NIPTと性染色体検査の真実|医師が語る知られざる倫理的課題【YouTube動画解説】

こんにちは、
未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にするおかひろしです

このチャンネルでは、NIPT、新型出生前診断を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情でなくデータを元に分かりやすくお届けしていきます。

先日、某新聞社から「非認証施設で検査を受けた夫婦が苦悩した」とする記事が出ました。

ですが、この記事、現場を知る医師として、はっきり申し上げます。
非常に一方的で、非認証施設を「悪者」に仕立てすぎている。

検査そのものは、正しく使えば「命の選別」ではなく、「命を守るための判断材料」になります。
そして、検査をどこで受けたかによって医療対応が左右されるという現状こそが、最大の問題です。

NIPT検査の様子と染色体分析イメージ

「非認証=危険」は思い込み

  • 記事では、「非認証施設は遺伝カウンセリングが不十分」と何度も強調しているが、 遺伝カウンセリングは診療行為の一部である
  •  認証・非認証ではなく、実際にどう説明しているかを評価すべきである

診ない医師の方が問題

  • どこで検査を受けたかに関わらず、医師には応召義務がある。(応召義務について説明必須)
  • 患者が困っているとき、診察を断ったり、高圧的に責める行為は、医療者としてあってはならない。

「性染色体検査=命の選別」じゃない

  • クラインフェルター症候群の診断に対し、「中絶を前提に話が進んだ」との記事内容があった。
  • ですが、実際には、早期に知ることで治療や支援を早く始められるというメリットがある。
  • 患者さんも「心の準備ができてよかった」と話しているのに、
  • なぜそこを評価せず、「NIPTを受けたからこそ不幸」かのようにまとめているのか?これは偏った編集だと思う。

認証施設の問題点

  • 日本では、性染色体の検査を希望しても認証施設では実施していない現状があります
  • その結果、多くの妊婦さんが選択肢を奪われ、情報を得るタイミングを逃している。つまり「知る自由」「選ぶ自由」が事実上、奪われている
    ◻︎憲法21条:言論・表現・知る権利の保障
    ◻︎情報にアクセスする自由を制限することは立憲的に危険
    ◻︎「知らなくていい」は“権利の剥奪”につながる
  • だからこそ、非認証でも情報提供・ケアが整っている施設があることに意義がある。

本日のまとめ

今日は、某新聞社の記事に思うことがあり、お話ししました。
NIPTは「選別」のための検査ではありません。
支援の準備や未来の選択肢を得るための検査です。
そして、医師として本当に問うべきは“どこで検査を受けたか”ではなく、どう支えるかだと思います。
某新聞社さんには、現場の声ももっと拾っていただきたいと思います。
記事ではクラインフェルター症候群の支援団体の声が紹介されていますが、一方で「NIPTで知れてよかった」という家族の声が軽視されている。
人それぞれの価値観があるなかで、「この情報を知る権利」そのものが否定されていいはずがありません。