こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなく「データ」を元に分かりやすくお届けするコラムへようこそ。
妊娠が判明したその日から、お母さんの生活はガラリと変わります。
「赤ちゃんのために、お酒はやめよう」「カフェインは控えめにしなきゃ」
そうやって、日々の食事や嗜好品に気を使われている方は多いと思います。アルコールやタバコが胎児に悪影響を与えることは、今や常識として広く知られていますよね。
しかし、実はまだあまり知られていない、「良かれと思ってやっていたこと」や「日常の何気ない習慣」の中に、赤ちゃんの発達に深刻な影響を与えかねない“意外なNG行動”が潜んでいることをご存知でしょうか?
たとえば、昨今のブームである「サウナ」。リラックス効果が高いとされていますが、妊婦さんにとっては全く別のリスクとなります。また、美肌のために使っている「いつものスキンケア」が、赤ちゃんにとっては負担になることもあるのです。
今日は、医学的なエビデンス(根拠)に基づいて、妊娠中に避けるべき意外な5つのNG行動について、その理由と対策を詳しく解説していきます。
「知らなかった!」で後悔しないために、ぜひ最後までお読みいただき、これからの妊娠生活にお役立てください。
まず一つ目のNG行動は、**「サウナ・長時間の熱いお風呂・高温の岩盤浴」**です。
昨今は空前のサウナブーム。「サウナに入って汗をかき、水風呂に入って『ととのう』のが至福の時間」という方も多いでしょう。
「妊娠中もリラックスしたいし、血行を良くするのはいいことでは?」と思われるかもしれません。しかし、医学的な観点から言うと、妊娠中のサウナは避けるべき行動の一つです。
問題なのは、お母さんがリフレッシュできるかどうかではなく、**「深部体温(体の中心の温度)が急激に上がること」**そのものです。
特に妊娠初期(~15週頃まで)は、赤ちゃんの脳や脊髄といった中枢神経系が形成される、最も重要な時期です。この時期にお母さんの体温が過度に上昇してしまうと、**「神経管閉鎖障害」**のリスクが高まると言われています。
神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄のもととなる管がうまく閉じないことで起こる先天異常で、生まれた後に歩行障害や排泄障害などにつながる二分脊椎などが含まれます。
お母さんが「汗をかいてスッキリした!」と感じていても、お腹の中の羊水温度も上がり、赤ちゃんは「熱い!逃げ場がない!」という状態になっている可能性があるのです。
もちろん、お風呂に入ること自体が悪いわけではありません。清潔を保ち、リラックスすることは大切です。
妊娠中はホルモンバランスの変化で、普段よりものぼせやすく、立ちくらみも起きやすい状態です。転倒のリスクも考慮し、「ととのえよう」とはせず、「さっぱりして水分補給して休む」ことを心がけてください。
二つ目は、ペットを飼っている方には特に知っておいていただきたい**「猫のトイレ掃除」と、それに関連する「素手での土いじり(園芸)」**です。
「えっ、猫のトイレ掃除がダメなの? 毎日やっているけど……」
と驚かれる方もいるかもしれません。愛猫との生活は癒やしですが、妊娠中は少しだけ距離感と役割分担を変える必要があります。
ここでキーワードとなるのが、**「トキソプラズマ」**という寄生虫です。
猫はトキソプラズマの終宿主(寄生虫が成長して卵を産む場所)となる動物です。もし飼い猫がトキソプラズマに感染している場合、そのフンの中に虫の卵(オーシスト)が混ざって排出されます。
もし、妊娠中の女性が「初めて」このトキソプラズマに感染した場合が問題となります。
お母さんが初感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんにも感染し、**「先天性トキソプラズマ症」**を引き起こす可能性があります。これにより、赤ちゃんに以下のような影響が出るリスクがあります。
トキソプラズマは猫のフンだけでなく、そのフンが混ざった土壌にも存在します。そのため、素手でガーデニングや畑仕事をするのも同様のリスクがあります。
「猫を手放さなきゃいけないの?」と心配する必要はありません。適切な対策をとれば、一緒に暮らすことは十分に可能です。
三つ目のNG行動は、**「市販の解熱鎮痛薬(特にNSAIDs)を自己判断で服用すること」**です。
妊娠中も頭痛や腰痛に悩まされることはあります。「病院に行くほどでもないし、いつも飲んでいるイブプロフェンやロキソニンなら大丈夫だろう」と、ドラッグストアで買った薬を飲んでしまっていませんか?
妊娠中、薬の自己判断は禁物です。
解熱・鎮痛・抗炎症作用を持つ「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と呼ばれるグループの薬(ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなど)は、特に**妊娠20週以降(妊娠中期〜後期)**の使用に厳しい制限があります。
これらの薬がお腹の赤ちゃんに移行すると、以下のような重大な副作用を引き起こす可能性があります。
これまで、妊婦さんにも比較的安全とされ、処方されることが多かった「アセトアミノフェン(カロナールなど)」ですが、近年の研究で少し風向きが変わってきています。
2021年の国際的な共同声明や、その後の研究において、妊娠中の**「長期間・大量の」**アセトアミノフェン使用が、子どもの発達障害(ADHDや自閉スペクトラム症など)のリスク増加と関連する可能性が指摘され始めています。
2025年にはアメリカFDA(食品医薬品局)からも注意喚起が出るなど、監視が強化されています。
もちろん、高熱やお母さんの痛みがひどいこと自体も赤ちゃんにはストレスですので、「絶対に飲んではいけない」わけではありません。
重要なのは、**「自己判断で飲まないこと」**です。
「痛いから飲む」のではなく、必ずかかりつけの産婦人科医に相談し、リスクとベネフィットを天秤にかけた上で、適切な薬を適切な量だけ処方してもらうようにしてください。
四つ目は、美意識の高い女性ほど陥りやすい**「一部のスキンケアや縮毛矯正」**です。
妊娠中、肌荒れやシミが気になり、美容皮膚科や高機能な化粧品に頼りたくなる気持ちはよく分かります。しかし、普段は何の問題もない成分が、妊娠中にはNGとなるケースがあります。
エイジングケアや毛穴ケア、ニキビ治療で大人気の成分**「レチノール(ビタミンA誘導体)」**。
実は、ビタミンAの過剰摂取は、胎児の奇形(耳の形態異常など)を引き起こすリスクがあることが知られています。
化粧品に含まれるレチノールは、飲み薬に比べれば体内への吸収量は少ないとされていますが、念のため妊娠中の使用は控える、もしくは低濃度のものに留めるのが一般的です。特に、海外製の高濃度レチノール製品や、内服薬(イソトレチノインなど)は絶対に使用しないでください。
髪のうねりが気になる時期ですが、美容院での縮毛矯正、特に「蒸気が出るタイプ」や強力な薬剤を使う施術にも注意が必要です。
一部の薬剤には、加熱することでホルムアルデヒドなどの有害物質が揮発し、空気中に広がるものがあります。これを長時間吸い込むことによる胎児への悪影響が懸念されています。
また、妊娠中は長時間同じ姿勢で座り続けること自体がお腹の張りの原因にもなります。
妊娠中は肌も髪もデリケートになり、薬剤が染みやすくなったり、匂いで気分が悪くなったりもしがちです。
この期間は「攻めの美容」はお休みして、保湿を中心とした「守りの美容」や、無添加でやさしい成分のケアに切り替えるのが、ママにとっても赤ちゃんにとっても安心な選択と言えるでしょう。
最後の五つ目は、**「ジカ熱流行地域への渡航」と「無防備な性行為」**です。
コロナ禍が明け、海外旅行を検討される方も増えてきましたが、行き先選びには慎重になる必要があります。
特に注意が必要なのが、蚊が媒介するウイルス感染症である**「ジカ熱(ジカウイルス感染症)」**です。
ジカ熱は、中南米、カリブ海地域、東南アジア、アフリカの一部などで流行が見られます。
大人が感染しても、発熱や発疹、関節痛など軽い症状で治まることが多く、感染したことに気づかない(不顕性感染)ケースも少なくありません。
しかし、妊婦さんが感染するとウイルスが胎盤を通過し、お腹の赤ちゃんに感染。その結果、**「先天性ジカウイルス感染症」となり、赤ちゃんの頭が極端に小さくなる「小頭症」**などの深刻な脳障害を引き起こす可能性があります。
2015年から2016年にかけてブラジルで流行した際、小頭症の赤ちゃんが急増し、世界的な緊急事態宣言が出されたことを覚えている方もいるかもしれません。
さらに怖いのは、ジカウイルスは蚊だけでなく、性行為によって人から人へ感染するという点です。
もし、パートナーが流行地域に出張や旅行に行き、そこで感染していた場合(症状がなくても)、性行為を通じて妊婦さんにウイルスを移してしまうリスクがあります。
【対策】
今日は、妊娠中に避けるべき「意外なNG行動」についてお話ししました。
最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
「あれもダメ、これもダメ」と窮屈に感じるかもしれませんが、これらは全て、お腹の中で必死に成長している赤ちゃんの命と未来を守るための、大切な「守りの行動」です。
知っていれば防げるリスクばかりです。
神経質になりすぎる必要はありませんが、正しい知識を持って、赤ちゃんにとって一番居心地の良い環境を作ってあげてくださいね。
もし、「うっかりやってしまった」「この薬は大丈夫?」など不安なことがあれば、一人で悩まず、健診の際にかかりつけ医に相談してください。
未来のあなたと赤ちゃんが笑顔で会える日を、心から応援しています。
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