【YouTube解説】ダウン症とIQの関係を徹底解説!知的障害の程度と支援制度の全て

「同じダウン症でも、未来はひとつじゃない」IQが分ける生活の質と支援の現実

こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。

NIPT(新型出生前診断)を検討される際、多くのご夫婦が「もしダウン症(21トリソミー)だったら、生活はどうなるんだろう?」という不安を抱かれます。

一般的に、ダウン症には知的障害が伴うイメージが強いかもしれません。

しかし、**「ダウン症のお子さん全員が、同じような発達をたどるわけではない」**という事実をご存知でしょうか?

実は、**IQ(知能指数)**の数値ひとつで、その後の生活の自立度や、受けられる公的支援の内容が大きく変わってくるのです。

今回は、あまり知られていない「ダウン症とIQの相関関係」と、NIPTで見える可能性について、データに基づいてお話しします。


ダウン症=重度の知的障害、ではありません

ダウン症の子はみんな同じように重い障害がある」と思われがちですが、医学的には大きな個人差があります。

実際、ダウン症の方の多くはIQ30〜70の範囲に分布しますが、中にはIQが71を超え、「知的障害」という診断基準に当てはまらないお子さんも10〜15%程度いらっしゃいます。

IQの数値によって、将来どのような生活が想定されるのか、目安を見てみましょう。

【IQ別】生活能力と就労の目安

IQの範囲生活能力の目安就業・社会参加
31 〜 50食事や着替えなど、日常的な支援が必要です。自立した就労は難しく、手厚い福祉的就労が中心となります。
51 〜 70身の回りのことはある程度自立できます。範囲は限られますが、簡単な仕事に従事することも可能です。
71 〜 100**ほとんどの部分で自立が可能。**普通の学校に通い、学習も可能です。就業の幅が広がり、社会の中で独立した生活が可能な場合が多いです。

このように、同じダウン症という診断名であっても、誰かの助けを常に必要とするケースから、社会の中で自立して働くケースまで、その未来は多様なのです。


わずか「1ポイント」が分ける支援の壁

ここで一つ、知っておいていただきたい「制度の現実」があります。

それは、**「IQが高いからといって、必ずしも生きやすいとは限らない」**というパラドックス(逆説)です。

日本の多くの福祉制度(療育手帳の取得や特別児童扶養手当など)は、**「IQ70以下(知的障害あり)」**を基準としています。

もしお子さんのIQが71だった場合、「知的障害」という診断がつかず、以下のようなことが起こり得ます。

  • 療育手帳が取得できない
  • 福祉サービスの対象外となる
  • 通所施設の利用を断られる

ダウン症だから手厚いサポートが受けられるはず」と思っていたら、IQが比較的高かったために**「制度の狭間」**に落ちてしまい、必要な支援が受けられない…。そんな切実な悩みを抱えるご家庭も実際に存在します。

IQが高いことは素晴らしいことですが、同時に「公的なサポートなしで社会に適応していく力」が求められることでもあるのです。


NIPTで「重症度」は予測できるのか?

では、お腹にいる間にこれらを予測することはできるのでしょうか?

通常のNIPTは「陰性か陽性か」を判定するもので、基本的にはIQの数値までは分かりません。

しかし、当クリニックが提携する検査機関(東京衛生検査所)が提供している**「陽性スコア」**という指標が、一つの手がかりになる可能性があります。

陽性スコアと「モザイク型」の可能性

NIPTの検査結果には、染色体の量が正常からどれだけ離れているかを示す「スコア」が出ることがあります。

モザイクダウン症とは、全ての細胞ではなく「一部の細胞だけ」が21番染色体を3本持っている状態です。正常な細胞も混ざっているため、一般的なダウン症に比べて症状が軽度であったり、IQへの影響が小さかったりする可能性があります。

もちろん、これで全てが確定するわけではありませんが、「陽性スコア」を見ることで、お腹の赤ちゃんの状態をより解像度高くイメージする一助にはなると考えています。


まとめ

今回のポイントは以下の通りです。

  1. 多様な未来ダウン症といっても症状は一律ではなく、IQ70を超える(知的障害の診断がつかない)方も約1割います。
  2. IQと生活:数値によって、完全な自立が可能か、手厚い支援が必要かが変わります。
  3. 支援の壁:IQ71以上の場合、公的な支援制度の対象外となるケースがあり、知っておくべき社会的課題です。
  4. 検査の指標:NIPTの「陽性スコア」によって、症状がマイルドな「モザイク型」の可能性を推測できる場合があります。

NIPTは単に「病気を見つける」だけでなく、**「生まれてくる子の個性を知り、家族でどう迎えるか、どう環境を整えるか」**を考えるための準備期間をくれる検査でもあります。

専門的なデータやスコアの見方について詳しく知りたい方は、ぜひ当クリニックの遺伝カウンセリングをご利用ください。