この記事でわかること
NIPT(新型出生前診断)の採血には、専用の採血管が使われます。代表的なものが「PAXgene Blood ccfDNA Tube」と「Streck Cell-Free DNA BCT」です。両者は保存の仕組みと期間が異なります。この記事では2つの採血管の特徴を比較します。監修は岡博史(医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長)です。
NIPTの説明書や採血キットに「PAXgene」「Streck」と書かれたラベルを見たことはありませんか。違いが気になった方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えします。両方とも母体血中のccfDNA(細胞外DNA)を壊さずに保つための専用採血管です。保存試薬の組成と保存できる期間が異なります。
ccfDNA(細胞外DNA)とは何か
ccfDNAとは、細胞の外に存在するDNAの断片です。妊娠中は、胎盤に由来するDNAが母体の血液中にわずかに流れ出しています。
母体血中に胎児由来のccfDNAが存在すること自体は、1997年の研究で報告されました。この発見が、のちのNIPT開発の出発点になっています。
NIPTは、この母体血中のccfDNAを解析し、赤ちゃんの染色体の数的異常を調べる検査です。採血だけで完結する非侵襲的な検査、というのが最大の特徴です。
ただし、ccfDNAは壊れやすい性質を持っています。採血後に白血球が壊れると、そこから漏れ出た母体由来のDNAが混ざります。
その結果、赤ちゃん由来のccfDNAの割合(胎児染色体分画)が薄まってしまいます。分画が低いと、判定不能になる場合もあります。
胎児染色体分画は、多くの場合4%以上あれば判定に十分とされています。分画が低くなりやすい要因には、採血のタイミングや妊婦さんの体格などが挙げられます。あくまで一因であり、分画が低いことが即座に異常を意味するわけではありません。
採血した瞬間からccfDNAを守る、専用の採血管が欠かせない理由です。ここで登場するのが、PAXgeneとStreckという2つの製品になります。
なお、胎児由来のccfDNAは、出産後に母体の血液中から消えていくこともわかっています。消えるまでの期間は数時間から数日ほどとされ、次の妊娠の検査結果に影響を残すものではありません。
PAXgene Blood ccfDNA Tubeの特徴
PAXgene Blood ccfDNA Tubeは、細胞外DNAの保存に特化した採血管です。主な特徴は次の3点です。
- 保存・安定化の仕組み:採血後すぐにccfDNAを安定させる試薬が管内に含まれています。白血球の分解を抑え、ccfDNAの純度を高く保ちます。
- 主な用途:がんのリキッドバイオプシー、NIPTなどの出生前検査、臓器移植後のモニタリングで使われています。
- 保存期間:室温(25℃以下)で最長10日間です。気温が高い環境では、安定期間がやや短くなります。
常温輸送でも一定期間ccfDNAが守られる設計です。検体を検査機関まで運ぶ間の品質維持が目的の製品です。
製造元は、QIAGENとBDが共同出資するPreAnalytiX社です。がん領域のリキッドバイオプシーと出生前検査の両方で、世界的に利用が広がっている採血管になります。
リキッドバイオプシーとは、血液など体液に含まれるDNAを調べる検査手法の総称です。組織を切り取る必要がないため、体への負担が少ない検査として注目されています。
Streck Cell-Free DNA BCTの特徴
Streck Cell-Free DNA BCTも、ccfDNAの保存を目的とした採血管です。PAXgeneとの違いは、主に保存期間にあります。
- 保存・安定化の仕組み:特許取得済みの保存試薬により、全血中の白血球の分解を防ぎます。母体由来DNAの混入も抑えます。
- 主な用途:がん診断・モニタリング、NIPTなどの非侵襲的出生前検査、移植後モニタリングです。
- 保存期間:室温で最長7日間の保存が可能です。
コールドチェーン(低温輸送)が不要という点が特徴です。検体の輸送や検査機関でのスケジュール調整に、余裕を持たせやすい採血管。
製造元は、米国のStreck社です。液体生検向けの採血管として、がん領域の検査でも採用が進んでいる製品になります。
2つの採血管の違いを比較表で見る
ここまでの内容を、比較表に整理しました。数値は各メーカーの公表資料に基づいています。
| 項目 | PAXgene Blood ccfDNA Tube | Streck Cell-Free DNA BCT |
|---|---|---|
| 製造元 | PreAnalytiX(QIAGEN・BD) | Streck |
| 保存対象 | ccfDNA(細胞外DNA) | ccfDNA(細胞外DNA) |
| 安定化の仕組み | 専用試薬で白血球分解を抑制 | 特許取得済み試薬で白血球分解を抑制 |
| 室温保存期間の目安 | 25℃以下で最長10日間 | 最長7日間 |
| 主な用途 | リキッドバイオプシー・NIPT・移植後モニタリング | がん診断・NIPT・移植後モニタリング |
保存期間だけを見るとPAXgeneの方が長く感じるかもしれません。ただし、この数値は保管環境や運用条件によって変わる目安です。
どちらの採血管を採用しているかは、検査を委託する検査機関によって異なります。精度そのものを比較する指標ではない点にご注意ください。
なぜNIPTの採血に専用の採血管が必要なのか
NIPTの採血で「思ったより血を多く採られた」と感じる方は少なくありません。専用採血管を使う分だけ、通常の採血より本数が増えることがあるためです。
実際にX(旧Twitter)でも、採血本数の多さに驚く声が見られます。@omochi_chan99さんは「採血6本取られた」と投稿していました。通常の妊婦健診より採血量が多くなる実感を、率直に語っています。同様に@tapinoko111さんも「こんなに血取るんや〜」と驚いた様子を投稿していました。
私たちが日々の診療で妊婦さんからいただく質問でも、採血量に関するものは上位に入ります。理由は単純で、ccfDNAは血液中にごくわずかしか存在しないためです。
十分な量のccfDNAを回収するには、一定の血液量が必要です。輸送中の劣化を防ぐためにも、専用試薬入りの採血管で確保しなければなりません。採血本数が増える理由、それは精度維持のための必然。
採血から結果が出るまでの流れ

採血後、専用採血管に入った検体は速やかに検査機関へ輸送されます。ヒロクリニックNIPTでは、国内の検査機関(東京衛生検査所)で検査しています。そのため、最短2〜5日というスピードで結果を報告できます。
結果が届くまでの間、不安になる方もいらっしゃいます。X上でも「結果2週間後、どうか何ともありませんように」といった投稿が見られました。待機期間の不安は、多くの方に共通する感覚のようです。
ヒロクリニックNIPTでは、検査結果に加えて独自レポートも無料で提供しています。国内75,000件超のデータに基づく「陽性スコア」と「陽性的中率」です。数値の意味を医師と一緒に確認しながら、次の判断につなげられる体制になっています。
万が一、陽性の結果が出た場合に備え、羊水検査の費用サポートも用意しています。ライトプランは3,300円で最大10万円の補助です。ワイドプランは11,000円で最大30万円の補助を受けられます。他院で羊水検査を受ける場合にも適用されるサポートです。
採血管の種類は、受診する施設や検査機関の運用によって決まります。ご自身で銘柄を指定することは基本的にできません。
採血前に知っておきたい注意点
採血に向けて、事前準備がどこまで必要か気になる方は多いと思います。まずは受診先の案内を確認してください。
私(岡)がこれまで診察してきた中でも、絶食の有無を尋ねられる場面が頻繁にありました。NIPTの採血自体は、空腹時である必要はないケースが一般的です。ただし、他の血液検査を同時に行う場合は条件が変わることがあります。当日は必ず施設からの案内に従ってください。
また、採血後に腕が内出血しやすい方は、事前にスタッフへ伝えておくと安心です。当日は水分を十分にとり、体調を整えてから来院してください。
服装は、腕まくりがしやすい半袖や、袖が肘までまくれるものが便利です。持ち物は、母子健康手帳と本人確認書類、保険証を用意してください。施設によって必要書類が異なる場合があるため、予約時に確認しておくと安心です。
年齢制限や紹介状の有無で受診を迷っている方もいるでしょう。ヒロクリニックNIPTは年齢制限なし・紹介状不要で、心拍確認後の早期から受検が可能です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、採血管や採血方法について寄せられることが多い質問をまとめました。
PAXgeneとStreck、どちらが検査の精度が高いですか?
採血管の種類自体が検査精度を決めるものではありません。どちらもccfDNAを保護するための保存管であり、精度は解析手法や検査機関の技術力に左右されます。
採血管の違いによってNIPTの結果は変わりますか?
適切な期間内に検査機関へ輸送されていれば、採血管の違いが結果に影響することは基本的にありません。重要なのは、採血後の取り扱いと保存期間を守ることです。
採血後、どのくらいの期間保存できますか?
PAXgeneは室温(25℃以下)で最長10日間、Streckは室温で最長7日間です。実際の検査機関への到着はこれより早いケースがほとんどですが、余裕を持った設計になっています。
採血の際に痛みはありますか?何本くらい採血しますか?
痛みの感じ方には個人差があります。本数は施設や検査項目によって異なります。専用採血管を使う分、通常の妊婦健診より多めになることもあります。事前に本数の目安を確認しておくと、当日安心して臨めます。
採血した血液はどこで検査されますか?
受診する施設が委託する検査機関で解析されます。ヒロクリニックNIPTの場合は、国内の検査機関(東京衛生検査所)が担当しています。最短2〜5日で結果を報告します。検査機関の名称や所在地が気になる場合は、受診前に施設へ問い合わせてください。
採血管の種類は自分で選べますか?
採血管は施設側があらかじめ用意しているため、受診者側で銘柄を選ぶことはできません。気になる場合は、受診前に施設へ確認してください。
万が一、判定不能になった場合はどうなりますか?
ccfDNAの分画が不足していた場合など、まれに判定不能となることがあります。ヒロクリニックNIPTでは、判定不能率は約0.3〜0.4%です。判定不能時は、再採血や他の検査方法について医師が案内します。
まとめ
PAXgene Blood ccfDNA TubeとStreck Cell-Free DNA BCTは、どちらもccfDNAを守るための専用採血管です。保存試薬の組成は異なります。ただし、目指すところは検体品質の維持、その一点。
両者の違いは、主に室温での保存期間です。PAXgeneは最長10日間、Streckは最長7日間となります。採血本数がいつもより多いと感じても、それは精度を支えるための仕組みだと捉えてください。
採血管の選定基準や検査体制について迷ったときは、まず施設への確認から始めてください。ヒロクリニックNIPTでは、医師による説明とあわせて検査の流れをご案内しています。
この記事を読んでもなお、採血や検査に不安が残る場合もあるでしょう。そのときは、遠慮せず施設のスタッフや医師に相談してください。ヒロクリニックNIPTでは、LINEでの無料相談も受け付けています。ひとりで悩みを抱える前に、まず声に出してみることから始めてみてください。
参考情報として、以下の公的な情報源もあわせてご確認ください。
- 日本産科婦人科学会:出生前検査に関する情報提供・施設認証の指針についての公表
- 厚生労働省:NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書
- 日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会:出生前検査の情報提供サイト
本記事は、岡博史(医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director)が監修しています。全国10の直営院と、全国125の連携クリニックで受診が可能です。気になる点があれば、ひとりで抱え込まず、まず相談してください。上記のボタンから予約状況を確認できます。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

