ブライダルチェックとは?妊娠前に知っておくべき基礎知識【YouTube動画解説】

【1】ブライダルチェックとは?

  • どんなことが検査できるのか?

「ブライダルチェック」とは、将来的に妊娠や出産を希望するカップル(特に女性が対象となることが多いですが、男性も含まれます)が、その準備として自身の健康状態や、妊娠・出産に影響を与える可能性のある病気がないかを事前に確認するために受ける健康診断のことです。

結婚を控えたカップルが受けることが多いことから「ブライダル」という名前がついていますが、結婚の有無にかかわらず、妊娠を考えている、または将来的に子どもを希望する方であれば誰でも受けることができます。

ブライダルチェックの主な目的

  1. 妊娠・出産に影響を与える疾患の早期発見・治療:
    • 子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫といった婦人科系疾患は、不妊の原因になったり、妊娠中に合併症を引き起こしたりする可能性があります。これらを早期に発見し、必要に応じて治療を行うことで、妊娠の可能性を高め、安全な出産につなげます。
    • 貧血や糖尿病、甲状腺機能異常なども、妊娠に影響を与える可能性があるため検査されます。
  2. 性感染症の有無の確認:
    • クラミジア、淋病、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎などの性感染症は、無症状のことも多く、気づかないうちにパートナーに感染させてしまったり、妊娠・出産時に赤ちゃんに感染(母子感染)して、赤ちゃんに重い後遺症を残したりするリスクがあります。事前に検査することで、適切な治療や予防策を講じることができます。
  3. 赤ちゃんへの影響を防ぐための抗体検査・ワクチン接種の検討:
    • 風疹(ふうしん)抗体検査などが代表的です。風疹は、妊娠初期に感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(心臓病、難聴、白内障など)を引き起こすリスクが高まります。抗体が不十分な場合は、妊娠前にワクチン接種を受けることを検討し、妊娠中の感染を防ぎます(ワクチン接種後は一定期間の避妊が必要です)。
  4. 自身の体の状態を把握し、妊活や家族計画に役立てる:
    • 女性の場合、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査などで卵巣に残っている卵子の目安(卵巣予備能)を知ることができます。これにより、今後の妊娠計画を立てる上での参考になります。
    • 貧血やホルモンバランスなども確認し、妊娠しやすい体づくりに向けたアドバイスを受けることができます。

主な検査項目(クリニックによって異なります)

女性の場合

  • 問診: 月経周期、既往歴、アレルギーなど
  • 内診・超音波検査: 子宮、卵巣の形や大きさ、異常(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など)の有無を確認
  • 子宮頸がん検査: 子宮頸部の細胞を採取し、がん細胞の有無を調べる
  • 性感染症検査: クラミジア、淋病、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎など
  • 感染症抗体検査: 風疹、麻疹、水痘、トキソプラズマなど
  • 血液検査: 貧血、血糖値(糖尿病)、肝機能、腎機能、甲状腺ホルモン、女性ホルモン(FSH, LH, E2, PRLなど)、AMH(卵巣予備能)など
  • 尿検査: 尿糖、尿蛋白など
  • 膣分泌物検査: おりものから細菌感染などを調べる

男性の場合

  • 問診: 既往歴、性感染症の既往など
  • 性感染症検査: クラミジア、淋病、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎など
  • 血液検査: ホルモン値、感染症抗体など
  • 精液検査: 精子の量、濃度、運動率、形態などを調べる(男性不妊の要因確認)

ブライダルチェックを受けるタイミング

  • 結婚前・婚約時: 結婚を機に体の状態を知る良い機会となります。
  • 妊活を開始する前: もし何らかの疾患が見つかった場合でも、治療に時間を要することがあるため、余裕を持って早めに受けることが推奨されます。風疹ワクチン接種が必要な場合は、接種後2ヶ月程度の避妊期間が必要なため、特に早めの受診が望ましいです。
  • パートナーが変わった時: 性感染症の確認のためにも推奨されます。
  • 30歳以上: 妊娠率が徐々に低下すると言われる30代以降は、将来的な妊娠の予定がなくても、自身の身体の状態を把握するために受けておくことが勧められます。

ブライダルチェックは、安心して妊娠・出産を迎え、健康な家族を築くための第一歩として非常に有効な手段と言えるでしょう。

遺伝子検査は、個人の遺伝子(DNA)を分析することで、特定の病気のリスクや体質、ルーツなどを調べる検査です。ブライダルチェックとは異なり、直接的に現在の健康状態を診断するものではなく、生まれつき持っている遺伝的な情報を読み解くことを目的としています。

遺伝子検査の主な種類と目的

遺伝子検査には様々な種類があり、目的によって大きく分けられます。

  1. 病気のリスク予測(体質遺伝子検査)
    • 目的: 将来、特定の病気(例:がん、糖尿病、心臓病、アルツハイマー病など)にかかりやすい遺伝的な傾向があるかを調べます。
    • 特徴: あくまで「リスク」や「かかりやすさ」を示すものであり、病気になることを確定するものではありません。遺伝的リスクが高いと分かれば、生活習慣の改善や早期からの検診など、予防的な対策を講じるきっかけになります。
    • 例: BRCA1/2遺伝子検査(乳がん・卵巣がんリスク)、APOE遺伝子検査(アルツハイマー病リスク)、生活習慣病関連遺伝子検査など。
  2. 体質・特性に関する検査(DTC遺伝子検査によく見られる)
    • 目的: 肥満になりやすい体質、肌質、髪質、アルコールの分解能力、運動能力、カフェインへの感受性など、個人の生まれ持った体質や特性を調べます。
    • 特徴: 自分の体をより深く理解し、ダイエット方法の選択やサプリメントの選び方、トレーニング方法などに役立てることを目的とします。多くは、医療機関を介さずに個人が直接申し込む「DTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査」として提供されています。
    • 例: 肥満遺伝子検査、肌質遺伝子検査、筋力・持久力遺伝子検査など。
  3. 疾患の診断・治療薬選択(医療用遺伝子検査)
    • 目的:
      • 遺伝性疾患の確定診断: 生まれつきの遺伝子変異が原因となる病気(例:嚢胞性線維症、遺伝性神経疾患など)の診断を確定するために行われます。
      • がんの遺伝子パネル検査: がん細胞の遺伝子変異を網羅的に調べることで、その患者さんに最も効果的な抗がん剤(分子標的薬など)を選択したり、予後を予測したりするために行われます。
      • 保因者スクリーニング: 結婚や妊娠を考えているカップルが、自身が特定の遺伝性疾患の遺伝子変異を持っていないか(発症はしないが、子どもに受け継ぐリスクがあるか)を調べるために行われます。ブライダルチェックの一環として行われることもあります。
    • 特徴: 医師の管理下で行われ、診断や治療方針の決定に直結する重要な情報を提供します。
  4. ルーツ・祖先に関する検査
    • 目的: 自分の祖先がどの地域出身か、どのような民族的背景を持っているかなどを調べます。
    • 特徴: 主にY染色体(男性のみ)、ミトコンドリアDNA(母系)、または常染色体の解析を通じて、何世代も前の祖先の移動経路などを推定します。
    • 例: AncestryDNA、23andMeなどのDTCサービスで提供されています。

遺伝子検査の方法

多くの場合、以下のいずれかの検体からDNAを採取して分析します。

  • 唾液(だ液): 最も一般的で手軽な方法。専用キットに唾液を採取して送付します。
  • 血液: 病院での採血が必要。より正確な検査が必要な場合や、特定の医療用検査で用いられます。
  • 口腔粘膜: 綿棒で頬の内側を擦ることで細胞を採取します。

採取されたDNAは、専門の検査機関で様々な技術(シーケンス、マイクロアレイなど)を用いて分析されます。

遺伝子検査のメリットと注意点

メリット:

  • 将来の病気リスクを事前に知り、予防的な生活習慣の改善や早期の医療介入を検討できる。
  • 自分の体質やルーツを深く理解できる。
  • 特定の疾患の診断や治療薬の選択に役立つ。
  • 遺伝性疾患の遺伝子を受け継ぐリスクを事前に知り、家族計画に役立てる。

遺伝子検査は、個人の健康や人生に大きな影響を与える可能性のある情報を提供するため、安易な受検は避け、その目的と内容を十分に理解した上で検討することが重要です。