1. 熱中症になりやすい体質と遺伝子
【質問】
「そもそも熱中症になりやすい体質などあるのですか?遺伝子と関係ありますか?」
| 分類 | 主な症状 | 原因 |
| 熱失神 | 立ちくらみ、めまい、顔面蒼白 | 皮膚の血管拡張による血圧低下 |
| 熱けいれん | 筋肉の痛み・けいれん | 大量の汗とともに塩分が失われる |
| 熱疲労 | 頭痛、吐き気、脱力感、発熱(38~39℃) | 脱水と塩分不足による循環障害 |
| 熱射病 | 意識障害、体温40℃以上、ふらつき、けいれん | 中枢神経障害(緊急の医療対応が必要) |
【質問】
「熱中症って環境の問題じゃないんですか?遺伝子まで関係あるなんて意外です」
【質問】
「環境要因はすごく実感しています。そのほかにどんなものがありますか?」
【質問】
「高齢者やお子さんは気をつけないといけないですね」
【質問】
「わたしも今の季節に長時間外にいるとくらくらします・・・」
【質問】
「遺伝子が関係しているとは驚きでした」
【先生】
→ 遺伝的に“熱への耐性”が弱い体質の人がいる
→ CPT2遺伝子:体温が上がる状況でエネルギー代謝に障害が起きやすい
→ この遺伝子に変異があると、筋肉のエネルギー産生が妨げられ、重症化しやすくなる
CPT2 遺伝子多型(SNP)と熱中症リスク、特に筋障害・横紋筋融解との関連について、日本人を含む研究によるデータを以下に詳しくご紹介します。
| 表記 | 意味 |
| Phe352Cys | 352番目のアミノ酸がフェニルアラニン → システインに変わる |
| F352C | 上と同じ意味。1文字表記(F→C) |
| アミノ酸の性質変化 | 芳香族・疎水性(Phe) → 硫黄を含む極性アミノ酸(Cys) |
| 影響 | タンパク質の立体構造や安定性に影響しやすく、酵素の熱安定性が低下することが報告されています |
〈質問〉
ニュースでも熱中症で倒れる方が多いと聞きます。
日本人の場合、遺伝子によって熱中症になりやすい人ってどのくらいの割合でいるんですか?
アレル頻度:約21%
〈質問〉
遺伝子が原因で熱中症になりやすいって、具体的にはどういうことなんですか?
体の中で何かが起こっているんでしょうか?実際に体温40℃以上の熱中症患者を対象に、F352CなどのCPT2多型と症状の重症度や筋破壊の発症率との相関が調査されています
→ 特に胎児や高齢者、基礎疾患のある人ではリスクが高い
【質問】
では、もともと体温調節能力が低い小さなお子さんは、より注意が必要ですね。
妊婦さんにとっては、自分だけではなくて、胎児にとっても熱中症は心配したほうがよいですか?
| 項目 | 内容 |
| 注目SNP | F352C(Phe352Cys) |
| 影響 | エンザイム活性低下、熱耐性減少 |
| 日本人の頻度 | 軽度変異として存在(稀) |
| 熱中症リスク | 体温↑で酵素不安定→筋障害・横紋筋融解リスク上昇 |
| 臨床応用 | 重症熱中症症例における検査マーカーとして注目 |
〈質問〉
私も自分が熱中症に弱い体質なのか気になります。
自分が熱中症になりやすい体質か調べるにはどうすればいいでしょうか?
CPT2遺伝子(Carnitine Palmitoyltransferase II)は、脂肪酸の代謝(特に長鎖脂肪酸のミトコンドリア内での分解)に関与する重要な酵素をコードする遺伝子です。この遺伝子と熱中症との関係については、主に以下の点で注目されてざいます。
〈質問〉
先程CPT2遺伝子というものが出てきましたが、その遺伝子はどんな働きをしてるんですか?
〈質問〉
熱中症が原因で遺伝的な筋肉の病気がわかることもあるのですか?
〈質問〉
CPT2の変異は、どのくらいの人が持っているものなんですか?
【質問】
「CPT2遺伝子の疾患による、新生児や、成人になってからの症状にはどんなものがありますか?」
| 型 | 症状 | 誘因 |
| 新生児型 | 重篤、心筋症、肝機能障害 | 生後すぐ |
| 小児型 | 低血糖、肝障害 | 発熱・空腹時 |
| 筋型(成人型) | 筋痛、ミオグロビン尿 | 運動・高熱・ストレス・熱中症 |
【質問者】
「それって、検査しないとわからないことなんですよね?」
【話者】
→ そう、見た目ではわからない
→ 医療機関での遺伝子解析で調べられることもある
【質問者のリアクション】
「なるほど…自分が“暑さに弱い体質”かどうかを知ることが、重症化を防ぐ第一歩ということですね。
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