NIPTで夫婦の意見が分かれたとき〜染色体異常と向き合う選択の葛藤【YouTube解説】

【質問者】先生突然ですが、ネットニュースで子はかすがいって聞いたのですが、「かすがい」ってなんですか?

「かすがい(鎹)」の意味

  • 木材と木材をつなぎ止める金具のことです。
  • 形は 「コ」の字型の釘 で、木と木を打ちつけて固定する際に使われます。
  • 現代でいうと「金属のジョイント」や「留め具」に近い存在です。

【質問者】
なるほど。建築用語だったんですね!


🧠 ことわざ「子はかすがい」の意味

  • 夫婦の関係が悪くなりかけても、子どもの存在が2人をつなぎとめる(=かすがいのような役割を果たす)
  • 子どもがいることで、夫婦の絆が再確認されたり、離れずに済んだりするという意味です。

【質問者】「かすがい」にはそういう意味があったんですね。

 離婚率の上昇に関する主なデータ(日本および海外)

【質問者】テレビで3組に1組が離婚するといっていました。出生前診断が陽性で夫婦間で意見が別れてしまうということですが、たとえば、障害のある子が生まれた場合の、離婚率みたいなデータってあるんでしょうか?

✅ 日本の研究(例)

  • 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの報告によれば、
    • 発達障害児(自閉スペクトラム症など)を持つ家庭の離婚率は、一般家庭の1.5~2倍程度になる傾向があるとされています。
    • たとえば、通常の夫婦の離婚率が30%前後とすれば、障害児の家庭では40~60%に達するケースもあると報告されています。

〈質問〉
2倍もあるんですね…


〈質問〉

海外での離婚率はいかがでしょうか?

✅ 海外の研究(米国など)

  • **アメリカのウィスコンシン大学(2010年)**の研究では、
    • 自閉スペクトラム症の子を持つ親の離婚率は 約23.5%、それに対し、健常児を持つ親の離婚率は 13.8% だったと報告されています。
  • ただし、全体の統計では必ずしも顕著な差が出ないこともあるため、障害の重症度や家庭のサポート体制による差が大きいと考えられています。

【質問者】データによると離婚率が高くなってしまうんですね。それにはどんな要因があるんでしょうか?

🔍 離婚率が高くなる要因

要因内容
心理的ストレス不安・悲しみ・孤立感・罪悪感などが夫婦関係に影響
育児の負担介護・通院・療育などで生活が不安定に
経済的負担専業介護による収入減、治療費・支援費用など
周囲からの支援の不足社会的孤立・夫婦の分担意識のずれ
きょうだい児への対応子ども全体への対応バランスが崩れることも

【質問者】離婚率が上がってしまう要因はひとつではないんですね。確かに…全部重なったら、心が折れそうになりますよね…


〈質問〉

出生前診断で陽性だった場合、男性の方がこういう先のことを考えてしまいがちで、反対するんでしょうか?

要因内容
経済的重圧一生背負う責任の大きさを感じる
将来への不安自立・介護・老後への現実的な懸念
家庭不和の予感離婚や精神的距離のリスクを予測
感情処理の苦手さ否認・逃避的対応
社会的役割の負担世間体、キャリアへの影響

〈質問〉

女性と男性とでは、子育てに関しての向き合い方が違うと言えますか?

観点女性の傾向男性の傾向
感情の発達妊娠中から強い絆を感じる出生後に少しずつ「父性」が芽生える
判断の軸命・感情中心、「育てたい」現実・責任中心、「背負いきれるか」
社会的プレッシャー「母親なら受け入れるべき」という圧「家族を守れ」と期待される
心理的負荷「育てるしかない」という諦め・覚悟「逃げたい」「壊れた未来への恐れ」

〈質問者〉

なるほど…お腹で育てるのと、外から見るのとじゃ、実感のタイミングが違うんですね

✅ 女性と男性で異なる傾向がある理由

【質問者】女性は感情的で、男性は論理的みたいな話をなんとなく聞くことがあります。

1. 「母性本能」 vs 「合理的判断」

  • 女性は妊娠・出産・授乳などを通じて、身体的・心理的に子どもとの結びつきが非常に強くなる
    • →「どんな子でも自分の子」「生きていてくれるだけでいい」と感じる傾向がある。
  • 一方、男性は「支える責任」「合理的に未来を設計する」立場に立つことが多く、
    • →「この先の生活が破綻しないか」「自分たちに育てきれるのか」と現実的な判断を重視しがち。

2. プロセスの違い:妊娠を“体感する”かどうか

【質問者】男女の考え方の違いではなく、妊娠という観点で見た場合に、男女ではどのような違いが言えるでしょうか?

  • 女性は妊娠中から胎児の動きや成長を体で感じ、母親としての実感を早くから持つ
  • 男性は、出生後に初めて「父になる」感覚を得ることが多く、感情の形成が遅れる傾向がある。

【質問者】胎児のときから母親としての実感を持つ女性と、出生後に父になる男性とでは時間的な違いがずいぶんありますもんね。


3. 「命への感情」と「責任への感情」

【質問者】男性と女性の感情面ではどのような違いがありますか?

  • 女性:「この命は守りたい」=感情的な結びつきが強い
  • 男性:「この先を背負いきれるか」=責任・リスクの重さに圧倒されやすい

4. 社会的期待の違い

【質問者】社会からの圧力みたいなものもありますか?

  • 社会や文化が女性に対しては「母親なら当然受け入れるはず」という期待を押しつけやすい。
  • それに応える形で女性自身も「育てたい」と感じやすくなる心理もある(内発と外発が混ざる)。

〈質問者〉
日本では出産・育児と仕事の両立に対する不安や職場の反応も含めて妊娠中の社会的な圧やプレッシャーは多いですよね。


🔍 実際には、すべての女性が「育てたい」と思うわけではない

〈質問者〉

実際すべての女性が生みたい育てたいと思うものでしょうか?

  • 「障害児を育てる覚悟がない」「普通の人生を送りたい」と感じて悩む女性も多くいます。
  • ただ、そうした気持ちを表に出しづらいのが女性側の苦しみでもあります。

【質問者】障害のある子を持った場合の離婚率や、男女の違いについてよくわかりました。では、NIPT出生前診断のときのケースを詳しくしりたいです

「NIPT陽性、夫婦の意見が割れる時」

【質問者の質問】
「NIPTで陽性って言われたら、すごくショックです。その時、夫婦で意見が分かれちゃうって、具体的にどういうことなんですか?」

「知っておきたいNIPTの基本」


【質問者】
「なるほど。たしかに難しい問題ですね。夫婦間で意見が分かれる背景には、共通てんがあるのでしょうか?」

【先生】
「情報不足」:夫婦間でNIPTに関する知識の差がある。
「価値観のズレ」:子育てや「障害」に対する考え方、人生観の違い。  
 → 例えば、女性側は【どんなことがあっても命は守りたい】という本能的な思いが強く、
 男性側は【現実的な問題や経済的な負担】を考える傾向があります。
「親族の介入」:義両親など、周囲の意見が夫婦の決定に影響を与えるケース。
 → 特に「赤ちゃんを選別するのか」といった倫理的な意見は、夫婦の関係に大きなプレッシャーをかけることがあります。

【質問者】
「確かに…情報が足りなかったり、考え方の違いってありますよね。親からの意見も気になりますし…」 「でも、やっぱり女性が『産む』って決めているのに、旦那さんが『やめたい』って言ったら、すごく辛い状況ですよね…」

「乗り越えるための3つのステップ」

【質問者】 「夫婦で困難な状況を乗り越えるための具体的なステップってあるのですか?」

【先生】
  ステップ1: 【情報の共有と正しい理解】  
  → 夫婦で一緒にNIPTやその後の確定的検査について学ぶ。
 → 専門のウェブサイトや資料を一緒に読む。
 → 情報格差をなくすことで、冷静に話し合える土台ができます。

  ステップ2: 【臨床遺伝専門医など専門家への相談】
 → 夫婦だけで話しても解決しない場合、客観的な意見を聞く。
 → 遺伝カウンセリングを受けることで、科学的根拠に基づいた情報を得て、漠然とした不安を整理できる。
 → ヒロクリニック(当院)のように専門医がしっかりサポートしてくれる場所を選ぶことが重要です。

ステップ3: 【価値観や感情を率直に共有し合う】
 → 相手の意見を否定せず、「なぜそう思うのか」「どんな不安があるのか」を丁寧に聞き合う。
 → 「知りたい派」と「知りたくない派」、「産みたい派」と「慎重派」、それぞれの感情を尊重し、本音を話し合える関係を築くことが何よりも大切です。

【質問者】
「なるほど…!情報の共有と専門家への相談、そしてお互いの気持ちを理解し合うことが大切なんですね。」

〈質問〉「でも、もし夫婦の意見が割れてまとまらない場合はどうすればいいんですか?

【先生】 「非常に重要な質問です。意見がまとまらないからといって、そこで話し合いを止めてしまうのが一番危険なんです。むしろ、『もし、陽性だった場合、どうするのか』という具体的なシナリオを事前に話し合うことが、いざという時の冷静な判断につながります。」

【質問者】

確かにそうですね。それぞれどんなことを考えた方がよいですか?

【先生】
  「妊娠継続の場合」:どのようなサポートが必要か、経済的な準備、育児体制など。
 → 障害を持ったお子さんを育てるには、様々な困難が伴うことも事実です。それらを具体的に想像し、夫婦で協力し合えるか、現実的に話し合う必要があります。

  「妊娠中断の場合」:その選択が夫婦にどのような影響を与えるか、心のケア。
 → どちらの選択も、決して簡単なことではありません。夫婦でその後の人生にどう向き合っていくかを話し合うことが大切です。

  「夫婦二人で決める」という意識の共有:  
最終的な決定は、親や友人ではなく、夫婦二人で責任を持って行うこと。【どんな結果になっても後悔しない決断をする】ために、夫婦の絆を大切にする意識を持つ。
残念ながら、お子さんに障害が発覚した後、【離婚に至るケースが多い】という現実があることを忘れてはいけません。夫婦の絆が試される時だからこそ、お互いを尊重し、深く向き合うことが重要です。

【質問者】
「確かに、最悪のシナリオを想像するのは怖いけれど、現実から目を背けてはいけないんですね。離婚してしまうケースが多いというのは、すごく胸が痛いです…」

「夫婦を支えるサポート体制」
​​〈質問者〉
「そういう時に、夫婦のサポートってあるんでしょうか?」

【先生】「はい、もちろんあります。不安を一人で抱え込まず、外部のサポートを積極的に活用することが非常に重要です。」

【先生】
  オンラインピアサポート「ゆりかご」
https://fetalhotline.fab-support.org/yurikago/
NIPTや胎児疾患で悩む当事者同士が、経験を共有し、支え合う場。  
医療者には話しにくい本音や、リアルな体験談を聞けることで、心理的な負担が軽減される。

  臨床遺伝専門医によるサポート
医学的な知識や検査結果の解釈、遺伝のリスクなど、専門的な情報は専門医から得る。
ヒロクリニックでは、NIPTに特化した臨床遺伝専門医が、検査前後の不安や疑問に丁寧に説明してくれる。

  夫婦一緒にサポートを受けるメリット
夫婦で同じ情報を共有し、同じ視点で検討することで、情報格差による意見の食い違いを防ぐ。
冷静な話し合いができ、夫婦喧嘩を回避する。

【質問者】 「ピアサポートや専門医のサポート、両方活用できるのは心強いですね!夫婦二人でちゃんと話し合って、納得して決めるためにも、すごく大切なことだと感じました。」

【先生】 「そうですね。出生前診断は、赤ちゃんの未来だけでなく、夫婦の未来にも関わる重大な選択です。この選択を乗り越えることで、夫婦の絆はより一層深まるはずです。」