アッシャー症候群(1C型)USH1C

Usher Syndrome, Type 1C, USH1C

概要

アッシャー症候群は、先天性または早期発症の感音性難聴と進行性網膜変性(網膜色素変性症)を主徴とする遺伝性疾患群です。その中で1C型はUSH1C遺伝子の異常によって引き起こされる稀なサブタイプで、特に重度の聴覚障害、平衡機能障害、および思春期以降に進行する視覚障害を特徴とします。

USH1C遺伝子は、内耳の有毛細胞および網膜の光受容細胞において、細胞骨格やシナプス構造の安定化に関与するハーモニン(harmonin)というタンパク質をコードします。このタンパク質は感覚細胞の機械的刺激の伝達や細胞構造の維持に不可欠であり、その欠損は聴覚・視覚の両系統に障害をもたらします。(PMC)

疫学

アッシャー症候群全体の有病率は約2〜4万人に1人と推定され、そのうち1型は約30〜40%を占めます。1C型は1型の中でも比較的稀で、特定地域や集団に集積が見られることがあります。(Orphanet)

原因

本疾患はUSH1C遺伝子の両アレル病的変異により発症します。USH1C遺伝子はヒト11番染色体(11p15)に位置し、感覚細胞内の足場タンパク質であるハーモニンをコードします。このタンパク質は有毛細胞のステレオシリア構造とシナプスの安定性に必須であり、その機能喪失により機械刺激の電気信号変換が障害されます。(ヒロクリニック)

遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

症状

聴覚・平衡

  • 先天性重度感音性難聴
  • 前庭機能障害(歩行開始の遅れ)

視覚

  • 夜盲
  • 視野狭窄
  • 網膜色素変性

その他

  • バランス障害
  • 転倒しやすい

診断

  1. 聴力検査での重度感音性難聴
  2. 眼底検査での網膜色素変性
  3. 前庭機能検査異常
  4. 遺伝子診断(USH1C解析)(PMC)

治療

  • 補聴器・人工内耳
  • 視覚リハビリテーション
  • 低視力支援
  • 遺伝カウンセリング

遺伝子治療研究が進行中です。(Nature)

参考文献

アッシャー症候群1C型 — 遺伝子疾患解説ページ(ヒロクリニック)より。(ヒロクリニック)
Verpy E et al. Mutations in USH1C cause Usher syndrome type 1C. Nat Genet. 2000.(Nature Genetics)
Usher Syndrome Type 1 — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
Usher Syndrome — Orphanet Rare Disease Database.(Orphanet)