概要
ホモシスチン尿症は、含硫アミノ酸代謝に関与する酵素シスタチオニンβ合成酵素(CBS)の欠損または機能低下によって発症する先天性代謝異常症です。CBSはホモシステインをシスタチオニンに変換する反応を触媒しており、その障害によりホモシステインおよびメチオニンが体内に蓄積します。ホモシステインは血管内皮障害、凝固亢進、結合組織障害を引き起こし、血栓症、骨格異常、眼症状、中枢神経障害など多彩な臨床症状を呈します。
新生児期には無症状であることも多く、乳幼児期〜学童期に視力障害、発達遅滞、骨格異常などで発見されることがあります。適切な治療介入により重篤な合併症を予防できる疾患です。(ヒロクリニック)
疫学
ホモシスチン尿症の発生頻度は地域差があり、約20万〜30万人に1人と推定されています。アイルランド、ノルウェー、カタールなど特定地域で頻度が高いことが知られています。(PMC)
原因
本疾患はCBS遺伝子の両アレル病的変異によって発症します。CBS遺伝子はヒト21番染色体(21q22.3)に位置し、シスタチオニンβ合成酵素をコードします。この酵素はホモシステインを解毒的経路に導く重要な役割を担っており、その欠損によりホモシステインが蓄積します。(ヒロクリニック)
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。(malacards.org)
症状
眼症状
- 水晶体脱臼(下方偏位)
- 近視
- 視力低下
骨格系
- 長身・細身体型
- 脊柱側弯
- 骨粗鬆症
中枢神経系
- 知的障害
- てんかん
- 精神症状
血管系
- 静脈血栓症
- 脳梗塞
- 肺塞栓症
診断
- 臨床所見(水晶体脱臼+血栓症+骨格異常)
- 血液検査でホモシステイン高値
- メチオニン高値
- 遺伝子診断(CBS変異同定)(PMC)
治療
- ビタミンB6反応性試験および投与
- 低メチオニン食
- 葉酸、ビタミンB12補充
- ベタイン投与
- 抗血栓管理
早期治療で予後は大きく改善します。
参考文献
ホモシスチン尿症 — 遺伝子疾患解説ページ(ヒロクリニック)より。(ヒロクリニック)
Mudd SH et al. Homocystinuria due to cystathionine beta-synthase deficiency. Am J Hum Genet. 1985.(Nature)
Homocystinuria — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
Homocystinuria — Malacards Rare Disease Database.(malacards.org)
