LGBTQ+と遺伝の関係性〜性的指向と性自認の科学的真実に迫る【YouTube解説】

〈質問〉

「LGBT」とか「性的指向」って言葉、聞いたことはありますけど、それぞれどう違うんですか?

略語英語日本語の意味
LLesbianレズビアン:女性を好きになる女性〈質問者〉いわゆる“同性を好きになる女性”のことですよね。最近はドラマでも取り上げられることが多くなりましたよね。
GGayゲイ:男性を好きになる男性(広義では同性愛者全体を指すことも)〈質問者〉“ゲイ”って男性だけを指すって思ってましたけど、実はもっと広い意味でも使われることがあるんですね。
BBisexualバイセクシュアル:男性・女性の両方を好きになる人〈質問者〉両方に惹かれる方もいるって、ちゃんと知っておかないと誤解しそうですよね…。多様ですね。
TTransgenderトランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人〈質問者〉自分の心の性と、体の性が違うってことですよね…。

性的指向(Sexual Orientation):誰を好きになるか(恋愛や性的関心)

  • 例:レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル など

〈質問者〉
なるほど…つまり、“好きになる相手”のことなんですね。自分の性とはまた別の話なんですね。

性自認(Gender Identity):自分の性別をどう認識しているか

  • 例:トランスジェンダー、シスジェンダー(出生時の性別と一致する人)

〈質問者〉
自分が“男”とか“女”って思ってる気持ちの部分ですね。周りがどう見るかじゃなくて、“自分でどう感じてるか”が大事なんですね。

性表現(Gender Expression):服装や言動など、性をどう表現するか

  • 男性的・女性的・中性的など、文化や社会により異なる

〈質問者〉
たしかに、“見た目”や“振る舞い”って、人によってすごく違いますよね。見た目が中性的でも、心の性はまた違ったりしますし…。

〈質問者〉

誰を好きになるか”だけじゃなくて、“自分をどう認識しているか”や“どう表現するか”まであるんですね。これは意外と知らないかも…。

〈質問〉

最近テレビでLGBTのほかに“Q”とか“+”って聞きますが、何を意味してるんですか?

Q:クィア(Queer)/クエスチョニング(Questioning)

🔹 Queer(クィア)

  • もともとは「風変わりな」という意味の言葉。

〈質問者〉
ちょっと否定的なニュアンスがあるイメージですよね。

  • 現在は**「既存の性別や性的指向の枠に当てはまらない、あるいは当てはめたくない人」**が自分を表す言葉として使う。
  • 同性愛者・バイセクシュアル・パンセクシュアル・ノンバイナリーなど、どれにもぴったりはまらない人たちの包括的表現

〈質問者〉
確かに人ってそんなに“きっちりカテゴリーに当てはまる”とは限らないですもんね…。

  • 差別的に使われた歴史もあるが、現在はポジティブな自己表現として使われることが多い。

💡 例:「私はクィアです」と言う人は、「女性が好きな女性」「男性が好きな男性」などの枠を超えて、多様なセクシュアリティを持つことを示しているかもしれません。


🔹 Questioning(クエスチョニング)

  • まだ自分の性的指向や性自認について模索中の人。

〈質問者〉
それこそ思春期の頃とか、「自分が何者か分からない」ってモヤモヤする時期ありますよね…。

  • 「自分がどこに属するのか、わからない・決めたくない」と感じている段階。
  • 子どもや思春期に多いが、成人にも多くみられる。

〈質問者〉
それを「曖昧」って否定するんじゃなくて、“探してる最中”ってちゃんと認めてあげるのが大切なんですね。


➕ +(プラス):その他の性の多様性を表す

「+」には、LGBTQに含まれない他の多様なアイデンティティを尊重する意味が込められています。
代表的なものを紹介します:

用語説明
パンセクシュアル(Pansexual)性別に関係なく、人そのものに惹かれる(男性・女性・トランスジェンダーなどすべて対象)〈質問者〉性別じゃなくて「その人自身」に惹かれるんですね…。すごく純粋な感情って感じがします。
アセクシュアル(Asexual)他者に対して性的な欲求を持たない(恋愛感情は持つ人もいる)〈質問者〉恋愛はするけど、性的な欲求はない人もいるんですね。これは知らなかったです。
ノンバイナリー(Non-binary)男性でも女性でもない/その両方/流動的な性自認を持つ人〈質問者〉性別って“どちらか”じゃないんだなぁ…って改めて感じます。もっと柔軟に考えていいってことですね。
ジェンダーフルイド(Gender-fluid)時と場合によって性自認が変わる人〈質問者〉日によって変わることもあるんですね。
インターセックス(Intersex)生まれつき男性・女性のどちらとも言えない身体的特徴を持つ人(性分化疾患など)〈質問者〉それニュースで聞いたことあります!医学的なことも含まれてるんですね…。

🌍 LGBTQ+とは?

LGBTQ+は、「多様な性を持つすべての人々を包括的に認める社会」を表す記号です。

✅ 「LGBT」で終わらせず、**+ を含めることで“見えにくい人たち”の存在も尊重する」という意味合いがあります。

〈質問者〉

なるほど~。「決まった型に当てはめたくない」と感じてる人もたくさんいるってことなんですね。確かに、そういう気持ちもわかる気がします。

〈質問〉

よく「最近LGBTの人が増えた」って言われますけど、本当に増えてるんですか?

  • 本当に“増えた”のではなく、「カミングアウトできる社会になってきた」だけ。

〈質問者〉
つまり、前からいたけど“見えなかっただけ”ってことなんですね。

  • 昔は言えなかった人が、ようやく言えるようになった。
年代自分がLGBTQ+だと公言・自認する割合
60代以上1〜2%程度(調査によってはそれ以下)
10〜20代10〜20%(一部の国では20%超え)

〈質問者〉
それだけ差があるんですね!やっぱり若い世代ほど、SNSとかでもオープンに話しやすくなってるのかもしれませんね。

「同性愛は遺伝するのか?」

〈質問〉

ズバリお聞きします。「同性愛は遺伝する」って、本当なんですか?

  • 完全に遺伝するわけではない」し、
  • 環境だけで決まるわけでもない
    という 複雑な多因子的な現象と考えられています。

〈質問者〉

そうなんですね…。一言で「遺伝」って言っても、そんなに単純じゃないんですね。


🧬 遺伝に関する代表的な研究 

〈質問〉

双子でも、両方が同性愛になるとは限らないんですか?

① 双子研究(行動遺伝学)

  • 一卵性双生児(100%同じ遺伝子)と二卵性双生児(遺伝子50%)を比較した研究。
  • 一卵性双生児の一方が同性愛者だった場合、もう一方も同性愛である割合は約20〜50%(研究により異なる)。
  • これは「遺伝要因は影響するが、決定因子ではない」ことを示しています。

〈質問者〉

遺伝子が同じでも違いが出るって、なんだか不思議ですね。でもそれが“遺伝だけじゃない”ってことなんですね。


② 遺伝子解析研究(GWAS)

  • 2019年の大規模ゲノム研究(Science誌に発表、約50万人対象)では:
    • 特定の遺伝子(SNP)が「同性への惹かれやすさ」とわずかに相関
    • ただし、その効果は非常に小さく、1つの遺伝子で説明できない
    • 結論:“同性愛遺伝子”は存在しないが、複数の遺伝的要素が関与している可能性がある

〈質問〉

では、遺伝以外にはどんな要因が関係するんですか?

🌱 遺伝以外の要因

要因内容
子宮内環境母親のホルモンバランス・免疫応答などが胎児の脳の発達に影響する可能性あり。
出生順効果男性では、兄が多いほどゲイになる確率がわずかに上昇(母体免疫反応説)。
社会的・心理的要因自己認識・環境との相互作用により性的指向が自覚される過程もある。
性的経験性的指向の自覚に影響することがあるが、指向自体を“変える”ことはできないとされる。

〈質問者〉

お母さんのお腹の中の状態まで関係してるなんて…人間の発達って本当に奥が深いですね。


「なぜ淘汰されなかったのか?」

〈質問〉

同性愛って、生殖には直接つながらないのに、なぜ人類の中に残っているんでしょう?

視点理由
遺伝的多様性同性愛傾向の遺伝子は、異性愛者にとっても繁殖に有利な場合がある
間接的な貢献自分の子を持たなくても、親族の繁殖成功に貢献できる
生殖回避ではない一部はバイセクシュアルで子を持つこともあり、完全に生殖と無関係ではない
社会的機能集団の創造性や協調性を高める役割があった可能性

「親の育て方は関係ある?」

〈質問〉

親の育て方が関係あるって話、昔よく聞きました。実際のところどうなんですか?

① 双子研究・養子研究

〈質問者〉

双子研究・養子研究って何ですか?

  • 一卵性双生児(100%同じ遺伝子)でも、一方がゲイでも他方は異性愛者であることがよくある → 遺伝だけでもない。
  • 養子と実子の比較では、育て方が同じでも性的指向に差が出る → 環境だけでもない。
  • 親が「厳しい/優しい」「母子密着/父不在」などのパターンと、同性愛の発現には明確な因果関係は見つかっていない

〈質問者〉

日本以外の学会では同性愛に対しどんな意見があるんですか?

② アメリカ心理学会(APA)の見解

“There is no consensus among scientists about the exact reasons that an individual develops a heterosexual, bisexual, gay, or lesbian orientation.
Although much research has examined the possible genetic, hormonal, developmental, social, and cultural influences… no findings have emerged that permit scientists to conclude that sexual orientation is determined by any one factor or factors.“↳

👉「性的指向は1つの要因で決まるものではなく、親の養育スタイルも決定的なものではない」という立場です。


❌ よくある誤解とその否定

〈質問者〉

昔、「父親がいないとゲイになる」とか、「母親に甘やかされるとそうなる」とか聞いたことあるんですが、あれって本当なんですか?

誤解実際のところ
父親がいない場合ゲイになる?科学的根拠なし。父親の存在有無と性的指向に相関は見られない。
母親に甘やかされたから?同様に、母子関係が強い=同性愛という因果関係は証明されていない。
性的虐待を受けたから?性的指向とトラウマ体験には直接的な因果関係はない。トラウマは苦痛だが、指向を「変える」ことはない。

〈質問者〉

そうだったんですね…。親としても、自分の育て方のせいって思い込んでしまうのはつらいことですもんね。

「10人に1人はLGBT?」

〈質問〉

LGBTQ+の人って、実際どれくらいいるんですか?

  • LGBTQ+は全人口の5〜10%ほど。
国・調査回答時期LGBTに該当すると答えた割合
アメリカ(Gallup調査 2023)18歳以上約7.6%(18〜25歳では約20%)
イギリス(ONS 2021)16歳以上約4.4%(若年層ほど多い)
日本(電通ダイバーシティラボ 2023)一般男女約9.7%(「LGBTQ+を自認」)