原発性高シュウ酸尿症Ⅰ型(AGXT関連)

Primary Hyperoxaluria, Type 1, AGXT

概要

原発性高シュウ酸尿症Ⅰ型(Primary Hyperoxaluria Type 1:PH1)は、肝臓のペルオキシソームに存在する酵素アラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(AGT)の欠損または機能低下によって発症する希少な先天性代謝異常症です。AGTはグリオキシル酸をグリシンへ変換する解毒反応を担っており、その障害によりグリオキシル酸がシュウ酸へ過剰変換されます。過剰なシュウ酸はカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結晶となり、腎臓や尿路に沈着して尿路結石、腎石灰化、腎機能障害を引き起こします。

進行すると腎不全に至り、全身臓器にシュウ酸が沈着する全身性シュウ酸沈着症(systemic oxalosis)を来す重篤な疾患です。早期診断と治療が予後を大きく左右します。(ヒロクリニック)

疫学

PH1の有病率は約10万〜20万人に1人と推定されています。中東、北アフリカ、ヨーロッパの一部地域で比較的頻度が高いと報告されています。(PMC)

原因

本疾患はAGXT遺伝子の両アレル病的変異によって発症します。AGXT遺伝子はヒト2番染色体(2q37)に位置し、肝細胞ペルオキシソーム内酵素AGTをコードします。AGTが欠損するとグリオキシル酸がシュウ酸へ代謝され、体内に蓄積します。(ヒロクリニック)

遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。(malacards.org)

症状

腎・尿路系

  • 反復性尿路結石
  • 血尿
  • 腎石灰化
  • 腎不全

全身性(進行期)

  • 骨痛
  • 心障害
  • 皮膚沈着
  • 貧血

診断

  1. 尿中シュウ酸高値
  2. 腎エコー・CTで腎石灰化
  3. 血中シュウ酸上昇(進行例)
  4. 遺伝子診断(AGXT解析)(PMC)

治療

  • 大量輸液(尿希釈)
  • クエン酸製剤
  • ビタミンB6(反応型あり)
  • RNA干渉薬(lumasiran)
  • 末期腎不全では肝腎同時移植

参考文献

原発性高シュウ酸尿症Ⅰ型 — 遺伝子疾患解説ページ(ヒロクリニック)より。(ヒロクリニック)
Cochat P et al. Primary hyperoxaluria type 1. N Engl J Med. 2013.(NEJM)
Primary Hyperoxaluria Type 1 — GeneReviews, PubMed Central.(PMC)
Primary Hyperoxaluria Type 1 — Malacards Rare Disease Database.(malacards.org)