概要
ミトコンドリア神経胃腸脳症疾患(MNGIE)は、核遺伝子であるTYMPの機能欠損により生じるミトコンドリアDNA異常症の一つで、主に消化管運動障害、末梢神経障害、脳白質変性を特徴とする進行性疾患です。TYMP遺伝子はチミジンホスホリラーゼという酵素をコードしており、その欠損により血中チミジンおよびデオキシウリジンが異常に蓄積し、ミトコンドリアDNAの複製・修復が障害されます。その結果、ミトコンドリアDNAの多重欠失や枯渇が生じ、エネルギー産生が低下します。
本疾患は若年期から成人初期に発症し、消化管症状を初発とすることが多く、徐々に神経障害や脳白質病変が進行します。(PMC)
疫学
MNGIEは極めて稀な疾患で、世界の報告症例は300例未満と推定されています。有病率は100万人に1人未満と考えられています。(Orphanet)
原因
本疾患はTYMP遺伝子の両アレル病的変異によって発症します。TYMP遺伝子はヒト22番染色体(22q13)に位置し、チミジンホスホリラーゼをコードします。この酵素の欠損により核酸代謝の恒常性が破綻し、ミトコンドリアDNAの異常が蓄積します。(ヒロクリニック)
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
症状
消化管
- 慢性偽性腸閉塞
- 腹部膨満
- 嘔吐
- 体重減少
神経
- 末梢神経障害
- 筋力低下
- 眼瞼下垂
- 外眼筋麻痺
中枢神経
- 白質脳症(MRI)
診断
- 血中チミジン高値
- MRIで白質病変
- 神経伝導検査異常
- 遺伝子診断(TYMP解析)(PMC)
治療
- 消化管管理(栄養管理)
- 対症療法
- 骨髄移植や肝移植が病態改善に有効な報告あり
- 遺伝カウンセリング
参考文献
MNGIE — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
Hirano M et al. Mitochondrial neurogastrointestinal encephalopathy disease. Brain. 1994.(Brain Journal)
MNGIE — Orphanet Rare Disease Database.(Orphanet)
MNGIE — Malacards Rare Disease Database.(malacards.org)
