アッシャー症候群

Usher Syndrome, Type 2A, USH2A

概要

アッシャー症候群は、感音性難聴と網膜色素変性症を主徴とする遺伝性疾患です。視覚と聴覚の両方に障害が生じることから、重度の感覚障害を伴う症候群として知られています。
USH2A関連アッシャー症候群(2A型)は、出生時または幼少期から中等度〜重度の難聴があり、思春期以降に夜盲や視野狭窄が出現するのが典型的な経過です。前庭機能は比較的保たれています。

疫学

アッシャー症候群全体の有病率は約2〜6万人に1人と推定されており、先天性難聴の原因として比較的頻度の高い遺伝性疾患です。その中で2型は最も多い型とされ、USH2Aは2型の原因遺伝子として最も頻度が高いとされています。

原因

病因

本疾患はUSH2A遺伝子の変異によって発症します。USH2Aは網膜と内耳に発現するウシェリンという蛋白をコードし、感覚細胞の構造維持とシグナル伝達に関与しています。この蛋白の機能障害により、視細胞および内耳有毛細胞が徐々に障害されます。

遺伝形式

常染色体劣性遺伝です。

遺伝子検査について

USH2A遺伝子は当院の遺伝子検査で解析可能です。

症状

聴覚

  • 出生時または幼少期からの感音性難聴(中等度〜重度)
  • 補聴器での補正が可能なことが多い

視覚

  • 思春期以降の夜盲
  • 視野狭窄(周辺視野から欠損)
  • 進行すると中心視力低下

平衡機能

  • 通常は保たれています

診断

  1. 感音性難聴と夜盲・視野障害の組み合わせから疑います。
  2. 聴力検査で感音性難聴を確認します。
  3. 眼底検査で網膜色素変性症の所見を認めます。
  4. 視野検査・網膜電図で機能低下を確認します。
  5. USH2A遺伝子変異の同定で確定診断となります。

治療

根本治療は確立しておらず、感覚補助と生活支援が中心となります。

  • 補聴器・人工内耳
  • 視覚補助具(遮光眼鏡、拡大鏡など)
  • 定期的な眼科・耳鼻科フォロー
  • 遺伝カウンセリング

【参考文献】

  1. GeneReviews®: Usher Syndrome Type II
  2. MedlinePlus Genetics: Usher syndrome
  3. OMIM: USH2A-related Usher syndrome
  4. 難病情報センター:アッシャー症候群