概要
高チロシン血症1型は、チロシン代謝経路の最終段階に関与するフマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ(FAH)の欠損によって発症する先天性代謝異常症です。FAH活性の欠損により、チロシンの分解産物であるフマリルアセト酢酸やサクシニルアセトンが体内に蓄積し、主に肝臓と腎臓に毒性を示します。乳児期に発症する重症型から、幼児期以降に発症する慢性型まで幅があります。
疫学
本疾患は稀な疾患であり、発生頻度は約10万人〜12万人に1人と推定されています。特定地域(カナダ・ケベック州など)では頻度が高いことが知られています。
原因
病因
本疾患はFAH遺伝子の変異によって発症します。FAHはチロシン代謝の最終段階を担う酵素であり、その欠損により毒性中間代謝産物が蓄積します。
遺伝形式
常染色体劣性遺伝です。
遺伝子検査について
FAH遺伝子は当院の遺伝子検査で解析可能です。
症状
急性型(乳児期)
- 重度の肝障害(黄疸、肝不全)
- 出血傾向
- 低血糖
- 成長障害
- 嘔吐、下痢
慢性型
- 肝腫大・肝硬変
- 腎尿細管障害(ファンコニー症候群)
- 骨軟化症、くる病
- 神経発作(ポルフィリン様発作)
診断
- 肝障害や低リン血症性くる病から疑います。
- 血中・尿中サクシニルアセトン高値を確認します。
- 肝機能異常、アミノ酸分析でチロシン上昇を認めます。
- FAH遺伝子変異の同定で確定診断となります。
治療
ニチシノン(NTBC)治療と食事療法が標準治療です。
- ニチシノンによる毒性代謝物生成抑制
- 低チロシン・低フェニルアラニン食
- 肝機能モニタリング
- 肝移植(重症例)
【参考文献】
- GeneReviews®: Tyrosinemia Type I
- MedlinePlus Genetics: Tyrosinemia type I
- OMIM: FAH-related tyrosinemia
- 難病情報センター:高チロシン血症
