男性不妊とクラインフェルター症候群 – マイクロTESEで実現する希望の道【YouTube動画解説】

①【知ってほしい男性不妊の現実】

  • 男性側が原因の不妊は全体の約半数
  • 中でも「遺伝子や染色体異常」は、検査しなければ気づかれない
  • 多くの方が高額な治療を続けた“後”に気づく現実

②【代表的な例=クラインフェルター症候群とは?】

  • 染色体:XXY、XXXY(本来はXY)
  • 精子が作れないことが多く、男性ホルモン分泌にも影響
  • 約500人に1人とされるが、無自覚の人が多い

③【染色体異常に気づくタイミング】染色体・遺伝子異常がある人の特徴やサイン

  • 精液検査で「無精子症」と診断されることで初めて気づくケース
  • 思春期以降の身体の変化や不妊治療中に判明することも
  • 特徴:背が高く痩せ型、声変わりが遅い、筋肉がつきにくいなどの傾向

④【不妊治療とクラインフェルター】

▼A. 精子がある場合(乏精子症)

  • 顕微授精(ICSI):卵子に精子を直接注入

▼B. 精子がない場合(無精子症)

TESE(特にマイクロTESE)の具体的な手順

  1. 術前の診察と準備:
    • 採血(ホルモン検査、感染症検査など)、超音波検査などで精巣の状態を確認します。
    • 泌尿器科医と生殖医療専門医(体外受精を担当する医師)が連携し、治療計画を立てます。
    • 患者さんには手術のリスク、精子回収の可能性、術後の注意点などが詳しく説明され、同意を得ます。
    • 妻側の採卵日と合わせて、TESEの手術日が決定されることが多いです。
  2. 麻酔:
    • 局所麻酔で行われることが一般的ですが、施設によっては全身麻酔や静脈麻酔と併用する場合もあります。麻酔薬を陰嚢(いんのう)の周囲に注射し、手術中の痛みをなくします。
  3. 切開:
    • 陰嚢の皮膚に約1〜3cm程度の小さな切開を加えます。
    • その後、精巣を覆う白膜(精巣の最も外側の丈夫な膜)にも切開を入れ、精巣本体を露出させます。
  4. 精細管の探索と採取(マイクロTESEの重要な工程):
    • ここがマイクロTESEの最も特徴的な部分です。
    • **手術用顕微鏡(通常、20〜30倍に拡大できる高性能な顕微鏡)**を用いて、精巣の内部を隅々まで観察します。
    • 無精子症の場合、多くの精細管は萎縮していますが、中には**精子形成が保たれている可能性のある、わずかに太く、白濁して見える精細管(精子を作る管)**が存在することがあります。
    • 医師は、この「精子がいそうな部分」を慎重に探し、ごく少量ずつ組織(精細管の断片)を採取します。精子が見つからない場合は、精巣全体をくまなく探すため、複数の場所から採取することもあります。
  5. 精子の確認と回収:
    • 採取された精巣組織は、その場で胚培養士に渡されます。
    • 胚培養士は、顕微鏡下で採取した組織を細かくほぐし、精子が存在するかどうかをリアルタイムで確認します。ごくわずかな精子でも見逃さないよう、非常に高度な技術と集中力が求められます。
    • 精子が見つかれば、顕微授精に使えるように回収し、凍結保存します。十分な量の精子が回収できれば、そこで手術は終了となります。
    • もし片方の精巣で精子が見つからない場合は、反対側の精巣も同様に検査・採取することもあります。
  6. 縫合と終了:
    • 精子採取が終わると、切開した精巣の白膜と陰嚢の皮膚を縫合します。多くの場合、体内で自然に吸収される糸が使われるため、抜糸の必要はありません。
    • 手術時間は、従来のTESE(Simple TESE)であれば15~30分程度ですが、マイクロTESEではより時間がかかり、30分~1時間半、場合によっては2時間程度かかることもあります。

術後の注意点

  • 痛み: 術後1週間程度、陰嚢に痛みや腫れが出ることがあります。痛み止めが処方されます。
  • 安静: 術後は、激しい運動や飲酒は1週間程度控えるよう指示されます。
  • 入浴: 術後数日間はシャワーのみとし、湯船への入浴は傷口が完全に治るまで控えるように指示されるのが一般的です。
  • 定期的な受診: 術後1〜2週間程度で再診し、傷口の状態チェックや男性ホルモン値の確認などが行われます。
  • 合併症: ごく稀に出血、感染症、精巣の萎縮、男性ホルモン低下などの合併症が起こる可能性があります。

TESE、特にマイクロTESEは、精液中に精子が見つからない男性に、自身の遺伝子を持つ子どもを持つ可能性を与える画期的な治療法です。高度な技術と経験が求められるため、専門の施設で受けることが重要です。


  • クラインフェルター症候群の男性から採取される精子の遺伝子型(染色体数)が「正常であるか」という問いに対しては、**「正常な精子が見つかる場合もあるが、染色体異常を持つ精子も存在する」**が正確な答えとなります。

1. 正常な精子 (23,X または 23,Y) が見つかる可能性

クラインフェルター症候群の男性の精巣はXXYという性染色体構成ですが、精子を作る過程(減数分裂)において、細胞によっては正常な性染色体構成(XY)を持つ精子前駆細胞が一部残っていたり、またはXXYの細胞から正常な精子(23,Xまたは23,Y)が形成されることがあります。

複数の報告によると、クラインフェルター症候群の男性から回収された精子の中には、90%以上が正常な染色体を持つというデータもあります。例えば、ある情報源では「クラインフェルター症候群であっても、正常精子の割合は93%程度あると考えられています」と報告されています。

これは、TESE(特にマイクロTESE)によって精子が見つかる割合(約40-60%)とは別の話で、**「見つかった精子のうち、どれくらいの割合が正常な染色体を持つか」**という点です。

2. 染色体異常を持つ精子も存在する可能性

しかし、クラインフェルター症候群の男性の精巣では、一部の精子形成細胞で減数分裂が異常に起こり、以下のような染色体異常を持つ精子が生成される可能性もゼロではありません。

  • 24,XX (X染色体が2本)
  • 24,XY (XとY染色体が1本ずつ)
  • 22,0 (性染色体がない)
  • その他、常染色体の数的異常を持つ精子

これらの異常な精子が受精した場合、受精卵も染色体異常を持つことになります。

3. 着床前遺伝子検査(PGT-A/SR)の検討

このため、クラインフェルター症候群の男性から回収された精子を用いて顕微授精を行う場合、**着床前遺伝子検査(PGT-A: Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy、またはPGT-SR: PGT for Structural Rearrangements)**の実施が検討されることがあります。

PGT-A/SRは、体外受精でできた受精卵(胚)から一部の細胞を採取し、染色体異常がないかを移植前に調べる検査です。これにより、染色体異常を持つ胚の移植を避け、妊娠率の向上や流産率の低下、染色体異常を持つ子の出生リスクの低減を目指します。

まとめ

クラインフェルター症候群の男性からTESEで精子が見つかった場合、その中のかなりの割合が正常な染色体を持つ精子である可能性があります。しかし、染色体異常を持つ精子も含まれるリスクがあるため、生殖補助医療を受ける際には、遺伝カウンセリングを受け、必要に応じてPGT-A/SRの利用も検討することが重要です。


⑤【遺伝子検査のすすめ】

  • 染色体異常は検査しないとわからない、染色体異常は、血液や頬粘膜で調べることが可能
  • 現在は自宅で検査キットを購入・提出できる時代
  • 「高額な治療の前に」「パートナーにそっと渡す」など、実用的アドバイスも紹介