ナバホ神経肝症[MPV17関連肝細胞ミトコンドリアDNA欠失症候群]

Navajo Neurohepatopathy [MPV17-related Hepatocerebral Mitochondrial DNA Depletion Syndrome], MPV17

概要

ナバホ神経肝症は、核遺伝子MPV17の機能欠損によって生じるミトコンドリアDNA枯渇症候群の一型で、特に肝臓と神経系に重篤な障害を来す進行性疾患です。本疾患は、もともとナバホ族に多発することからこの名称が付けられましたが、現在では世界各地で同様の遺伝子変異が報告されています。

MPV17遺伝子はミトコンドリア内膜タンパク質をコードし、ミトコンドリアDNAの安定性維持に関与します。この機能が失われるとミトコンドリアDNAが減少・欠失し、エネルギー産生が著しく低下します。その結果、エネルギー需要の高い肝臓と神経系が選択的に障害されます。(PMC)

疫学

ナバホ神経肝症は極めて稀な疾患で、有病率は100万人に1人未満と推定されています。ナバホ族では創始者効果により比較的頻度が高いとされています。(Orphanet)

原因

本疾患はMPV17遺伝子の両アレル病的変異により発症します。MPV17遺伝子はヒト2番染色体(2p23)に位置し、ミトコンドリア内膜タンパク質をコードします。これによりミトコンドリアDNAの複製・維持が障害されます。(ヒロクリニック)

遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

症状

肝臓

  • 新生児期または乳児期の肝不全
  • 黄疸
  • 肝腫大

神経

  • 発達遅滞
  • 筋緊張低下
  • 末梢神経障害

その他

  • 低血糖
  • 代謝性アシドーシス

診断

  1. 血中乳酸高値
  2. 肝機能異常
  3. ミトコンドリアDNA枯渇
  4. 遺伝子診断(MPV17解析)(PMC)

治療

  • 肝不全管理
  • 栄養管理
  • 感染予防
  • 一部で肝移植が検討されますが予後は慎重

参考文献

Navajo Neurohepatopathy — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
El-Hattab AW et al. MPV17-related hepatocerebral mitochondrial DNA depletion syndrome. Mol Genet Metab. 2012.(MGM)
Navajo neurohepatopathy — Orphanet Rare Disease Database.(Orphanet)
MPV17 — Malacards Gene/Disease Database.(malacards.org)