妊娠中の喫煙が胎児に与える衝撃の影響と禁煙の重要性【YouTube動画解説】

妊娠中の喫煙が赤ちゃんに与える影響

【質問者】
「妊娠中にタバコ吸っても大丈夫なのでしょうか?昔は妊婦さんでも吸ってたって聞きますし…」

【先生】表あり↓
「そういう話、よく耳にしますよね。でも、妊娠中に安全な喫煙本数は存在しません”。1本でも、胎児にとっては確実に悪影響があります。
なぜかというと、タバコに含まれるニコチン一酸化炭素が大きな原因なんです。

まずニコチンは、母体の血管を収縮させます。妊娠中は胎盤を通して赤ちゃんに酸素や栄養を届けていますが、血管が縮むとその流れが悪くなります。つまり、赤ちゃんはいつも“酸素と栄養の不足ぎみ”の状態になるんです。 

さらに、一酸化炭素はもっと深刻です。これは酸素の通り道である赤血球にくっつき、酸素の運搬能力を奪ってしまいます。結果として、胎児の脳や臓器に届けられる酸素が不足します。脳の発達期に酸素が足りなくなるというのは、成長にとても大きな影響を及ぼします

これらが積み重なると、以下のリスクがはっきり上がることが分かっています。

◆ 妊娠中の喫煙がもたらす主なリスク(研究データより)

項目リスク倍率・差出典
早産リスク約1.5倍(8%→11%)(ウィキペディア)
低出生体重児約2倍、平均出生体重 −150〜200g(ウィキペディア, archivesofmedicalscience.com, サイエンスダイレクト)
発達障害/知的障害約1.5〜2倍増加(ウィキペディア, PMC)
IQ低下妊娠中に1日20本吸う母 → 子どもIQ 平均−6点(PMC, MDPI)

【先生】
つまり、タバコを吸い続けることで…
早産や切迫流産のリスクが高まる
・赤ちゃんが極端に小さく生まれる(低出生体重児)
・心臓や他の臓器の形態異常のリスクが上がる
・さらに、知的障害や発達障害の可能性も1.5〜2倍になる…
という研究結果が複数あります。

しかもこれらの影響は、“本数が少ないから大丈夫”とは言えません。たとえ1日数本でも、胎児には酸素不足や栄養不足の影響が出る可能性があります。

【質問者】
「そんなに影響があるのですね!本数が少なくても影響があるなんて…知りませんでした。赤ちゃんにとっては本当に良くないことばかりなんですね。」

【先生】
「そうなんです。だから『ちょっとなら平気』というのは大きな誤解なんです。
しかも影響は“すぐ目に見える”ものだけではなく、生まれた後の発達や学習能力、体力にも長期的に影響することが研究で分かってきています。
喫煙はお母さんの体だけでなく、赤ちゃんの未来にも直結する問題なんですよ。

こうしたリスクを考えると、妊娠中に禁煙を成功させることはとても大切です。しかし実際には、分かっていてもなかなかやめられない人も少なくありません。そこで重要になるのが“禁煙をどうサポートするか”という視点です。」

禁煙をサポートするにはどうしたら?

【質問者】
「タバコって、ただの“嗜好品”なんじゃないんですか? 自分の意志さえあればやめられるっていう人もいますよね?」

【先生】イラストあり↓
「そう思われがちなんですが、実は違うんです。タバコは単なる嗜好品ではなく、“ニコチン依存症”という医学的に認められた病気なんです。
これは世界保健機関(WHO)や厚生労働省も正式に病気として分類していて、診断基準もあるほどです。

ニコチンは脳に入ると、ドーパミンという“快感や満足感をもたらす物質”を大量に分泌させます。これが『吸うとホッとする』『頭がスッキリする』という感覚を作り出すんですね。でも同時に、体はその快感を“もっと欲しい”と感じるようになり、吸わないと落ち着かない、イライラする、集中できない…という離脱症状が出てしまいます。
つまり、脳そのものがニコチンに支配されてしまう状態になるんです。

この仕組みは、アルコール依存症や薬物依存症と非常に似ています。『やめたい』と思っても、脳が強烈に『吸え』という指令を出すので、意志の力だけでは非常に難しいんです。アイスやお菓子を我慢するのとはまったく次元が違う話なんですね。

だから、喫煙者に対して『意志が弱い』『やめられないのは根性が足りない』というのは誤解です。これは個人の性格ややる気の問題ではなく、脳の仕組みが変わってしまっている医学的な状態。治療やサポートが必要な“依存症”なんです。

【質問者】
なるほど…そういう仕組みだったんですね。じゃあ、やめられない人を責めるんじゃなくて、サポートしてあげることが大切なんですね。

【先生】
その通りです。依存症は、周囲の理解と適切な支援があって初めて改善しやすくなります。
最近では、禁煙外来でニコチンを減らす薬や貼り薬、ガムなどを使いながら、医師や看護師と一緒に少しずつやめていく方法が一般的になっています。
“自分一人で頑張る”よりも、“正しい方法で、周囲の支えを得ながら”禁煙を進めた方が成功率はぐっと高くなるんですよ。


◆ 禁煙の成功と再喫煙に関するデータ

【質問者】
禁煙の成功した人の統計などデータはあるんですか?

【先生】
ギリシャ発行の国際誌「Smoking cessation in pregnancy: An update for maternity care practitioners」という論文では

  • 妊娠中に禁煙成功した女性のうち、産後6ヶ月以内に再び喫煙した割合:約47〜63%【PMC, MDPI】
  • 妊娠中に一時禁煙した女性のうち、禁煙を継続できた割合はわずか13%、6ヶ月以内に再喫煙した割合は43%time.com
  • 禁煙成功と産後再喫煙率データ
内容割合・数値出典
妊娠中に禁煙成功した女性のうち、産後6ヶ月以内に再喫煙した割合約47〜63%(PMC, MDPI)
妊娠中に一時禁煙した女性のうち、13%が妊娠中禁煙を維持、43%が6ヶ月以内に再喫煙13% 禁煙維持、43% 再発(time.com)


この数字を見ると、禁煙が“産後まで続ける”ことの難しさがよく分かると思います。妊娠中は赤ちゃんを守ろうという強い気持ちで禁煙できても、出産後にストレスや生活の変化でまた吸い始めてしまう方がとても多いんです。

だからこそ、禁煙は本人ひとりだけで頑張るのではなく、周囲の支援が不可欠なんです。パートナーや家族が一緒に禁煙に取り組んだり、少なくとも目の前で吸わないように配慮するだけでも成功率は大きく上がります。家族が協力的であることは、禁煙の“継続”にとって非常に重要な要因です。

そして大事なのは、失敗しても諦めないこと。1回でやめられなかったとしても、再挑戦するたびに成功の可能性は高まります。『また吸ってしまった…』ではなく、『次はもっと工夫してみよう』と考えることが、長期的な禁煙成功につながります。

【質問者】
「“一緒に頑張ろう”って言える存在がいるって、すごく大事なんですね。」

【先生】
「そうですね。本人の意思と周囲のサポート、そして医学的な治療。この3つがそろったとき、禁煙はぐっと現実的になります。」

受動喫煙の影響は“同じくらい危険”

【質問者】
「私は吸わないんですけど、家族が家でタバコを吸うんです…。換気してれば大丈夫ですか?」

【先生】
「残念ながら、“換気してるから安全”とは言えません。受動喫煙でも、タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素、発がん性物質はしっかり体内に入ってきます。しかも煙は目に見える“主流煙”より、火がついてる間に立ち上る“副流煙”の方が有害物質が多いんです。
たとえば一酸化炭素は母体の血液中の酸素と置き換わってしまい、胎児への酸素供給を減らします。これによって低出生体重や早産のリスクが上がるという研究結果があります。」

厚労省のデータでは

  • 妊婦が受動喫煙にさらされると、早産リスクは約1.2〜1.3倍
  • 低出生体重児の割合も約1.3倍に増加
  • 家族に喫煙者がいる妊婦の毛髪ニコチン濃度は、本人喫煙者の約3分の1に達するケースも(PMC, WHO報告)

厚労省

【質問者】
「え…吸ってないのに、そんなに体に入ってしまうんですか?」

【先生】
「はい。そして第三の煙“サードハンドスモーク”にも注意です。これはカーテンや壁紙、ソファなどに付着した有害物質が、時間をかけて空気中に再び放出されるものです。赤ちゃんが生まれた後も、家にその“残り煙”があると、呼吸器の病気やぜんそくの原因になります。」

加熱式タバコや電子タバコは安全?

【質問者】
「最近は加熱式タバコとか電子タバコも増えてますよね。あれなら安全なんですか?」

【先生】
「これもよくある誤解です。“煙じゃなくて水蒸気だから安心”と思われがちですが、加熱式も電子タバコもニコチンはしっかり含まれています。ニコチンは血管を収縮させ、胎児への酸素と栄養を減らします。つまり妊娠中の影響は紙巻きタバコと本質的に変わりません。」

ポイント

  • 加熱式タバコ:タールは少ないが、ニコチン量は紙巻きと同等またはそれ以上の製品も
  • 電子タバコ:液体ニコチンを吸入するタイプは依存性が高い
  • 香料や添加物の成分が加熱されることで、長期的影響は未解明

WHOや厚生労働省も『妊婦は加熱式・電子タバコを使用すべきでない』と明確に警告しています。“煙が少ない=安全”ではなく、“害が見えにくい=危険に気づきにくい”と考えたほうがいいんです。」

生まれた後も続く影響と守るための工夫

【質問者】
「妊娠中にタバコをやめれば、もう赤ちゃんへの影響はなくなるんですよね?」

【先生】
「実は…そうとは限らないんです。妊娠中の喫煙や受動喫煙の影響は、生まれた後も数年から十数年にわたって現れることがあります。例えば、喘息やアレルギーの発症リスクが高まったり、学習能力や集中力が下がる傾向が報告されています。赤ちゃんの免疫や呼吸器はまだ未発達なので、ほんの少しの煙や残った有害物質にもとても敏感なんです。」

【質問者】
「じゃあ、産まれてからもタバコは気をつけないといけないんですね。」

【先生】
「その通りです。出産後も家庭内を完全禁煙にすることは、赤ちゃんの発育や健康を守るためにとても効果的です。できれば家族や来客にも『赤ちゃんの家は完全禁煙』を徹底してもらうと安心です。」

【質問者】
「“完全禁煙の家”って、なんだか赤ちゃんのための特別な場所って感じがしますね。」

【先生】
「そうです。“赤ちゃんが健やかに呼吸できる空気”をプレゼントすることは、何よりの愛情表現です。これはお金では買えない、大切な贈り物ですよ。」