遺伝と容姿の多様性|なぜ「ブサイク」は淘汰されないのか?驚きの科学的真実【YouTube動画解説】

それでは、どのような身体的特徴が親から子へ遺伝するのか解説します。

見た目が悪いと結婚できないリスクがある? その一族は絶える可能性がある。

特徴関連遺伝子説明
身長HMGA2、GDF5 など多数多くの遺伝子が少しずつ関与する多因子遺伝形質。
肌の色SLC24A5、SLC45A2、MC1R などメラニンの量や種類に関与。
髪の色MC1R(赤毛)、OCA2 などヨーロッパ系で赤毛の原因となるMC1R遺伝子が有名。
目の色OCA2、HERC2青い目・茶色い目の違いはこの領域が関係。
顔の形PAX3、EDAR、DCHS2 など鼻の高さや頬骨、顎の形に関与。
歯並び・顎MSX1、PAX9歯の数や形成、顎の成長に関係。
毛の太さ・くせ毛EDAR、TCHH東アジア人に特有の硬く直毛の髪に関連。

そもそも遺伝とはどのような現象ですか?

不利な遺伝子が残る主な理由

1. 劣性遺伝子だから

  • 多くの有害な遺伝子は 劣性遺伝子 として存在します。
  • 劣性遺伝子は、同じ遺伝子を 両親から2つとも受け継がない限り発症しません(例:鎌状赤血球症、嚢胞性線維症)。
  • 片方だけ持っている人(キャリア)は 健康に問題なく、淘汰の対象になりにくいため、集団内に残りやすいです。

2. 異なる状況で有利になることがある(ヘテロ接合体優位)

  • 代表例は「鎌状赤血球症の遺伝子」です。
    • この遺伝子を 1つだけ持つ人(キャリア)は、マラリアへの抵抗力が高くなるというメリットがあります。
    • このため、マラリア流行地では 不利な遺伝子がむしろ有利になる環境もあり、残り続けます。

3. 高齢で影響が出る遺伝子は淘汰されにくい

  • 進化の淘汰は基本的に「生殖年齢までに子孫を残せるか」に影響します。
  • そのため、高齢になってから症状が出る遺伝病(例:ハンチントン病)は、子どもを産んだ後に発症するため、淘汰されにくいのです。

4. 遺伝子の「完全な欠陥」ではなく、「副作用」である場合

  • たとえば「精神疾患に関連する遺伝子」には、創造性や知性に関係する面があるという研究もあります。
  • つまり、「一部の状況ではメリットを持つが、行き過ぎると不利になる」という性質があり、完全に淘汰されることがありません。

5. 突然変異で常に新しく生まれる

  • 一部の有害な遺伝子(例:ダウン症の原因となる21トリソミー)は、突然変異でランダムに起こることがあるため、消えてもまた現れるのです。