ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症

Pyruvate Dehydrogenase Deficiency, X-Linked, PDHA1

概要

ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症(PDH欠損症)は、解糖系で生じたピルビン酸をミトコンドリア内でアセチルCoAに変換する酵素複合体の機能障害により発症する先天代謝異常症です。エネルギー産生が障害され、特に中枢神経系に重篤な影響を及ぼします。X連鎖型の多くはPDHA1遺伝子変異によるものです。

疫学

本疾患は稀な疾患であり、正確な有病率は不明ですが、数万人〜10万人に1人程度と推定されています。

原因

病因

本疾患はPDHA1遺伝子の変異により、ピルビン酸脱水素酵素複合体のE1αサブユニットの機能が低下または欠損することで発症します。この結果、ピルビン酸がアセチルCoAへ変換されず、乳酸に変換されて蓄積し、乳酸アシドーシスを生じます。

遺伝形式

X連鎖性遺伝です。

遺伝子検査について

PDHA1遺伝子は当院の遺伝子検査で解析可能です。

症状

主な症状

  • 新生児期からの乳酸アシドーシス
  • 筋緊張低下
  • 発達遅滞・知的障害
  • てんかん発作
  • 呼吸障害
  • 摂食障害

その他

  • 小頭症
  • 脳形成異常(脳梁欠損、小脳低形成など)

診断

  1. 新生児期からの原因不明の乳酸アシドーシスで疑います。
  2. 血中乳酸・ピルビン酸比の異常を認めます。
  3. MRIで脳形成異常や脳萎縮を認めることがあります。
  4. 酵素活性測定が補助診断となることがあります。
  5. PDHA1遺伝子の病的変異同定により確定診断となります。

治療

根本治療は確立しておらず、代謝管理と対症療法が中心です。

  • ケトン食療法(炭水化物制限・脂質中心)
  • チアミン補充療法(反応性のある症例)
  • 乳酸アシドーシスの管理
  • てんかん治療
  • 栄養管理・リハビリテーション

【参考文献】

  1. GeneReviews®: Pyruvate Dehydrogenase Deficiency
  2. MedlinePlus Genetics: Pyruvate dehydrogenase deficiency
  3. OMIM: PDHA1-related pyruvate dehydrogenase deficiency
  4. 難病情報センター:ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症