カナバン病

カナバン病カナバン病

概要

カナバン病欠損症(Canavan Disease)は、アスパルトアシラーゼ(ASPA)遺伝子の欠損によるN-アセチル-L-アスパラギン酸(NAA)の蓄積が、進 行性の中枢神経系障害を呈する白質変性症の1つです。
この疾患は、白質ジストロフィーと呼ばれる遺伝性疾患のグループの1つです。

疫学

アシュケナージ系ユダヤ人に多く発症しますが、日本では非常に稀な疾患です。

原因

カナバン病は、アスパルトアシラーゼ(ASPA)遺伝子の変異によって引き起こされます。この変異は常染色体劣性パターンで遺伝します。

ASPAには、N-アセチルアスパラギン酸を分解する酵素であるアスパルトアシラーゼを作るための指示が含まれています。この酵素は、脳のニューロンに内に存在するN-アセチル-L-アスパラギン酸(NAA)と呼ばれる化合物を分解します。NAAは、脳の白質を維持する上で重要な役割を果たす化合物ですが、アスパルトアシラーゼが働かないと、脳組織にNAAが蓄積します。カナバン病の症状は、異常に高いレベルのNAAによる白質の損傷に起因します。

ASPA遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。
原因
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症状

カナバン病の症状と進行は症例ごとに異なります。罹患した乳児は、生後数か月間は正常に見えますが、3〜6か月になると、発育の問題が顕著になります。これらの乳児はひっくり返る、頭の動きを制御する、サポートなしで座るなどの運動技能が発達しません。その他の特徴としては、巨頭症、筋緊張低下などがあります。摂食や嚥下の困難、発作、睡眠障害も発症する可能性があります。

診断

カナバン病の出生前診断では、妊娠16〜18週の羊水中のNAAのレベルを測定します。また出生後、巨頭症などの障害の特徴的な所見のある乳児で疑われる場合があります。

治療

現時点では根治療法はなく、対症療法にとどまります。痙攣に対しては、抗てんかん薬の投与が行われますが、難治例が多いです。また痙性麻痺に対しては抗痙縮薬が用いられます。

予後

乳児期に重度の合併症を発症することがありますが、10代を超えて生存する例もあります。

【参考文献】