概要
クラッベ病は、リソソーム酵素であるガラクトセレブロシダーゼ(GALC)の欠損によって発症する希少な脱髄性リソソーム病です。GALC活性の低下により、ガラクトセレブロシドやサイコシン(psychosine)が分解されず、特にオリゴデンドロサイトやシュワン細胞に毒性を示してミエリン形成が障害されます。その結果、中枢および末梢神経の脱髄が進行し、重篤な神経症状を呈します。
本疾患は乳児期発症型が最も多く、生後数か月以内に過敏性、筋緊張異常、発達退行が出現し、急速に進行します。小児期・成人期発症型ではより緩徐な進行を示すことがあります。(ヒロクリニック)
疫学
クラッベ病の有病率は約10万人出生に1人と推定されており、日本を含む世界各地で散発的に報告されています。北欧やイスラエルの一部集団でやや頻度が高いとされています。(PMC)
原因
本疾患はGALC遺伝子の両アレル病的変異によって発症します。GALC遺伝子はヒト14番染色体(14q31)に位置し、ガラクトセレブロシダーゼをコードします。この酵素はミエリン構成脂質の分解に関与し、その欠損によりサイコシンが蓄積して強い神経毒性を示します。(ヒロクリニック)
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。(malacards.org)
症状
乳児期発症型
- 易刺激性、過敏
- 筋緊張亢進または低下
- 発達退行
- けいれん
- 視覚障害、聴覚障害
遅発型
- 歩行障害
- 運動失調
- 認知機能低下
- 視力低下
診断
- 臨床所見(発達退行+過敏+神経症状)
- MRIで脱髄所見
- GALC酵素活性低下
- 遺伝子診断(GALC変異同定)(PMC)
治療
- 造血幹細胞移植(早期乳児例で有効)
- けいれん管理
- 栄養管理
- リハビリテーション
参考文献
クラッベ病 — 遺伝子疾患解説ページ(ヒロクリニック)より。(ヒロクリニック)
Suzuki K et al. Globoid cell leukodystrophy (Krabbe disease). Brain Pathol. 1999.(Nature)
Krabbe Disease — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
Krabbe Disease — Malacards Rare Disease Database.(malacards.org)
