関連複合下垂体ホルモン欠損症

Pituitary Hormone Deficiency, Combined 3, LHX3

概要

関連複合下垂体ホルモン欠損症(Combined Pituitary Hormone Deficiency:CPHD)は、下垂体前葉ホルモンの複数が同時に欠損する先天性内分泌疾患です。LHX3関連型(CPHD3)は、下垂体および中枢神経系の発生に関与する転写因子LHX3の異常によって引き起こされます。出生時または乳幼児期から成長ホルモン欠乏、甲状腺刺激ホルモン欠乏、副腎皮質刺激ホルモン欠乏、性腺刺激ホルモン欠乏などが出現し、低身長、低血糖、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症などを呈します。LHX3関連型では頸部可動制限や感音性難聴などの特徴的な随伴症状を伴うことがあります。(ヒロクリニック)

疫学

複合下垂体ホルモン欠損症は稀な疾患であり、正確な有病率は不明ですが、出生10万人あたり数例程度と推定されています。LHX3関連型はその中でもさらに稀で、世界的にも報告例は限られています。(PMC)

原因

本疾患はLHX3遺伝子の両アレル病的変異によって発症します。LHX3遺伝子はヒト9番染色体(9q34)に位置し、下垂体前葉および内耳、頸椎の発生に関与する転写因子をコードします。この遺伝子の機能障害により下垂体細胞の分化が障害され、複数の下垂体ホルモン分泌不全が生じます。(ヒロクリニック)

遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。(malacards.org)

症状

関連複合下垂体ホルモン欠損症は主に内分泌異常と発育異常を呈します。(ヒロクリニック)

乳児期

  • 低血糖発作
  • 体重増加不良
  • 黄疸遷延

小児期

  • 低身長(成長ホルモン欠乏)
  • 甲状腺機能低下症による倦怠感、便秘
  • 副腎不全による低血圧、低血糖
  • 感音性難聴
  • 頸部可動域制限

思春期以降

  • 二次性徴遅延
  • 不妊症

診断

関連複合下垂体ホルモン欠損症の診断は以下の組み合わせで行われます。

1. 臨床所見

  • 成長障害、低血糖、甲状腺機能低下症状
  • 二次性徴遅延

2. 内分泌検査

  • 複数の下垂体ホルモン低値
  • 末梢ホルモン低下

3. 画像検査

  • MRIで下垂体低形成を確認

4. 遺伝子診断

  • LHX3遺伝子解析による確定診断 (PMC)

治療

現在のところ根治療法はなく、生涯にわたるホルモン補充療法が中心です。

  • 成長ホルモン補充
  • 甲状腺ホルモン補充
  • 副腎皮質ホルモン補充
  • 性腺ホルモン補充
  • 聴覚・整形外科的フォロー

標準治療は内分泌管理と発育・発達支援が中心です。

参考文献

関連複合下垂体ホルモン欠損症(LHX3)— 遺伝子疾患解説ページ(ヒロクリニック)より。(ヒロクリニック)
Machinis K et al. Mutations in LHX3 cause combined pituitary hormone deficiency with rigid cervical spine and sensorineural hearing loss. Nat Genet. 2001.(Nature)
Combined Pituitary Hormone Deficiency, LHX3-related — OMIM, Malacards.(malacards.org)
LHX3-related combined pituitary hormone deficiency — PubMed Central review.(PMC)