原発性高シュウ酸尿症

Primary Hyperoxaluria, Type 2, GRHPR

概要

原発性高シュウ酸尿症は、肝臓におけるシュウ酸代謝異常により体内で過剰なシュウ酸が産生され、尿中への大量排泄(高シュウ酸尿)および全身へのシュウ酸カルシウム沈着を来す先天代謝異常症です。
本疾患には複数の病型が存在し、GRHPR遺伝子異常によるものは**原発性高シュウ酸尿症2型(PH2)**に分類されます。

過剰に産生されたシュウ酸は腎臓で排泄されますが、尿中でカルシウムと結合して結石を形成しやすく、反復する尿路結石や腎障害を引き起こします。

疫学

原発性高シュウ酸尿症は世界的に稀な疾患であり、全型あわせた有病率はおよそ 1/100,000〜1/200,000 と推定されています。
その中で2型は全体の約10%未満とされ、男女差はありません。常染色体劣性遺伝形式をとります。

発症時期は小児期から成人期まで幅があり、比較的軽症で成人になってから診断される症例も存在します。

原因

病因

本疾患は GRHPR遺伝子の病的変異 によって引き起こされます。GRHPR遺伝子はグリオキシル酸還元酵素/ヒドロキシピルビン酸還元酵素(glyoxylate reductase/hydroxypyruvate reductase)をコードしています。

酵素機能

この酵素は、グリオキシル酸をグリコール酸に還元し、シュウ酸への変換を防ぐ役割を担います。本酵素が欠損するとグリオキシル酸がシュウ酸へ過剰変換され、体内シュウ酸量が増加します。

遺伝形式は 常染色体劣性遺伝 です。

GRHPR遺伝子は当院のN-advance FM+プラン・N-advance GM+プランで検査可能です。

症状

主な症状

  • 反復性尿路結石(小児期からの発症も多い)
  • 血尿、排尿痛、腰背部痛
  • 尿路感染症の反復

進行例

  • 腎石灰化症(ネフロカルシノーシス)
  • 慢性腎不全、末期腎不全
  • 進行例では骨、心臓、皮膚などへのシュウ酸沈着(全身性シュウ酸症)

PH2はPH1と比較して進行が緩徐であることが多いですが、腎機能障害に至る症例も報告されています。

診断

1. 生化学的診断

  • 尿中シュウ酸排泄量の著明な増加
  • 尿中L-グリセリン酸高値(PH2に特徴的)

2. 画像検査

  • 腎超音波やCTでの結石・腎石灰化評価

3. 遺伝子診断

GRHPR遺伝子解析による確定診断が行われます。

治療

根治療法はなく、シュウ酸産生抑制と腎障害の予防が治療の中心です。

  • 大量飲水による尿量確保
  • クエン酸製剤による結石形成抑制
  • ビタミンB6(反応性は限定的)
  • 腎不全進行例では透析
  • 重症例では腎移植(場合により肝腎同時移植)

まとめ

原発性高シュウ酸尿症2型はGRHPR遺伝子異常によるシュウ酸代謝異常症で、尿路結石と腎障害を主徴とします。遺伝子診断と早期からの管理が腎予後改善に重要です。