トキソプラズマと妊娠の関係を徹底解説！感染予防と治療の全知識【YouTube動画解説】
こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
妊娠中、こんな不安を感じたことはありませんか？
「実家で猫を飼っているけど、赤ちゃんに影響はない？」
「生ハムやユッケが大好きだけど、やっぱり我慢しなきゃダメ？」
インターネットで調べると**「トキソプラズマ」**という怖い名前が出てきて、不安になる方も多いでしょう。
しかし、むやみに恐れる必要はありません。正しい知識と予防策を知っていれば、リスクは大幅に減らすことができます。
今回は、妊娠中のトキソプラズマ感染について、感染経路や赤ちゃんへの影響、そして今日からできる具体的な予防法を医学的根拠に基づいて解説します。
1. トキソプラズマとは？ なぜ妊娠中だけ危険なのか
トキソプラズマは、動物や土壌に広く存在する「原虫（寄生虫）」による感染症です。
実は、健康な大人が感染しても、ほとんどの場合は無症状か、軽い風邪のような症状（発熱やリンパ節の腫れなど）で済み、気づかないことがほとんどです。
「初めての感染」が最大のリスク
問題なのは、妊娠中に「初めて」感染した場合です。
妊娠前すでに感染して抗体を持っている方は、赤ちゃんへの影響を心配する必要はほとんどありません。
しかし、抗体を持たない妊婦さんが妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんに感染し、**「先天性トキソプラズマ症」**を引き起こすリスクがあります。
【先天性トキソプラズマ症の主な影響】
- 脳や目の障害（水頭症、網脈絡膜炎など）
- 精神運動発達の遅れ
- 流産や死産のリスク増加
特に妊娠初期に感染すると重症化しやすいと言われていますが、感染そのものの確率は妊娠後期になるほど高くなります。
2. どこからうつる？ 知っておくべき「3つの感染経路」
「どうすれば防げるの？」という疑問にお答えします。
主な感染源は**「猫・肉・土」**の3つです。
① 猫（特に糞）
猫はトキソプラズマの「最終宿主」であり、感染した猫の便の中に原虫が含まれていることがあります。
ただし、全ての猫が危険なわけではありません。**「外に出る猫」や「生肉を食べる猫」**が感染源になりやすいです。完全室内飼いでキャットフードを食べている猫からのリスクは比較的低いとされています。
② 加熱不十分な肉（生ハム、ユッケなど）
トキソプラズマのシスト（殻に包まれた状態の幼虫）は、食肉の筋肉内に潜んでいることがあります。
特に**豚肉、羊肉、鹿肉（ジビエ）**などは注意が必要です。レアステーキ、生ハム、ローストビーフ、ユッケなどの「生や半生の状態」で食べると感染リスクがあります。
③ ガーデニングや土いじり
猫はあちこちで排泄をするため、庭の土や公園の砂場にもトキソプラズマが含まれている可能性があります。素手で土を触り、その手で食事などをすると口から感染してしまいます。
3. もし感染したら？ 治療法と赤ちゃんへの感染率
「もしかして感染したかも…」と不安な場合は、まず産婦人科で血液検査（トキソプラズマ抗体検査）を受けましょう。
- 抗体あり（IgG陽性）：過去に感染済み。赤ちゃんへの影響はほぼありません。
- 抗体なし（IgG陰性）：未感染。これから感染しないよう予防が必要です。
- 最近の感染疑い：IgM抗体などを詳しく調べ、感染時期を特定します。
妊娠中の治療薬「スピラマイシン」
万が一、妊娠中に感染が判明しても、諦める必要はありません。
**「スピラマイシン」**という抗生物質を服用することで、胎盤を通じた赤ちゃんへの感染をある程度防ぐことができます。また、赤ちゃんへの感染が確認された場合でも、他の治療薬で重症化を防ぐ治療が行われます。
赤ちゃんへ感染する確率は？
お母さんが感染したからといって、必ずしも赤ちゃんにうつるわけではありません。
- 妊娠初期：赤ちゃんへの感染率は約10％以下（ただし重症化しやすい）
- 妊娠中期：感染率は**30〜40％**程度
- 妊娠後期：感染率は70％以上（ただし症状は軽いことが多い）
4. 今日からできる！ 簡単な予防習慣
リスクをゼロにするのは難しいですが、日々のちょっとした心がけで安全を確保できます。
- お肉は「ウェルダン」で：中心部までしっかり加熱しましょう（67℃以上）。生ハムやレア肉は出産後の楽しみに取っておきましょう。
- 猫のトイレ掃除は家族に：できるだけ旦那さんなどにお願いしましょう。自分でやる場合は使い捨て手袋とマスクを着用し、終わったら徹底的に手洗いを。
- 土いじりは手袋着用：ガーデニングや上の子との砂遊びの際は、必ず手袋を使い、作業後の手洗いを習慣にしてください。
- 野菜や果物はよく洗う：土がついている可能性があるため、生で食べる野菜は流水でよく洗いましょう。
まとめ
トキソプラズマは怖い病気のように感じますが、敵の正体を知れば防げる病気です。
- 猫：トイレ掃除と手洗いを徹底すれば共存可能です。
- 肉：妊娠中は「しっかり加熱」が鉄則です。
- 検査：初期の妊婦健診で抗体の有無を確認しておくと安心です。
過度に怖がってストレスを溜めるよりも、「正しい知識で予防する」ことが赤ちゃんを守る一番の近道です。
もし不安な点があれば、妊婦健診の際に主治医に相談してみてくださいね。
当クリニックでは、NIPT（新型出生前診断）をはじめ、医学的根拠に基づいた情報発信を通じて、ご家族の安心をサポートしています。
