概要
バッテン病(CLN3関連)は、神経セロイドリポフスチン症(NCL:neuronal ceroid lipofuscinosis) の一型で、CLN3遺伝子の病的変異により中枢神経系の神経細胞内にリポフスチン様物質が蓄積し、進行性の神経変性をきたす遺伝性疾患です。典型的には学童期に発症し、まず視力低下が出現、その後てんかん、認知機能低下、運動機能障害へと進行します。最終的には高度の神経障害に至る重篤な疾患です。
疫学
バッテン病(CLN3型NCL)は世界的に稀で、発症頻度は約1/100,000出生と推定されています。北欧や欧米で比較的多く報告されており、日本では非常にまれです。男女差はなく、常染色体劣性遺伝として発症します。
原因
病因
原因は CLN3遺伝子の病的変異 です。CLN3は細胞内小胞・リソソーム関連膜タンパクをコードし、細胞内の老廃物処理・リサイクリング機構に関与しています。変異により分解されるべき物質が神経細胞内に蓄積し、細胞死と神経変性を引き起こします。
遺伝形式
常染色体劣性遺伝で、両親からそれぞれ病的変異を受け継いだ場合に発症します。保因者は通常無症状です。
症状
主な症状は以下の通りです。
- 進行性の視力低下・失明(初発症状のことが多い)
- てんかん発作
- 学習能力・認知機能の低下
- 運動失調、歩行障害、ジストニア
- 言語障害、行動変化
- 最終的に重度の神経障害、寝たきり状態に進行
発症は多くが5〜10歳頃で、10代後半〜20代前半で重篤な状態となることが多いとされています。
診断
診断は以下を総合して行います。
- 臨床症状(視力低下+てんかん+発達退行)
- 眼科検査:網膜変性
- 脳画像(MRI):大脳・小脳萎縮
- 遺伝子検査:CLN3遺伝子の病的変異同定による確定診断
- 必要に応じて皮膚生検・電子顕微鏡で蓄積物質を確認
治療
現時点で根治療法はありません。治療は支持療法と症状緩和が中心です。
- 抗てんかん薬による発作管理
- 理学療法・作業療法
- 視覚補助・コミュニケーション支援
- 栄養管理、嚥下・呼吸管理
- 遺伝カウンセリング
現在、遺伝子治療・分子標的治療の研究が進行中ですが、臨床標準治療には至っていません。
参考文献元
- GeneReviews®: Neuronal Ceroid Lipofuscinosis 3 — CLN3型NCLの総説。
- MedlinePlus Genetics: CLN3 disease — 病因と遺伝形式。
- Orphanet: Neuronal ceroid lipofuscinosis, CLN3 — 疫学と疾患概要。
- NORD (National Organization for Rare Disorders): Batten disease (juvenile form) — 臨床像・経過。
- Mole SE, et al. Lancet Neurology 2019 — NCL総説レビュー。
