家族性地中海熱

家族性地中海熱家族性地中海熱

概要

炎症経路のひとつであるインフラマソームの働きを抑えるパイリンの異常で発症する自己炎症性疾患です。発作性の発熱や随伴症状として漿膜炎による激しい疼痛を特徴とします。

本邦でおよそ500人の患者の存在が推定されています。

原因

MEFV遺伝子が疾患関連遺伝子として知られていますが、その発症メカニズムは明らかではありません。また、浸透率が高くないことや典型的な家族性地中海熱の症状を呈しながらもMEFV遺伝子に疾患関連変異を認めない症例が少なくないことから、発症には他の因子も関与していると考えられています。

MEFV遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

典型例では突然高熱を認め、半日から3日間持続します。発熱間隔は、4週間毎が多いです。随伴症状として漿膜炎による激しい腹痛や胸背部痛を訴えます。胸痛によって呼吸が浅くなります。また、関節炎や丹毒様皮疹を伴うこともあります。非典型例は、発熱期間が1~2週間のことが多く、上肢の関節症状などを伴いやすいです。検査所見は、発作時にCRP、血清アミロイドAの著明高値を認め、間歇期にこれらは劇的に陰性化します。

現在、コルヒチンが家族性地中海熱に効果が認められている唯一の内服薬です。 コルヒチンの内服療法は、反復しておこる発作を防ぎ、アミロイドーシスの予防にもなります。しかし、途中で内服を中止すると、発作を起こし、アミロイドーシスになる危険性が高くなりますので継続する必要があります。アミロイドーシスは、腎臓や腸管、皮膚、心臓などの臓器にアミロイドという特殊な蛋白質が沈着する病気で、それが原因で臓器の機能が徐々に低下してきます。 また、家族性地中海熱の患者において、コルヒチンを増量しても無効であったり、副作用のために使用できない場合があります。このような場合に頻回の発熱発作を認めるようであれば、抗IL-1製剤(カナキヌマブ)の導入が検討されます。

【参考文献】

難病情報センター – 家族性地中海熱