糖原病Ⅲ型

糖原病Ⅲ型糖原病Ⅲ型

概要

糖原病Ⅲ型(Glycogen Storage Disease, Type 3、Cori病)は、体の細胞にグリコーゲンと呼ばれる複合糖が蓄積することによって引き起こされる遺伝性疾患です。蓄積されたグリコーゲンは構造的に異常であり、特定の臓器や組織、特に肝臓や筋肉の機能を損ないます。

欠損活性の種類と罹患臓器によって、①Ⅲa型(肝筋型)②Ⅲb型(肝型)③Ⅲd型(肝筋型、α-1,4-グルカントランスフェラーゼ単独欠損症)に分類されます。

疫学

有病率は20万人に1人程度と推測され、Ⅲa型が最も多くみられます。

原因

AGL遺伝子の突然変異が糖原病Ⅲ型を引き起こします。AGL遺伝子は、体内に蓄積されたエネルギーの主要な供給源であるグリコーゲンの分解酵素を作成するための指示を出します。体はグリコーゲンなどのエネルギーの貯蔵を分解して燃料として使用します。

ほとんどのAGL遺伝子変異は、機能しない酵素の生成してしまい、体は正常にグリコーゲンが分解できなくなってしまいます。グリコーゲンが異常に蓄積してしまうと、全身の臓器や組織、特に肝臓や筋肉に損傷を与え、糖原病Ⅲ型の兆候や症状を引き起こします。

AGL遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

乳児期から、低血糖症、高脂血症、および肝酵素の血中濃度の上昇を示し、成長するにつれて肝腫大を発症します。肝臓のサイズは通常、青年期に正常に戻りますが、後年に肝硬変と肝不全を発症することもあります。これらの肝臓の問題のために患者は成長が遅いことが多く、低身長につながる可能性があります。

また、後年に筋力低下(ミオパチー)を発症する可能性があります。ミオパチーは重症になることがあり、心筋症を発症する場合があります。

診断

高レベルのケトン、トランスアミナーゼ、脂質およびクレアチンキナーゼを伴う肝臓の肥大および低血糖から、糖原病Ⅲ型を疑います。

診断の基準となる特殊な検査には、①食後の乳酸値の変化あるいはグルコース負荷試験、②グルカゴン負荷試験、③酵素診断、④遺伝子解析があります。

治療

急性期にはただちにグルコース静脈内投与を行い、状態に応じて持続点滴に移行します。正常な血糖値を維持し、低血糖を防ぎ、成長と発達を最大化するために、特別な食事療法が用いられます。心筋症に対しては、薬物治療などを行います。

予後

肝腫大や低血糖、成長障害などの主症状は年齢とともに改善しますが、肝腫大消失後に、肝に腺腫や、まれに肝がんが発生することがあります。

また、成人期にはミオパチーが進行して歩行不能となったり、肥大型心筋症や心不全の症状が出現することがあります。

【参考文献】