メープルシロップ尿症ⅠB型

メープルシロップ尿症ⅠB型メープルシロップ尿症ⅠB型

概要

メープルシロップ尿症は、体が特定のアミノ酸を適切に処理できない遺伝性疾患です。疾患名は、乳児の尿の独特の甘い匂いに由来しています。メープルシロップ尿症ⅠB型(Maple Syrup Urine Disease, Type 1B)には、アミノ酸分解酵素をコードするBCKDHB遺伝子の変異が関与しています。

病型には、生後1~2週間で発症する古典型、臨床症状がやや軽度である中間型、通常は無症状で急性増悪を起こすことのある間欠型などがあります。

新生児マススクリーニングの対象疾患です。

疫学

世界的な有病率は185,000人に1人と推定されています。IB型は、すべてのメープルシロップ尿症症例の約35%を占めると推定されています。

原因

メープルシロップ尿症は、BCKDHA、BCKDHB、およびDBT遺伝子が変異することにより引き起こされますが、そのうちⅠB型には、BCKDHB遺伝子の変異が関与しています。

BCKDHA、BCKDHB、DBT遺伝子は、分枝鎖ケト酸脱水素酵素を作成するための指示を出します。分枝鎖ケト酸脱水素酵素は、多くの食品に含まれるアミノ酸、ロイシン、イソロイシン、バリンを分解するために不可欠です。

これら3つの遺伝子のいずれかに変異があると、分枝鎖ケト酸脱水素酵素の機能が低下または排除され、ロイシン、イソロイシン、およびバリンの正常な分解が妨げられます。その結果、これらのアミノ酸とその副産物が体内に蓄積されます。これらの物質が高レベルに脳や他の臓器に蓄積すると有毒であるため、深刻な症状につながります。

BCKDHB遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

症状は生後1週間程度で現れ、タンパク質を最初に摂取すると、尿がメープルシロップの臭いを帯びます。その後、摂食不良、嘔吐、倦怠感、異常な動き、発達の遅れを呈します。未治療の場合、発作、昏睡、および死につながる可能性があります。

治療

食事制限、主にタンパク質の少ない食品のみを食べることによって病気を制御します。これらの食事制限は、診断後すぐに開始する必要があり、生涯にわたって継続する必要があります。

予後

未治療の場合、致命的となる可能性があります。早期からはじめ、生涯にわたる治療と低タンパク食により、成人期まで健康的な生活を送ることができ、正常な成長と精神発達が可能です。

【参考文献】