こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなく「データ」を元に分かりやすくお届けするコラムへようこそ。
「これまでは異常がなかったはずなのに、どうして流産してしまったの?」
「私の生活がいけなかったのかな…」
もし今、そんな風に自分を責めているとしたら、どうかその自分を責める気持ちを一度手放してください。
実は、流産の原因には「お母さんの努力ではどうにもできない染色体の変化」が存在します。
今回は、なぜ検査で異常がなかったのに悲しい結果になってしまったのか、その「本当の理由」を知ることで、「私のせいじゃなかったんだ」と心から思っていただけるよう、医学的な事実をお話ししていきたいと思います。
流産の原因として、実は非常に多いケースがあります。それが「3倍体」や「4倍体」と呼ばれる状態です。
通常、赤ちゃんはお父さんから23本、お母さんから23本、合計46本の染色体をもらいます。これが生命の基本ルールであり、「2倍体」の状態です。
しかし、3倍体は本来2つで1ペアになるはずの染色体が、全て3つで1セットになってしまい、染色体の本数が合計69本になってしまっている状態です。
驚くべきはその頻度です。3倍体は妊娠全体の約1.7%という高確率で起こります。100人の赤ちゃんのうち、1人か2人はこの状態になっている計算です。ダウン症の頻度が全妊娠の0.1%〜0.2%と言われていることと比較すると、はるかに高い頻度で起きている現象だと分かります。

では、なぜこんなことが起きるのでしょうか。
通常、1つの卵子に対して精子は1つだけ入ります。ところが、同時に2つの精子が卵子に入ってしまうことがあります。これを「多精子受精」と言い、精子が2つ入ることで合計69本になるのが3倍体の主な原因です。
また、4倍体というのは受精卵が細胞分裂する際にうまく分かれず、染色体が倍の92本になってしまった状態です。
ここで一番重要な点をお伝えします。この受精のエラーは、お母さんの生活習慣とは一切関係ありません。
食事の内容、仕事のストレス、お腹を冷やしたなど、一切原因ではありません。これは受精という生命誕生の瞬間に起きる、本当に偶発的な事故なのです。
3倍体や4倍体は、遺伝子の情報量(設計図)が多すぎます。細胞が分裂しようとしても設計図が複雑すぎて体を作ることができず、結果として全て自然流産となります。これは生命の仕組み上避けられない原因です。
では、なぜこの異常がNIPTでは「陰性(異常なし)」と出てしまうのでしょうか?そこには検査の仕組みが関係しています。
NIPTは、お母さんの血液中に漂っている赤ちゃんのDNAの「量」を測る、天秤のような機械だとイメージしてください。顕微鏡で形を見ているわけではなく、「染色体の量のバランス(比率)」を見ています。
ダウン症の場合: 21番染色体が3本あり、他は2本です。21番のDNA量だけがポンと増えるため、機械は「21番の比率だけがおかしいぞ」と気づき、「陽性」と出ます。
3倍体の場合: 1番も2番も21番も、すべての染色体が均等に3本ずつ(1.5倍に)増えています。すべてが同じように増えると、染色体同士の比率自体は正常な人と変わらないため、機械は「バランスが取れている」と判断してしまいます。
これを医学用語で「偽陰性」と呼びます。本当は異常があるのに検査では陰性と出てしまうことです。お母さんの体が悪いわけでも、検査会社が間違えたわけでもありません。現在のNIPTという技術が比率を見る検査である以上、どうしても見つけられない死角があるのです。

残念ながら流産してしまった時に、その流産検体を調べることは1つ重要です。「POC検査」と呼ばれる遺伝子検査を行うことで、NIPTとは違う手法で、赤ちゃんが3倍体や4倍体であったかどうかを調べることができます。
もし結果が3倍体や4倍体であったなら、それは偶発的に起きてしまったことなので、あまり後悔して自分を責める必要はありません。また、もしも別の要素が発見されることがあったら、それは次のお子さんを妊娠するための有用な検査結果となります。流産した際には、遺伝子検査を行うことをお勧めします。

今日は、「流産の本当の理由」というテーマで解説しました。
最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
3倍体や4倍体といった現象は、受精時の偶発的なエラーです。食事やストレス、冷えなどお母さんのせいでは決してありません。誰にでも起こり得る生命の現象です。
NIPTはあくまで染色体の「バランス(比率)」を見る検査です。全体が均等に増えてしまうような異常は、仕組み上見逃される「偽陰性」となることがあります。
流産してしまった場合、検体を調べることで原因が分かり、過度な後悔を防いだり、次の妊娠への大切な情報になったりします。
「私が守ってあげられなかった」と自分を責めてしまう気持ち、痛いほど分かります。でも、医学的に見てお母さんの力で防げるものではありません。
あなたは十分に愛し、お腹の中で守ってきました。赤ちゃんは、そのお腹の中で精一杯、命の時間を過ごしたのです。
どうか「私のせいで」という言葉を、自分自身に向けないでください。
NIPTなどの検査も含め、あなたが安心して赤ちゃんを迎えられるよう、私たちは正しい医療情報で全力サポートします。
未来のあなたと赤ちゃんが、健やかな笑顔で会えますように。
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