こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
NIPT(新型出生前診断)を検討される際、多くのご夫婦が「もしダウン症(21トリソミー)だったら、生活はどうなるんだろう?」という不安を抱かれます。
一般的に、ダウン症には知的障害が伴うイメージが強いかもしれません。
しかし、**「ダウン症のお子さん全員が、同じような発達をたどるわけではない」**という事実をご存知でしょうか?
実は、**IQ(知能指数)**の数値ひとつで、その後の生活の自立度や、受けられる公的支援の内容が大きく変わってくるのです。
今回は、あまり知られていない「ダウン症とIQの相関関係」と、NIPTで見える可能性について、データに基づいてお話しします。
「ダウン症の子はみんな同じように重い障害がある」と思われがちですが、医学的には大きな個人差があります。
実際、ダウン症の方の多くはIQ30〜70の範囲に分布しますが、中にはIQが71を超え、「知的障害」という診断基準に当てはまらないお子さんも10〜15%程度いらっしゃいます。
IQの数値によって、将来どのような生活が想定されるのか、目安を見てみましょう。
| IQの範囲 | 生活能力の目安 | 就業・社会参加 |
| 31 〜 50 | 食事や着替えなど、日常的な支援が必要です。 | 自立した就労は難しく、手厚い福祉的就労が中心となります。 |
| 51 〜 70 | 身の回りのことはある程度自立できます。 | 範囲は限られますが、簡単な仕事に従事することも可能です。 |
| 71 〜 100 | **ほとんどの部分で自立が可能。**普通の学校に通い、学習も可能です。 | 就業の幅が広がり、社会の中で独立した生活が可能な場合が多いです。 |
このように、同じダウン症という診断名であっても、誰かの助けを常に必要とするケースから、社会の中で自立して働くケースまで、その未来は多様なのです。
ここで一つ、知っておいていただきたい「制度の現実」があります。
それは、**「IQが高いからといって、必ずしも生きやすいとは限らない」**というパラドックス(逆説)です。
日本の多くの福祉制度(療育手帳の取得や特別児童扶養手当など)は、**「IQ70以下(知的障害あり)」**を基準としています。
もしお子さんのIQが71だった場合、「知的障害」という診断がつかず、以下のようなことが起こり得ます。
「ダウン症だから手厚いサポートが受けられるはず」と思っていたら、IQが比較的高かったために**「制度の狭間」**に落ちてしまい、必要な支援が受けられない…。そんな切実な悩みを抱えるご家庭も実際に存在します。
IQが高いことは素晴らしいことですが、同時に「公的なサポートなしで社会に適応していく力」が求められることでもあるのです。
では、お腹にいる間にこれらを予測することはできるのでしょうか?
通常のNIPTは「陰性か陽性か」を判定するもので、基本的にはIQの数値までは分かりません。
しかし、当クリニックが提携する検査機関(東京衛生検査所)が提供している**「陽性スコア」**という指標が、一つの手がかりになる可能性があります。
NIPTの検査結果には、染色体の量が正常からどれだけ離れているかを示す「スコア」が出ることがあります。
モザイク型ダウン症とは、全ての細胞ではなく「一部の細胞だけ」が21番染色体を3本持っている状態です。正常な細胞も混ざっているため、一般的なダウン症に比べて症状が軽度であったり、IQへの影響が小さかったりする可能性があります。
もちろん、これで全てが確定するわけではありませんが、「陽性スコア」を見ることで、お腹の赤ちゃんの状態をより解像度高くイメージする一助にはなると考えています。
今回のポイントは以下の通りです。
NIPTは単に「病気を見つける」だけでなく、**「生まれてくる子の個性を知り、家族でどう迎えるか、どう環境を整えるか」**を考えるための準備期間をくれる検査でもあります。
専門的なデータやスコアの見方について詳しく知りたい方は、ぜひ当クリニックの遺伝カウンセリングをご利用ください。
Copyright (c) NIPT Hiro Clinic All Rights Reserved.