概要
Stuve-Wiedemann症候群(SWS)は、重度の骨格形成異常と自律神経機能障害を特徴とする極めて稀な先天性疾患です。主に長管骨の彎曲、関節拘縮、呼吸障害、体温調節異常、摂食障害などを呈し、新生児期から重篤な経過をたどることが多い疾患です。多くの症例で乳児期早期に死亡する重症型が知られていますが、近年では医療管理の進歩により小児期以降まで生存する軽症例の報告も増えています。
本症はサイトカイン受容体であるLIFR(Leukemia Inhibitory Factor Receptor)遺伝子の機能欠損により発症し、骨発育、神経系、自律神経系、呼吸制御など多系統に影響を及ぼします。(PMC)
疫学
Stuve-Wiedemann症候群は非常に稀な疾患で、正確な有病率は不明ですが、世界で報告されている症例は数百例未満と推定されています。特に近親婚が多い地域での報告が比較的多いとされています。(Orphanet)
原因
本疾患は LIFR遺伝子の両アレル病的変異 により発症します。LIFRはgp130ファミリーに属する受容体で、骨成長、神経細胞生存、自律神経制御などに重要なシグナル伝達を担います。LIFR機能が失われることで、骨端軟骨成長の異常、神経支配異常、自律神経不全が生じます。(PMC)
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
※ HSPG2遺伝子 はSchwartz-Jampel症候群などの鑑別疾患の原因遺伝子であり、本症との臨床鑑別において重要な遺伝子です。そのため当院の検査対象として有用です。
症状
骨格系
- 長管骨の彎曲(bowing)
- 関節拘縮
- 低身長
神経・自律神経系
- 体温調節障害(高体温・低体温)
- 発汗異常
- 呼吸不安定
- 心拍変動異常
消化器・栄養
- 嚥下障害
- 栄養不良
- 胃食道逆流
その他
- 易感染性
- 呼吸不全
- 新生児期の致死率が高い
診断
- 臨床所見(骨彎曲+自律神経障害)
- 画像検査(X線で長管骨彎曲)
- 遺伝子診断(LIFR解析)
- 鑑別のためHSPG2解析
治療
現時点で根治療法はありません。治療は対症療法が中心です。
- 呼吸管理(人工呼吸管理を含む)
- 体温管理
- 栄養管理(経管栄養など)
- 感染予防
- 整形外科的フォロー
- リハビリテーション
参考文献
Stüve-Wiedemann syndrome — Orphanet Rare Disease Database. (Orphanet)
Dagoneau N et al. Null leukemia inhibitory factor receptor (LIFR) mutations cause Stüve-Wiedemann syndrome. Nat Genet. 2004. (Nature Genetics)
Stüve-Wiedemann Syndrome — GeneReviews, PubMed Central. (PMC)
Schwartz-Jampel syndrome — HSPG2 gene overview, Malacards. (malacards.org)
