クリグラー・ナジャー症候群 Ⅰ型

クリグラー・ナジャー症候群 Ⅰ型クリグラー・ナジャー症候群 Ⅰ型

概要

クリグラー・ナジャー症候群Ⅰ型(Crigler Najjar Syndrome, Type I)は、高ビリルビン血症を特徴とする重篤な状態です。クリグラー・ナジャー症候群の人は、血液中に非抱合型ビリルビンが蓄積しています。

疫学

ごく稀な疾患であり、重症型のタイプⅠでは1,000万人に1人程度の有病率です。日本人での報告は4例ありました。

原因

UGT1A1遺伝子の変異が、クリグラー・ナジャー症候群を引き起こします。この遺伝子は、主に肝細胞に見られ、体からビリルビンを除去するために必要なビリルビン-UGT酵素を作るための指示を提供します。

ビリルビン-UGT酵素はグルクロン酸抱合と呼ばれる化学反応を行います。グルクロン酸抱合により、ビリルビンは水に溶けるようになり、体から取り除くことができます。

UGT1A1遺伝子の変異は、ビリルビン-UGT酵素の機能の低下または欠如をもたらします。ビリルビン-UGT機能の喪失は、非抱合型ビリルビンのグルクロン酸抱合を減少させますので、有毒物質が体内に蓄積し、非抱合型高ビリルビン血症と黄疸を引き起こします。

UGT1A1遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

1型では、重度の高ビリルビン血症が生じます。重度の非抱合型高ビリルビン血症では、核黄疸を発症します。これは、脳および神経組織に非抱合型ビリルビンが蓄積することによって引き起こされる脳損傷の一種です。
核黄疸のある赤ちゃんは、しばしば極度の倦怠感、筋緊張低下を示します。これらの赤ちゃんは、不随意のもだえるような運動(舞踏アテトーゼ)、聴覚障害、または知的障害を含む他の神経学的問題を引き起こす可能性があります。

診断

血液検査にて、肝機能障害による胆汁うっ滞では直接ビリルビン、血清総胆汁酸、トランスアミナーゼなど、溶血では血色素、網状赤血球数、ハプトグロビン、乳酸脱水素酵素(LDH)などの異常値で診断されます。

治療

重症型であるタイプⅠでは、新生児期の高ビリルビン血症に対し、光線療法および交換輸血肝移植などを施します。それを乗り切れば、光線療法を継続します。また、可能であれば肝移植をします。

予後

通常は1歳までに核黄疸により死亡しますが、成人まで生存する場合もあります。

【参考文献】