ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(メープルシロップ尿症III型)

ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(メープルシロップ尿症III型)ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(メープルシロップ尿症III型)

概要

ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(Lipoamide Dehydrogenase Deficiency [Maple Syrup Urine Disease, Type 3])は、いくつかの体のシステムに影響を与える深刻な状態です。兆候と症状は通常、出生直後に現れ、人によって大きく異なります。

疫学

ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症は、アシュケナージ系ユダヤ人の推定35,000〜48,000人に1人に発生します。それ以外のジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症の有病率は不明ですが、まれだと考えられます。

原因

DLD遺伝子の変異が、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症を引き起こします。この遺伝子は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ酵素を作るための指示を出します。

DLD遺伝子の変異は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ酵素の機能を損ない、適切に機能するのを妨げます。その結果、分解されない分子とその副産物が体内に蓄積し、さまざまな組織に損傷を与え、乳酸アシドーシスなどを引き起こします。また、細胞エネルギーの生成が減少します。

脳は特に分子の蓄積と細胞エネルギーの欠如の影響を受け、神経学的問題を引き起こします。また、肝臓での細胞内エネルギー生産が低下します。

DLD遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

乳酸アシドーシスを引き起こし、吐き気、嘔吐、重度の呼吸障害、および不整脈など症状が現れます。罹患した乳児は、しばしば筋緊張低下と極度の倦怠感・嗜眠のを呈します。問題が悪化するにつれて、摂食が困難になり、覚醒が低下し、発作を起こす可能性があります。

また、肝腫大、肝不全などの肝疾患、骨格筋の衰弱、心筋症、まぶたの垂れ下がり、高アンモニア血症、ケトアシドーシス、低血糖症などの症状を発症する場合もあります。

治療

有効な治療法は確立していません。

予後

乳児の多くは、症状が重症化するために、生後数年は生き残れません。幼児期を過ぎて生存した人でも、知的障害、筋肉の痙縮、運動失調など、成長の遅れや神経学的問題を抱えていることがよくあります。

【参考文献】