こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなく「データ」を元に分かりやすくお届けするコラムへようこそ。
「子どもが欲しいけれど、なかなか授からない……」
そんな悩みを抱えながら、インターネットで検索を繰り返してはいませんか?
妊活という言葉が一般的になった今でも、「自分は不妊症なのだろうか?」という不安は、誰にとっても深刻でデリケートな問題です。
もし、体が出している小さな「SOSサイン」を見逃してしまうと、貴重な時間を失い、治療のスタートが遅れてしまうかもしれません。
不安な時間を少しでも短くし、一日でも早く赤ちゃんとの未来に近づきたい。そう願うのは当然のことです。
そこで本日は、【不妊症になりやすい人の特徴】をテーマに、見逃してはいけない体のサインと、早期にできる具体的な対策について、医学的な視点からじっくり解説していきます。
まず、「不妊症」の定義について正しく理解しましょう。
日本産科婦人科学会では、**「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合」**を不妊症と定義しています。
しかし、これはあくまで「目安」に過ぎません。
近年、晩婚化に伴い女性の妊娠年齢が上がっています。35歳を超えると卵子の質(妊孕性)は急激に低下し始めます。そのため、年齢や体の状態によっては、「1年待つ」という選択がリスクになることがあります。
【早期受診(半年〜3ヶ月)を検討すべきケース】
「自然に妊娠できる力が働いているか」を早めに見極めることが、未来を変える第一歩になります。
不妊の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の4つに分類されます。
さらに、検査をしても明らかな原因が見つからない「機能性不妊(原因不明不妊)」も全体の15〜20%を占めます。
では、具体的にどのようなサインに気をつければ良いのでしょうか。女性の場合、最も重要なバロメーターは「生理(月経)」です。
生理は「健康の通信簿」です。以下のようなパターンに当てはまる場合、排卵障害のリスクがあります。
「痩せすぎ」も「太りすぎ」も、妊娠力を低下させます。
無理なダイエット、冷え性、慢性的な疲労感などは、体が「妊娠モード」になっていないサインです。
「自分は関係ない」と思っている男性はいませんか?
不妊の約半分(48%)には男性因子が関与しています。これは決して無視できる数字ではありません。
精子は非常にデリケートで、生活習慣や過去の病気の影響を強く受けます。
男性不妊の多くは自覚症状がありません。「射精できているから大丈夫」とは限らないのです。パートナーと一緒に、男性も「検査を受ける勇気」を持つことが大切です。
「検査って何をするの?痛いの?」と不安になる方もいるでしょう。
検査は、原因を絞り込むための「基本検査」からスタートします。
| 検査名 | 目的・分かること |
| 基礎体温測定 | 毎朝の体温変化から、排卵の有無や黄体機能の状態を推測します。 |
| 経膣超音波検査 | 子宮や卵巣の形を画像で確認し、筋腫、内膜症、卵胞の発育などをチェックします。 |
| ホルモン検査 | 血液検査で、FSH、LH、エストロゲン、プロゲステロンなどを測定し、卵巣機能や排卵の指令が正常か調べます。 |
| 卵管造影検査 | 造影剤を使って、卵管の詰まりがないかを確認します。少し痛みを感じることもありますが、治療的効果(通りが良くなる)も期待できる重要な検査です。 |
| AMH検査 | 「アンチミュラー管ホルモン」を測定し、卵巣に残っている卵子の数(卵巣予備能)を予測します。「卵巣年齢」を知る指標となります。 |
| 検査名 | 目的・分かること |
| 精液検査 | 精液の量、精子の数、運動率、正常形態率などをWHOの基準と照らし合わせて評価します。 |
| ホルモン検査 | テストステロンなどを測定し、造精機能に問題がないか調べます。 |
これらの結果を総合して、「タイミング法」→「人工授精」→「体外受精(IVF)」と、ご夫婦に合った治療のステップを提案していきます。
最後に、少し専門的ですが重要な「遺伝」との関係について触れておきましょう。
「検査では異常がないのに、なぜか妊娠しない」「流産を繰り返してしまう(不育症)」
そのような場合、遺伝子や染色体の問題が隠れていることがあります。
受精卵の染色体に偶発的なエラー(数の異常など)が起きると、着床しなかったり、初期流産となったりします。実は、自然流産の約60〜70%は、この受精卵側の染色体異常が原因であり、母体のせいではありません。
ご両親のどちらかに、染色体の一部が入れ替わっている「転座(均衡型転座)」がある場合があります。ご本人は健康ですが、卵子や精子を作る際に染色体のバランスが崩れやすく(不均衡)、それが不妊や流産の原因となることがあります。
こうした原因は、一般的な不妊検査では分かりません。
何度も治療がうまくいかない場合は、**「染色体検査(Gバンド検査)」や、より詳細な「着床前検査(PGT-A)」**などを検討することで、原因が明らかになり、次の対策(治療法の変更など)が見えてくることもあります。
「体を治す」だけでなく、「遺伝を知る」ことも、現代の不妊治療においては重要な選択肢の一つなのです。
今日は、不妊症になりやすい人の特徴と、検査の重要性についてお話ししました。
最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
1. 「1年」にこだわらない
35歳以上の方や、生理不順などのサインがある方は、1年を待たずに早めの受診をお勧めします。時間は取り戻せません。
2. 体からのSOSを見逃さない
生理周期の乱れ、経血量の異常、ひどい生理痛、極端な体重の増減。これらは体が発している「妊娠準備ができていない」というサインです。
3. 男性も当事者意識を
不妊原因の約半分は男性にあります。生活習慣を見直し、精液検査を受けることは、パートナーへの最大の優しさであり、協力です。
4. 検査は怖くない
検査は原因を知り、最短ルートで赤ちゃんに出会うための地図を手に入れる作業です。AMH検査や精液検査など、まずはできることから始めてみましょう。
5. 遺伝的要因も視野に
原因不明の不妊や繰り返す流産の背景には、染色体や遺伝子の問題が隠れていることがあります。専門的な検査で解決の糸口が見つかることもあります。
不妊の悩みは、先が見えず、暗いトンネルの中にいるように感じるかもしれません。
しかし、原因が分かれば、必ず対処法があります。
一人で悩まず、まずは専門のクリニックに相談してみてください。
未来のあなたと赤ちゃんが笑顔で会える日を、私たちは全力でサポートします。
Copyright (c) NIPT Hiro Clinic All Rights Reserved.