こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
妊活において、「お酒を控える」というのは女性だけのルールだと思っていませんか?
「俺は飲むけど、君は我慢してね」なんて会話が、もしご家庭であったとしたら、少し待ってください。
実は、男性の飲酒習慣が、精子の「質」や「遺伝子(DNA)」に影響を与え、妊娠率や赤ちゃんの健康に関わることが、最新の医学研究で明らかになっています。
「仕事の付き合いもあるし、完全には止められない…」
そんな旦那様も多いと思います。無理にゼロにするのではなく、まずは「科学的な事実」を知ることから始めましょう。
今回は、飲酒が精子に与える影響と、元気な赤ちゃんを迎えるための「3ヶ月の賢いルール」について解説します。
まず結論から申し上げますと、**「飲めば飲むほど、精子の質は下がる」**ということが、複数の信頼性の高い研究で分かっています。
アルコールは体内で分解される際、男性ホルモン(テストステロン)のバランスを乱し、精子を作る工場にダメージを与えてしまうからです。
では、具体的に「どのくらい」飲むと危険なのでしょうか?
| 純アルコール量 | お酒の目安 | 影響レベル |
| 0 〜 週1-2杯 | ほとんどなし | 非常に軽微 |
| 10 〜 20g | ビールロング缶(500ml) 1本弱 | 軽度の影響(テストステロン低下の兆候) |
| 20 〜 40g | ビール中瓶 1〜2本 | 明らかな低下(精子数・運動率ダウン) |
| 40g 以上 | ビール中瓶 2本以上 | 大幅な低下(不妊リスク・EDリスク増) |
いかがでしょうか?
「毎日晩酌でビール1〜2本くらい」という方は少なくないはずです。しかし、その習慣がすでに**「明らかな質の低下」**の領域に入っている可能性があります。
さらに深刻なデータもあります。
週に純アルコール換算で84g以上(毎日ビール350ml缶1本強)を摂取している男性の場合、体外受精などの生殖医療における「生児獲得率(赤ちゃんが無事に生まれる確率)」が統計的に低下するという報告もあります。
「精子の数が減っても、1匹元気なのがいればいいんでしょ?」
そう思われるかもしれませんが、問題は数だけではありません。アルコールは**精子の「中身(DNA)」**にも傷をつけてしまうのです。
お酒を分解する過程で、体内には「アセトアルデヒド」などの有害物質と共に、大量の**「活性酸素」**が発生します。
この活性酸素は、いわば「体のサビ」です。酸化した金属がボロボロになるように、活性酸素は精子の細胞膜や、大切な遺伝情報が入ったDNAを傷つけてしまいます。
DNAが傷ついた精子は、受精能力が落ちるだけでなく、以下のようなリスクを高める可能性が指摘されています。
つまり、男性の断酒・節酒は、単に「妊娠させるため」だけでなく、**「お腹の赤ちゃんの命を守るため」**の重要なアクションなのです。
では、今日からお酒を止めたとして、いつから効果が出るのでしょうか?
「昨日飲まなかったから、今日の精子は元気!」というわけにはいきません。
精子は、睾丸の中で作られ始めてから、成熟して射精されるまでに約74日かかると言われています。
つまり、今日射精された精子は、**「約2〜3ヶ月前のあなたの生活習慣」**の影響を受けて作られたものなのです。
そのため、最も確実な効果を得るためには、「最低3ヶ月間」の生活改善が必要です。
今からスタートすれば、3ヶ月後には「アルコールの影響を受けていない、新品の精子たち」が出番を迎えます。
「3ヶ月も禁酒なんて無理!」という方は、まずは以下の「緩和ルール」から始めてみてください。
【現実的な節酒ステップ】
これだけでも、精子への酸化ダメージを減らすことができます。
お酒を控えるのと同時に、積極的に取り入れたいのが**「抗酸化(サビ取り)」**の習慣です。
傷ついた精子をケアし、質を高めるために以下のポイントを意識しましょう。
タバコはアルコール以上に強力な「酸化ストレス」の発生源であり、精子のDNA損傷の直接的な原因になります。お酒だけ控えてもタバコを吸っていては効果が半減してしまいます。
1日6〜8時間の良質な睡眠と、週に数回の軽い有酸素運動(ウォーキングなど)は、男性ホルモンの値を正常化し、精子のコンディションを整えます。
今回のポイントをまとめます。
妊活は、女性だけが頑張るものではありません。
精子の質は、日々の生活習慣で変えられます。まずは今夜の晩酌をノンアルコールビールに変えるところから、あるいは週に2回の休肝日を作ることから始めてみませんか?
その小さな我慢と努力が、未来の赤ちゃんの笑顔に直結しています。
当クリニックでは、NIPT(新型出生前診断)などを通じて、赤ちゃんの健康とご家族の未来をサポートしています。妊娠に関する不安や疑問があれば、いつでもご相談ください。
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