ベータサラセミア

ベータサラセミアベータサラセミア

概要

ベータサラセミア(Beta Thalassemia)は、ヘモグロビンを形成する4つのアミノ酸の鎖のうち、β鎖の異常によって生じる遺伝性疾患です。ベータサラセミアの患者は、ヘモグロビンのレベルが低くなり、体の多くの部分で酸素が不足します。皮膚の青白さ、脱力感、倦怠感などの貧血症状が出現し、更に深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

ベータサラセミアは、症状の重症度に応じて①サラセミアメジャー(クーリー貧血とも呼ばれます)②サラセミア中間型③サラセミアマイナーの3つのタイプに分類されます。
サラセミアマイナーでは、症状が全くないか軽度の貧血が現れる程度ですが、サラセミアメジャーは、さまざまな重篤な表情を引き起こします。

疫学

ベータサラセミアの発生率は、人口の10万人に約1人と推定され、地中海地方に頻発したため「地中海貧血」とも呼ばれます。
日本人における発生頻度は1/1,000人程度で、軽症型が多いです。

原因

ベータサラセミアは、HBB遺伝子の変異でがベータグロビンの生成を妨げることで発症します。ベータグロビンが不足すると、機能的なヘモグロビンの量が減少して赤血球正常に発達せずに、成熟した赤血球が不足します。成熟した赤血球の数が少なくなるため、さまざまな貧血症状が現れます。

HBB遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。
原因
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症状

主な症状は、貧血、黄疸、脾腫、サラセミア様顔貌(顔面や頭部の骨の肥厚化)、肝機能障害などで、生後2年以内に現れます。
サラセミアメジャーの人々は、頻繁に輸血を必要としますが、この輸血によって体内に鉄が蓄積し、肝臓、心臓、およびホルモンの問題を引き起こす可能性があります。

診断

サラセミアの診断には血液検査や電気泳動検査が行われます。出生前に遺伝子検査を行うこともあります。

治療

ベータサラセミアメジャーでは早期から計画的な輸血が必要であり、重症の場合は幹細胞移植が必要になることもあります。
根治療法として骨髄移植がありますが、主には輸血+鉄キレート療法などの保存的治療が行われます。

予後

軽症例の予後は良いです。またベータサラセミアの重症例でも、適切な輸血、鉄過剰を防ぐための鉄キレート剤の投与を行うことで、予後はかなり改善されます。

【参考文献】