先天性グリコシル化異常症ⅠA型(PMM2関連)

先天性グリコシル化異常症ⅠA型(PMM2関連)先天性グリコシル化異常症ⅠA型(PMM2関連)

概要

先天性グリコシル化異常症ⅠA型(PMM2関連)(Congenital Disorder of Glycosylation, Type 1A (PMM2-related))は、糖タンパクの糖鎖の合成過程および修飾過程に関わる、PMM2遺伝子の変異によって引き起こされる、糖タンパクの機能不足によって発症する先天代謝異常症です。

疫学

800人以上が世界中で確認されています。国内の調査では50名程度が存在しますが、診断方法が普及していないため、未診断例が多数存在すると予想されます。

原因

この疾患は、PMM2遺伝子の変異によって引き起こされます。PMM2遺伝子は、ホスホマンノムターゼ2(PMM2)と呼ばれる酵素を作るための指示を提供します。

PMM2酵素は、オリゴ糖のグループをタンパク質に結合させるグリコシル化(糖鎖付加)と呼ばれるプロセスに関与しています。この糖鎖付加によって、タンパク質はさまざまな機能を実行できます。

PMM2遺伝子の変異は、活性が低下した異常なPMM2酵素の産生を引き起こしますが、適切に機能するPMM2酵素がないと、タンパク質のグリコシル化は正常に進行しません。この疾患のさまざまな兆候と症状は、多くの臓器や組織で正常ではない糖鎖付加タンパク質が産生されることが原因である可能性があります。

PMM2遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

筋緊張低下、陥没乳頭、脂肪の異常な分布、斜視、小脳未発達、肝機能異常等多彩な症状が現れます。最も重症な症例は、胎児水腫で、胎児水腫のほとんどの赤ちゃんは死産であるか、出生直後に死亡します。

診断

トランスフェリンの等電点電気泳動や質量分析法で、糖鎖の不足や構造異常によって診断します。遺伝子解析で病的変異を同定することも診断的意義があります。

治療

有効な治療法がなく、対症療法に留まります。

予後

罹患した乳児の約20%は、多臓器不全のために生後1年を生き延びませんが、軽症例では精神運動発達遅滞や多動症のみで成人年齢に到達します。

【参考文献】