出生前診断NIPTの真実 – 高齢出産とダウン症リスクを徹底解説【YouTube動画解説】

  1. 世界ダウン症の日が3月21日の理由

【質問者】
先生、3月21日って世界ダウン症の日なんですよね。どうしてこの日になったんですか?
【先生】
はい、そうなんです。実は3月21日という日付には、ダウン症を理解するうえで最も大切な医学的根拠が隠されているんです。
世界ダウン症の日は、2012年に国連が公式に定めた国際デーです。ダウン症について正しい知識を広め、差別や偏見をなくし、社会全体で支え合うことを目的にしています。そして、日付の意味がとても象徴的なんです。
ダウン症は医学的には『21トリソミー』と呼ばれています。これは、21番目の染色体が通常の2本ではなく、【3本】存在することが原因だからです。ですから『21=3本』を表す日として、3月21日が記念日に選ばれたのです。

【質問者】
なるほど…21番目の染色体が3本だから“3月21日”なんですね。 。
【先生】
はい。実は、ダウン症の方と健常者の違いは、たったこの1本の染色体が余分にあるかどうか。それ以外は同じ人間です。たった1本の違いが、発達や健康にさまざまな影響を与えるんです。

【質問者】
たった1本の違い…そう言われると、なんだか“特別”というよりも“ほんの少し違うだけ”って感じがしますね。
【先生】
まさにその感覚が大事なんです。『違いはあるけれど、同じ社会で生きる仲間だ』という意識を広めるために、この日があるんですね。ちなみに、“ダウン”という言葉についても誤解が多いんです。
“ダウン”って聞くと、落ち込むとか下がるとか、ネガティブなイメージがありますが、実際には『ダウン症』の“ダウン”は、英語の“down”ではなく、最初にこの症候群を報告した医師、ジョン・ラングドン・ダウン(John Langdon Down)博士の名前に由来しています。つまり人の名前であって、『下がる』とか『劣っている』という意味は全くありません。

【質問者】
そうだったんですか!勘違いしていました…。名前の意味を知るだけでも、見方が大きく変わりますね。
【先生】
そうですね。なので、3月21日は“知る日”でもあるんです。世界中でこの日に合わせて、講演会やイベント、街のランドマークを青や黄色にライトアップする活動が行われています。日本でも、家族会や支援団体が交流会や啓発キャンペーンを開いています。
また、『Lots of Socks(いろんな靴下を履こう)』という運動も有名です。左右で違う靴下を履いて、“ちょっとした違いが個性なんだ”ということを表現するんですね。SNSでも毎年、靴下の写真を投稿する人が増えています。
『21番染色体が3本』というシンプルな事実が、差別をなくすためのシンボルに変わる。3月21日は、“違いを理解し、共に生きる社会をつくる”ことを考える、世界的にとても大事な日なんですよ。

  1. 顔が似ている理由

【質問者】
個人的にずっと気になっていたんですけど、ダウン症の子供は、なぜかみんな似たような顔つきになることが多いですよね。何か理由があるんですか?
【先生】
はい、多くの方が不思議に思う点だと思います。それには、顔の【成長速度の違い】が関係しているんです。
ダウン症のある方は、“顔立ちが似ている”と言われることがよくありますね。これは偶然ではなく、医学的に説明がつきます。
具体的には、顔の中心部分、つまり鼻や上あご、頬の骨などの発達が、通常よりもゆっくり進む傾向があるんです。一方で、顔の外側、例えば頭の横幅や顎の骨などは、比較的通常のスピードで発達します。
その結果、中心部が相対的に小さく、外側に引っ張られるような形になるため、独特の顔つきに見えるんですね。
【質問者】
なるほど!骨の発達のスピードの違いなんですね。だから“似ている”と感じるんですね…!
【先生】
はい。医学的には“顔貌特徴”と呼ばれていて、たとえば目が離れ、耳の奇形があり、顔が平たい、舌が少し大きく見える…といった特徴が組み合わさって、共通した印象になるんです。

ただし、これはあくまでも身体的特徴の一部です。『みんな同じ顔』ということでは決してありません。
また、医学的な診断でも“顔貌”は大きなヒントになります。新生児の時期は染色体検査の結果が出るまで時間がかかることがありますが、顔や体の特徴から早期に“ダウン症の可能性がある”と判断できることもあります。つまり、見た目の特徴は医学的に重要なサインでもあるんですね。

  1. ダウン症の子供が生まれる確率

【質問者】
NIPTを考えるとき、やっぱり一番気になるのが、ダウン症の子供が生まれる確率です。お母さんの年齢を重ねるごとに高くなるって聞くんですけど、本当なんですか?
【先生】
はい、残念ながらその通りです。母親の年齢が上がるにつれて、ダウン症の子供が生まれる確率は高くなります。
ヒロクリニックで実際のデータを見てみましょう。以下の表は、母親の年齢別にダウン症の赤ちゃんが生まれる確率を示したものです。
21トリソミー(ダウン症症候群)の陽性結果が出た受検者様809人の内、35歳以上は613人です。

ご覧の通り、20代では1,000分の1前後とかなり低いのですが、35歳を過ぎると一気に上昇し、40歳ではおよそ1/100の確率になります。そして45歳を超えると、さらに上がってしまうんです。
なぜ年齢とともに確率が高くなるかというと「卵子の老化」によるものです。女性は生まれたときにすでに卵子の数が決まっていて、新しく作られることはありません。年齢を重ねるごとに卵子の染色体分裂の精度が下がり、ダウン症を含む染色体異常のリスクが上がっていくのです。

【質問者】
卵子が年を取るからなんですね…。なんとなく聞いたことはありましたが、こうして見ると現実味があります。
【先生】
そうですね。ただ、ここで大事なのは“確率”であるという点です。40歳であっても9割以上のお子さんは染色体に問題なく生まれてきます。あくまでリスクは上がる、ということを知っておくことが重要なんです。
また、ダウン症の赤ちゃんの出生のうち、実は約5割は35歳未満のお母さんから生まれているというデータもあります。これは、35歳未満の出産件数自体が多いためです。つまり、“高齢出産だけがリスク”というわけではないんですね。
【質問者】
数字で知ると、改めて自分の状況と向き合うきっかけになります。

  1. ダウン症の子供は成長がゆっくり

【質問者】
ダウン症の子供って、やっぱり成長がゆっくりなんですか?他の子供と比べてしまわないか不安です…。
【先生】
はい。健常児と比べると、確かに【歩く】【言葉を話す】【手先の動き】といった発達は、1年から2年以上遅れて現れることが多いです。
しかし、これはダウン症の子供にとって“自然な成長のスピード”だということです。たとえば、一般的には1歳前後で歩き始めるところを、ダウン症の子供の場合は2歳〜3歳になってから歩き出すことも珍しくありません。言葉の発達も同様で、会話ができるようになるのは時間がかかります。
でも、これは決して“できない”という意味ではなく、『少しずつ確実に積み重ねていく』というだけのことなんです。
そして、成長がゆっくりだからこそ、できるようになった瞬間の喜びはひとしおです。初めて立った、初めて言葉を話した、その一つひとつが大きな感動につながります。親御さんにとっては、他の子と比べて焦るよりも、『わが子の成長をじっくり楽しめる時間が増える』と考えていただきたいのです。
もちろん、療育やリハビリを通して発達をサポートしていくことは大切です。しかし、“みんなと同じタイミングで”を目標にするのではなく、その子に合ったペースを尊重してあげることが何より大事なんですね。
【質問者】
自分の子供の成長だけをしっかり見てあげる。すごく大切なことですね。事前に知ることで、心の持ち方も変わる気がします。

5.出生前診断の本来の目的
【質問者】
出生前診断って、『ダウン症かどうかを調べるため』っていうイメージが強いんですけど、本当の目的ってそこだけじゃないんですよね
【先生】
はい、その通りです。残念ながらメディアでは『ダウン症かどうかを判断できる』という部分だけがクローズアップされがちです。しかし、本来の目的は少し違います。
出生前診断の本来の目的は、『早期に異常を発見し、生まれてくる小さな命が生きる【選択】をできること』にあります。
例えば、もし心疾患や消化器の異常が見つかれば、出産する病院を専門施設に選ぶことで、生まれた直後に手術や治療ができる体制を整えられます。これは命の存続率を大きく左右する重要な準備です。
また、発達や療育のサポートが必要になる可能性がわかれば、家族は事前に情報を集めたり、支援制度の利用を計画したりできます。つまり検査は“産むか産まないか”を決めるためだけではなく、『その子が生きる環境をより良く整えるため』にあるんです。
しかし、現実には厳しい側面もあります。日本では出生前診断染色体異常が判明した場合、9割以上のご家庭が中絶を選択しているというデータがあります。これは決して軽い選択ではなく、社会的な偏見、子育ての不安、経済的負担といった要因が背景にあると考えられています。

一方で、欧米ではカウンセリング体制が整い、診断を『準備のためのステップ』として活用するご家庭も多いんです。ここには、日本社会が今後どう向き合っていくべきかという大きな課題が見えてきます。

【質問者】
『検査って単に『選別』のためじゃなくて、その後の人生をどう豊かにしていくか、という視点で受け止めることが大切なんですね。