概要
RARS2関連ポント小脳低形成症は、ミトコンドリア機能障害を背景とする先天性神経発達疾患で、脳幹および小脳の低形成を特徴とします。出生前または新生児期から重度の神経障害を呈し、筋緊張低下、呼吸障害、てんかん発作、発達の著しい遅れなどがみられます。RARS2遺伝子はミトコンドリア内のアミノアシルtRNA合成酵素をコードしており、その機能障害がエネルギー産生障害と神経発達異常につながります。
疫学
本疾患は極めて稀な疾患であり、正確な有病率は不明ですが、世界的にも報告例は非常に限られています。
原因
病因
本疾患はRARS2遺伝子の変異によって発症します。RARS2はミトコンドリア内のアルギニルtRNA合成酵素をコードしており、ミトコンドリアタンパク質合成に必須です。この機構が障害されると、呼吸鎖複合体の構成蛋白が正常に合成されず、エネルギー産生が低下し、特にエネルギー要求の高い中枢神経系が影響を受けます。
遺伝形式
常染色体劣性遺伝です。
遺伝子検査について
RARS2遺伝子は当院の遺伝子検査で解析可能です。
症状
主な症状
- 出生直後からの筋緊張低下
- 呼吸障害・無呼吸発作
- 難治性てんかん
- 重度の発達遅滞
- 摂食障害
- 体重増加不良
神経画像所見
- 脳幹および小脳の低形成
- 脳萎縮
診断
- 新生児期からの重度神経障害、MRIでの脳幹・小脳低形成から疑います。
- 血中乳酸値上昇を認めることがあります。
- MRIで特徴的な脳形成異常を確認します。
- RARS2遺伝子の両アレル変異を同定することで確定診断となります。
治療
根本治療は確立しておらず、対症療法と支持療法が中心です。
- 呼吸管理(人工換気、酸素療法)
- てんかん発作への抗てんかん薬
- 栄養管理(経管栄養など)
- リハビリテーション
- 家族への心理社会的支援
【参考文献】
- GeneReviews®: RARS2-related pontocerebellar hypoplasia
- MedlinePlus Genetics: Pontocerebellar hypoplasia
- OMIM: RARS2-related pontocerebellar hypoplasia
- 難病情報センター:ミトコンドリア病
