ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(Wolf-Hirschhorn syndrome (4p16.3))

概要

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群症候(Wolf-Hirschhorn syndrome)群は、第4染色体の短腕の一部が欠損している先天性染色体異常です。重度精神遅滞、成長障害、難治性てんかん、多発奇形が主な症状です。

また、顔の特徴が非対称で、小頭症の症状があり、この障害を持つほとんどの人が低身長となります。

疫学

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群の有病率は、出生 50,000 人に 1 人と推定されています。ただし、一部の罹患者は診断されない可能性が高いため、これは過小評価されている可能性があります。

この疾患は、男性の約2倍の女性に発生しますが、原因は不明です。

原因

第4染色体の短腕の複数の遺伝子の喪失が原因です。この障害の典型的な徴候と症状を持つ人々で欠失している遺伝子は、NSD2、LETM1、およびMSX1で、NSD2遺伝子の喪失が、特徴的な顔貌や発達の遅れなどのウルフ・ヒルシュホーン症候群の特徴の多くと関連していると考えられています。LETM1遺伝子の欠失は、脳内の発作またはその他の異常な電気活動に関連しているようです。MSX1の紛失遺伝子は、この状態でよく見られる歯の異常、口唇裂または口蓋裂の原因である可能性があります。

症状

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群は通常、心臓、脳、骨格、尿路、目、免疫系に奇形を引き起こします。この症候群の人は通常、重度の知的障害も持っています。ただし、症状とその重症度は人によって異なります。口唇裂、顎裂、口蓋裂を持って生まれてくる人もいます。

診断

染色体の異常は、FISH法やマイクロアレイ染色体検査などで確認します。また、合併症に応じた検査も適宜追加されます。

治療

精神遅滞に対しては、運動発達、認知、言語、社会性の能力を伸ばすための訓練などを行い、けいれんに対しては、抗けいれん薬の投与を行います。

また、この症候群の子供は、吸ったり飲み込んだり、十分な栄養を摂取することが困難になることがよくあるため、鼻、のど、食道を通るチューブを通して栄養を与える必要があります。

小さな口蓋裂でも子供の食事が困難になる可能性があるため、口蓋と口蓋機能の検査は早期に実施されます。

予後

主に難治性てんかんの併存及び合併する心疾患により生命予後が左右されます。

【参考文献】