概要
膠様滴状角膜ジストロフィーは、角膜の表層(上皮〜ボーマン膜)にアミロイド様の異常沈着物が蓄積することで、視力低下や角膜混濁を引き起こす遺伝性角膜疾患です。
乳幼児期から学童期にかけて発症することが多く、角膜表面に白色〜黄白色の隆起性病変が出現し、次第に融合・進行することで視力障害が進行します。進行性の疾患であり、重症化すると角膜移植が必要となることもあります。
疫学
本疾患は非常に稀な疾患ですが、世界的には日本での報告が比較的多く、日本人に特徴的な遺伝子変異が知られています。
有病率は正確には不明ですが、日本では数百例程度の報告があるとされています。
男女差はなく、常染色体劣性遺伝形式をとります。
原因
膠様滴状角膜ジストロフィーは TACSTD2(EPCAM)遺伝子の病的変異 によって起こります。
この遺伝子は角膜上皮細胞同士の接着やバリア機能を維持するタンパク質をコードしており、その機能が低下すると角膜上皮が不安定になり、異常な蛋白沈着(アミロイド様沈着)が生じます。
遺伝形式は 常染色体劣性遺伝 で、両親からそれぞれ1つずつ変異を受け継いだ場合に発症します。
症状
主な症状
- 角膜表面の白色〜黄白色の結節・隆起
- 進行性の視力低下
- まぶしさ(羞明)
- 眼痛、異物感、流涙
進行すると
- 角膜混濁の拡大
- 表層びらんや感染の反復
- 重度視力障害や失明に至ることもある
発症時期は幼児期〜思春期が多く、ゆっくり進行します。
診断
診断は主に眼科的所見と遺伝子検査によって行われます。
- 細隙灯顕微鏡検査で角膜表層の隆起性混濁を確認
- 角膜組織検査でアミロイド様沈着を確認
- 遺伝子検査(TACSTD2解析)による確定診断
家族歴がある場合や若年発症の角膜ジストロフィーでは遺伝子検査が有用です。
治療
現時点で根本治療はなく、進行に応じた対症療法と視機能の維持が治療の中心です。
- 点眼治療(潤滑、炎症抑制、感染予防)
- 表層角膜切除(PTK)
- 重症例では角膜移植(全層または前層)
ただし角膜移植後も再発することがあるため、長期的なフォローが必要です。
まとめ
膠様滴状角膜ジストロフィーはTACSTD2遺伝子異常により角膜に異常沈着が起こる稀な遺伝性疾患です。早期診断と進行管理により視機能の温存が重要です。
