形が少しはっきりしてきたのではないでしょうか。
不安を「見ないふり」をするのではなく、正しい知識という「明かり」を灯して向き合うこと。それが、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にするための、一番の近道です。
もし今、あなたが赤ちゃんの健康について悩んでいるのなら、一人で抱え込まずに専門医に相談してみてください。あなたの不安を解消するための技術とサポートが、ここにはあります。
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