歯並びは遺伝?それとも生活習慣?【YouTube動画解説】

歯並びは直接遺伝しないが、遺伝子の影響は大きい

遺伝に加えて歯並びを悪化させる生活習慣や癖

✅ 遺伝の影響を受けやすい要素:

要素内容
顎の大きさ両親どちらかが顎が小さいと、子どもも狭い顎になりやすい
歯の大きさ歯が大きくて顎が小さいと、乳歯でも重なりやすい(叢生)
噛み合わせの傾向出っ歯、受け口、開咬などは遺伝しやすい
歯の本数や形先天欠如(歯の本数が少ない)、歯の形の異常なども遺伝性がある

比較表

項目受け口(反対咬合)開咬(オープンバイト)
主な見た目下あごが出ている前歯の間に隙間がある
原因骨格・歯・習慣習慣・骨格・舌癖
よくある原因習慣なし/舌突出指しゃぶり・舌突出
食べにくい物前歯で噛むもの前歯で切るもの(麺・パン)
発音障害サ行・タ行などサ行・タ行・ラ行など

 2. 環境・習慣の影響(遺伝以外)

乳歯の歯並びには、生活習慣や癖も大きく関係します。

要因影響
指しゃぶり・おしゃぶりの長期使用上顎前突(出っ歯)、開咬(前歯が閉じない)
舌癖(舌を前に出す癖)歯列を押し広げて乱れる
口呼吸上顎が狭くなりやすく、歯並びに影響
離乳の遅れ・柔らかい食事ばかり咀嚼力の不足で顎の発達が不十分になり、歯が並びきれない

📌 3. 乳歯の歯並びと永久歯への影響

  • 乳歯の歯並びが悪いと、永久歯も乱れやすいです。
    • 特に、**乳歯の間に隙間がない(すき間がない)**と、永久歯が生えるスペースが足りなくなります。
  • 逆に、乳歯の時にすき間があるのは正常な発育のサインともいえます。

口呼吸、指しゃぶり、爪や鉛筆を噛む癖、も噛み合わせを悪くする原因

顎の大きさに関与する主な遺伝子

遺伝子名役割関連する影響
MYO1H骨の成長に関与するモータータンパク質下顎の前方成長(受け口)の発達に関与
FGFR2骨・軟骨の発達調節頭蓋顔面の発達、上顎の形状にも影響
MSX1歯や顎の形成を制御する転写因子顎の小ささ、歯の先天欠如などに関係
PAX9歯の発生・顔面構造の形態に関与顎の幅や歯の本数に影響することもあり
RUNX2骨形成に必須な転写因子骨格性顔貌の形成(特に上下顎)に関与

📝 特に MYO1H遺伝子は、**骨格性下顎前突(受け口)**に強く関連しているとして、複数の研究で報告されています。


🦷 歯の大きさに関与する主な遺伝子

遺伝子名役割関連する影響
EDAエクトジスプラシン(外胚葉形成)歯の数や大きさ、形状に大きく影響
MSX1歯のサイズや歯列形成に関与小さい歯・欠如歯との関連あり
PAX9歯の数・大きさ・萌出順の制御小臼歯の先天欠如やサイズ異常
BMP4骨形成タンパク質歯胚の発生段階やサイズに関与
AXIN2細胞の成長・形態制御歯列の大きさや形態に関係し、先天欠如にも関連が報告される

🧪 遺伝子検査は可能?

  • MSX1、PAX9、EDAなどは、歯の先天欠如や奇形の遺伝子検査対象として一部の研究施設や商用検査で扱われています。
  • 顎のサイズや骨格的顔貌の遺伝的予測は、現在の技術では限定的であり、SNP解析などによるリスク予測にとどまっています。

方法①:臨床遺伝子検査(医療機関で行う)

  • 対象:歯の先天欠如や形成不全などがある患者
  • 手法:血液または口腔粘膜からDNAを採取 → 遺伝子解析(シークエンシング)
  • 調べる範囲:MSX1、PAX9、EDA などの全エクソン領域や既知の変異部位
  • 実施機関
    • 一部の大学病院・小児歯科・遺伝外来
    • 例:東京医科歯科大学、岡山大学、九州大学など
  • 費用:保険適用外(数万円~10万円程度)

📝 適応例:永久歯の多数欠如(先天性無歯症)、異常歯列形成などの原因解明