概要
網膜色素変性症 (Retinitis Pigmentosa: RP) は、網膜の視細胞 (桿体細胞と錐体細胞) 及び網膜色素上皮 (Retinal Pigment Epithelium: RPE) 細胞の変性により進行性の視覚障害をきたす遺伝性疾患群です。
疫学
RPの頻度は4,000-8,000人あたり1人と言われています。
原因
網膜色素変性症25は、 EYS遺伝子の病原性多様体によって引き起こされる常染色体劣性疾患です。
同疾患群の多くは単一遺伝子疾患です。
RPと関連する遺伝子は、現在80種以上報告されています。
常染色体優性(15-20%)、常染色体劣性(5-20%)、X連鎖性(5-15%) のいずれの遺伝形式もとりますが、家系内に他の発症者が確認できない孤発例(40-50%) も存在します。
症状
患者は、病初期には夜盲症を経験したのちに周辺視野の狭窄を自覚し、末期には中心視力を失う例も多くあります。
ただし、生涯良好な視力を保つ例もあり、進行には個人差が大きいとされます。
治療
現時点では治療法が確立されていません。
合併症として起こり得る白内障や黄斑浮腫に対しては、通常の治療法が行われています。
予後
平均余命への影響はありません。
全て両眼性進行性となります。タイプにより進行は異なるものの、早いものでは40代に社会的失明状態になりますが、医学的失明に至る割合は高くありません。60代で、中心に視野が残り視力良好なこともあります。白内障による視力低下の場合、一部は手術によって視機能が改善します。
【参考文献】
- MGenReviews – 網膜色素変性