こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
今回は、YouTubeチャンネルに寄せられた視聴者の方からのご質問にお答えします。
NIPT(新型出生前診断)や遺伝に関心のある多くの親御さんが、一度は不安に思ったことがあるテーマかもしれません。
それは、**「発達障害(特に自閉スペクトラム症:ASD)と遺伝の関係」**についてです。
「親である自分に特性があるから、子供にも遺伝したのではないか?」
「遺伝だとしたら、もう何も変えられないのか?」
そんな不安に対し、感情論ではなく、最新の医学データに基づいた視点でお話しします。
「夫婦同い年の31歳で出産しましたが、子供が境界知能のASD(自閉スペクトラム症)でした。
発達障害は親からの遺伝でしょうか?
自分は未診断ですが、ASDの特性はあると感じています。」
とても率直で、大切なご質問をありがとうございます。
結論から申し上げますと、**「遺伝的な影響は強いですが、それが全て(運命)ではありません」**ということが答えになります。
詳しく解説していきましょう。
質問者様は「自分は未診断だがASDの特性を感じる」と仰っていました。
医学的には**BAP(Broad Autism Phenotype:広域自閉症表現型)**という概念があります。
これは、ASDの診断基準を完全には満たさないものの、以下のような「軽い特性」が一部見られる状態を指します。
こうした特徴はご家族内で共有されることがよくあります。つまり、「病気が遺伝した」というよりは、**「特性を受け継ぎやすい体質が遺伝している」**と捉えるのが自然です。

研究データによると、ASDの遺伝率はおおむね**70〜90%**とされています。また、すでにお子さんにASDがある場合、次のお子さんが発症する確率は約20%というデータもあります。
これを聞くと「じゃあ、遺伝で全て決まってしまうの?」と怖くなるかもしれません。
しかし、「遺伝率が高い = 変えられない運命」ではありません。
遺伝率はあくまで「集団全体で見た時の統計的な影響度」であり、個人の運命を決めるものではありません。
実際の発達は、遺伝子だけでなく、環境や偶然の要素が複雑に絡み合って決まります。
親御さんがASDやBAPの特性を持っていたとしても、お子さんが必ず同じ診断を受けるわけではありません。環境や支援のあり方によって、お子さんの発達の方向性はいくらでも良い方向へ伸ばしていけるのです。
「遺伝だから防げない」と諦める必要はありません。
医学的に、胎児の脳や神経の発達をサポートし、リスクを少しでも減らすためにできることはあります。
妊娠がわかる前からの体の準備が重要です。
これが非常に重要です。葉酸は赤ちゃんの神経管(脳や脊髄)を作るのに欠かせない栄養素です。
研究では、妊娠前から適切な葉酸を摂取することで、ASDのリスクを軽減できる可能性が示唆されています。
厚生労働省も、食事に加え**サプリメントでの摂取(推奨量400μg/日)**を推奨しています。
もしお子さんに発達の遅れや気になるサインが見られたら、「様子を見よう」と待つのではなく、早めに専門家に相談することが何よりの対策です。早期の療育は、社会的適応能力を劇的に改善させることがわかっています。
また、親子の関わりは「量より質」です。短時間でも、目を合わせ、興味を共有し、楽しくコミュニケーションを取ることが、お子さんの脳の発達を促します。

今回のポイントをまとめます。
「遺伝してしまった」と自分を責めるのではなく、「遺伝的な傾向があるからこそ、環境を整えてサポートしてあげよう」という前向きな視点を持っていただければと思います。
当クリニックでは、NIPT(新型出生前診断)などを通じて、赤ちゃんの健康とご家族の未来に向き合うサポートを行っています。不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
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